第18話 よく似合うわよ

「あの友伽里ゆかりさんて、貴方の事を相当好きなのね」穂乃花ほのかはポツリとつぶやいた。フードを頭から被り相変わらず両手をポケットに入れている。


「それはないだろう。俺達はただのおさななじみなんだぜ」俺は穂乃花ほのかの言葉を聞いて呆れる気持ちを口にする。


「貴方は根っからの鈍感どんかんなのね」彼女も呆れたような顔をしている。なにを言っているのか理解出来ないので特に突っ込むことはやめる。


「ちょっとトイレ行ってくるわ」穂乃花ほのかは時間をもてあますようにこの場を離れていく。やっぱり胆試しが怖いのかもしれない。

 少ししてから彼女は帰ってきた。


「もしかして怖いのか?」緊張してトイレが近くなっているのかなと思って聞いてみた。


「こんなレペルの胆試し怖いわけないでしょう。あなたのほうがよっぽど怖いわよ」なぜだか蔑む感じで見られているような気がする。やはり、昼間の件をまだ根にもっているのかもしれない。俺はえて無視することにした。


 俺達の順番が回ってきた。

 俺と穂乃花ほのかが二人で泊まっているホテルの入口で前の二人を待っていると、なぜかクラス中の男子、女子達にうらやましそうな視線で見られた。

 穂乃花ほのかとカップルに成りたいヤツはたくさん要るとは思ったが、まさか女子にまで人気があるとは恐るべし女である。


 前の二人からたすきを受け取り首にかける。浜辺の先の目的地にこれを置いて帰ってくれば終了。ちなみに俺達の次の二人はこのたすき回収して帰ってくるそうだ。


「よく似合うわね。なんだか小学生みたい・・・・・・」穂乃果ほのかは下を向いてクスクス笑っている。確かに俺の着ているシャツは白色で運動会の小学生のようなちになっていた。


「ふん!」俺は恥ずかしさを吹き飛ばすように鼻を鳴らした。


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