第25話 俺のせいかな
「おはよう」天使のような声で目が覚める。毎日けたたましい目覚まし時計、もしくは母親に蹴りあげられるような朝を毎日迎える俺にとっては新鮮であった。
「あっ、おはよう……、知らない間に寝てたんだ、俺……」彼女の体重を支えながら、さすがにこれは徹夜だなと俺は思っていた。
「一晩中、私の体を支えてくれてたんだね。ありがとう」彼女の頬が少しだけ赤い。寝起きで少し紅潮しているのであろう。
「知らない間に日が昇ってたんだな、痛っ!」立ち上がろうとすると右の足首の辺りに激痛が走る。フラついて倒れそうになる俺の体を
「無理をしないで、ゆっくりと帰ろう」彼女は俺の右腕を自分の肩にかけると腰に手を回し、体を支えてくれた。出来るだけ体重を掛けないようにしたつもりであったが華奢な女の子には重労働であろう。
山の空気が美味しいような気がする。
明るくなった山道は所々に方向を示す看板があり、比較的容易に山道を抜けて行く事ができた。平坦な道、浜辺へと景色は変わってきた。少し先に宿泊先のホテルが見えてきた。ホテルの前には数台のパトカーが止まっている。
「俺達のせいかな……?」
「そうかもね」俺の体を支えて大変だろうに、軽く笑みを返してくれる。俺の胸の鼓動はいつもより早く呼吸も少しつらい。
ホテルの玄関、自動ドアが開く。
「
「よっ!」俺は左手で手刀を切った。
「君たち!無事なのか?ちょっと事情を……」数人の警官と引率の教師が近づいてくる。それを追い抜くように俺達に近づいてくる影。
「あっ、
バシッ!
俺の頬には痛みはなかった。
「なっ!」突然の事に俺は言葉が見つからない。
「どうせ!あんたが
「おっ、おいお前たち!」呆気に取られていた教師が我に返った。
「おい!
その後、この臨海学校の最終日を待たずに
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