第27話 早めに帰ってくるよ
あの臨海学校から帰ってきて数日が経過した。あの後、病院に行って足の具合を診てもらったが骨には異常が無いといわれた。ただ打撲が思いの外酷くて一週間は歩くことがまともに出来なかった。
ほぼ毎日テレビとスマホを見る日々であった。一日中テレビを見ていると
ドラマに限らず、トーク番組、バラエティー番組などその活躍は目まぐるしい。
誰かに似ているような気がするが思い出さない。
「母さん、この渡辺直人って役者さん有名なの?」珍しく仕事が休みでリビングで
「あっ、えっ、渡辺直人……、うーん、私もあまり知らないけれど、有名なんじゃないの……」四六時中、俺を養う為に仕事を続けてきた母にゆっくりとテレビなどを見る時間など無かったのであろう。なんだか申し訳ないような気がした。
「あっ、俺ちょっと足のリハビリも兼ねて散歩でも行ってくるよ」テレビのスイッチを消して部屋へ戻り準備をする。部屋を出る時、母の顔色が少し暗くなっているような気がした。
「母さん、今日はゆっくりしてよ。なんなら帰りになんか買ってくるよ」
「ありがとう、でもやっぱり母さんの手料理が食べたいでしょう?」母はニコリと微笑んだ。
「そうだね。解った。早めに帰ってくるよ」俺は軽く手をあげると家を後にした。
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