第42話 彼女が好きだったんだ
家のベッドに寝転び天井を見ている。木造の戸建てで少し煤けて
なんとも云えない脱力感が全身を襲う。
「ああ、そうだったんだ……」
最初は、幼い女の子を保育園に送る若くて綺麗いなお母さんだと思った。
俺の家の前でたまたま彼女の自転車が故障して、それを修理してあげた事で面識が出来たとかと思ったら、今度は突然、俺のクラスに転校生として彼女はやってきた。さすがにあの時は驚いたなぁ。口角が少し上がった感じがする。
夏の臨海学校での胆試しまさかのカップリング。
暗闇の中で怖い癖に強がってたなアイツ……。
そういえば、あの時にひなが妹である事を知ったんだ。しかし我ながら冷静に考えれは解りそうな事なのに、えらい勘違いをしていたものだ。思いっきりバカにされたな。
あの夜二人で見た
それから、あのぶっ飛んだCM撮影。まさか俺がタレントの代役をするなんて思ってもみなかった。あの時の
今まで見た誰の笑顔よりも最高に……。
そしてあの電車の中での突然のキス。あまりの出来事に俺は夢かと思っていたが……、そう言えばあの後、
『女の子もね……、好きな人にキスしたくなる時があるんだよ』
俺は目頭の辺りが急激に熱くなるのを感じる。どうして、素直に自分の気持ちに気がつかなかったのか……。いや、気づいていたのに口にしなかったのか……。気づいていたらどうだって云うんだ。それは押し問答のように俺の頭の中を駆け巡る。
「やっぱり、俺は
その言葉を口にした途端、魔法が解けたように俺の感情が涙となって両目から溢れ出た。
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