第54話 電 話
電話のコール音が数回鳴る。
「はい、もしもし渡辺でございます」受話器を取り上げると真由美は丁寧に対応する。
「もしもし、西警察の者ですが、
「はい、
「実はご子息が交通事故で重体になり意識不明になっています。すぐに市内の労災病院まで来ていただきますようお願いいたします」その言葉を聞いて真由美は気が動転する。話している警察官にとってはよくある事なのであろうか淡々とした口調であった。
電話を切ってから真由美は目の前が真っ暗になって卒倒しそうになった。
彼女は病院に行く前に渡辺直人に連絡した。渡辺直人が車で迎えに行くので待っているように指示される。
二十分ほど待っていると玄関先で車のクラクションが数回聞こえる。真由美は玄関から飛び出して車に乗り込もうとする。
「おばさん、何かあったんですか?」友伽里が玄関先から顔を覗かせる。けたたましい音を立てた車が家の前に止まったので驚いて出てきた様子であった。
「友伽里ちゃん!
「えっ!
「真由美!早く!」渡辺直人が慌てた口調で
「ど、どこの病院なんですか!?」
「労災!労災病院よ!!」そう言い残して真由美は車に飛び乗ってドアを激しく閉めた。
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