第11話 ラージのコーラ
バスを乗り継ぎ目的の場所に到着。
デラックスプール。
入場料金が高くて、高校生である俺達の財布事情ではなかなか入場する機会に恵まれない場所である。どちらかというと家族連れとか、少し見栄を張ったカップルが多いイメージがある。
俺も正直言うとこの場所を訪れるのは数年ぶりであった。
「はい、
「サンキュー」それを受け取り入場口のゲートをくぐる。係員のおばさんが半券を千切ってチケットを返してれる。
そのチケットをポケットの中に捻り入れると更衣室に向かう。
「着替えたら、あの時計の下で待ち合わせしよ」
水着に着替えてパーカーを羽織る。あまり肩を焼きすぎると明日地獄を見ることになる。
「お待たせ......、どうかな?」
黄色いフリルビキニ、若干コンプレックスのある部分を隠しているようであった。
「ん、なにが?」俺には、彼女の言わんとしている事が理解できない。
「水着!水着よ!新しいの買ったのよ」
「あっ、水着か。スクール水着のほうが早く泳げるんじゃないか?」顎に手をやり名探偵ばりに考察してみる。
「どりゃー!」
「なにするんだよ!」俺は右手で
「うるさいアホ!このボケ!おたんこなす!」
「やだねー、やだやだ
時計の針が午後三時を指す。
「光くーん、何か食べる?」何事も無かったかのように
「おー、ちょうど腹が減ったところ、ホットドックとかいいね」俺が指さした先には、出店があった。そこにはホットドッグと書いた看板があり、少しの列が出来ていた。
「私、買ってくるわ」彼女は俺が指定した店に向かって歩いていった。
「後で金払うよ、俺は席確保しとくわ」水辺から上がりフードコートに移動する。皆考える事は同じのようで、なかなか空いている席が見つからなかった。俺は右手で
「あっ、おにいたんだ!」聞き覚えのある幼児の声がした。唐突に声をかけられて俺は後ろに倒れそうになった。
「えっ、あっ、ひなちゃん......だっけ?」声の主はあの転校生の娘だった。
「そだよ!ひなこだよ」幼女が言いながら可愛く首を傾げた。日射病対策であろうか、頭には小さくて可愛らしい麦わら帽子をかぶっている。
「ひな!」後方から少女を呼ぶ声がする。俺は期待を込めて声の主を探す。
「あっ、ママ」少女は声の主に返答している様子であった。振り返ると、あの転校生
「こら、ひな!一人でウロチョロしてはダメって言ってるでしょ!すいません.......あっ、あなた?」彼女は、俺の顔を見て驚いたようであった。もちろん俺も驚いている。
「や、やあ」俺は自分でも解らないがなぜか
「こんにちは、偶然ですね」
「あっ、そうだね......、偶然だね......」俺は、なにかを言おうと考えてはみたが、何も思い浮かばなかった。
「一人?じゃないよね」
「あ、ああ」俺はなぜか、
「お邪魔してごめんね、ひな、パパの所に行こう」
「え、えっと、俺、飲み物買ってくるわ。コーラでいいか?」俺は恐る恐る聞きながら席を立った。
「ラージでね!」なぜか
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