第17話 君もそう思うよね
夕食が終わり、そろそろ胆試しの時間がやってきた。
委員会のメンバーは、準備に追われている様子であった。俺は、胆試しのイベントに関しては特に役割も無く、部屋の畳の上に寝転び食後に休憩を
「皆さん、お楽しみの胆試しの時間がやってまいりました!今から10分後に、ホテルのロビーに集合してください!」このイベントのまとめ役でもある
集合の号令を聞いて各部屋から皆集まってくる。ある者はテンションを上げて、ある者はダラダラと歩いていく。お前らはゾンビか……。
「よっこらしょっと・・・・・・」半分眠りの状態であった体を無理に覚醒させて、俺もロビーに向かう。かく言う俺もどちらかと云うとゾンビグループである。
「よっ!」ちょうど階段の辺りで、
「どうも・・・・・・」なんだかよそよそしい返事ではあった。
「だるいよな・・・・・・、胆試し」素直な感想であった。
「本当ね、もう少しゆっくりさせてくれたらいいのに・・・・・・」どうやら彼女も、このイベントには気が乗らないらしい。同意見であることがなぜか嬉しい。
階段を下まで降りると、なにやら委員同士でもめている様子であった。
「ちょっと、なにそれ?そんな事、私は聞いてないわよ!」
「だって、くじ引きでペアを決めたほうが公平でしょう」同じ委員の
「どうしたんだ?なにかあったのか」俺は仲裁をするつもりなど毛頭ないが興味本意で聞いてみた。
「どうしたもこうしたもないわよ!胆試しのペアは各自好きなもの同士でって委員会で決めたはずなのに、知らない間にルールを変更して、ペアの組み合わせをくじ引きで決めるって言うのよ、そんな事聞いてないわ!」
「だって、好きなもの同士にって公平じゃないわ!強引に押しきられてペアを組む人もいるでしょうし、一緒に行きたい人が重なったらどうするのよ!みんな口には出さないけれど一緒に行きたい人がいる筈よ!」その瞬間、女子達がウンウンと云う風に頷いた後、彼女達の目が一斉に俺に向けられた。どうやら意見を求められているようだ。
「そ、そうだな、
「
「でも、今からくじ引きを作っていたら、胆試しなんてできないんじゃないの?」
「大丈夫よ、ちゃんと用意してあるから」
「なんだよ、
俺は何気なく
「それじゃあ箱の中に紙が入っているから、一人一枚ずつ引いてください。男子は青い箱、女子はピンクの箱でお願いします」怒りが収まらない様子の
その言葉に従い皆順番に箱の中に手を入れて紙を取り出した。
「あっ、番号はまだ見ないでください。後で順番に確認しますから!」
俺の順番が回ってきた、なぜかロビー中に言葉では表現出来ない感じの緊張が走る。箱の中に手を入れて一番最初に触れた紙を掴み取り出した。
「はい、次は
「はいはいはい!」
「全員番号を取りましたか?」
「あっ、私まだです・・・・・・」声の方向を見ると、
「それじゃあ
「ありがとう・・・・・・」言いながら彼女は箱の中に手を入れる。
「残り福だと良いわね」
「じゃあ、順番に番号を読み上げていくから呼ばれたら手を挙げてください・・・・・・、1番」
「はい」1番を引いたと思われる男女が手を挙げる。ちなみに俺の番号は14番であった。
「それでは、二人ペアになってください。次、2番」
「はーい」また、2番を引いたと思われる男女が手を挙げる。なにやらキャッキャと盛り上がっている様子である。
「3番、はい!」どうやら
「・・・・・・次、4番・・・・・・・」明らかに彼女のテンションが下がったようである。番号の発表はどんどん進められている。そして、残りは二組だけであった。どうやら、
「14番」
「はい」自分の番号を呼ばれて俺は手を挙げる。目の前を見るが誰も手を挙げている様子は無かった。
彼女のその視線を追うように背後に目をやると、そこには壁に
「あっ、やっぱり残り福……」
「あの私は別に番号を交換してもいいわよ……」
「えっ、本当にいいの?」
「駄目よ!それではくじ引きをした意味がないじゃないの!」
「
「ああ、そうだな」俺の回答はそれしかなかった。
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