第13話 臨海学校
あっという間に夏休みになった。
重い足取りで集合場所へと
「やっほー光くん!」
「お前、朝から馬鹿に元気だな……」夏休みに入ってから、起床時間が大幅に遅くなった彼にとっては、この時間の集合は苦痛以外何物でもなかった。
「馬鹿とはなによ、馬鹿とは!もう元気だしてよ!せっかく、楽しい二泊三日の旅行なんだから」彼女はテンション高めに俺の背中を叩いた。その勢いで俺の体は前のめりに転びそうになり数歩前に進んだ。
「ん?なんだ」俺の顔面が柔らかい物に埋もれた。「きゃ!」と、同時に黄色い悲鳴が上がる。一歩後ろに下がり先ほどまで、俺の顔が収まっていた場所を確認する。
そこには成熟した胸を両手で覆い隠すの
「えっ、あの……」どうやら、先ほど俺が感じた弾力感は、彼女の胸の膨らみのようであった。
「エッチ!」そう言うと、
「痛っ!ワザとじゃねえだろ!」俺は痛みを堪えて反撃する。
「ふん!解ったもんだか……!」彼女は
「なんだと!」
「ちょっと、やめなさいよ!あんたが悪いんでしょ、謝りなさい
「ビンタ喰らわされた時点でお
「なに、それ人の胸に……顔を……、まるで痴漢ね」
「あんだと!」
「なによ!」
「おい、早々にそこ何をもめている!」引率の教師が駆け寄ってきた。
「なんでもないです!」
「お前はどうなんだ?」教師が俺に問いかけた。
「なにもないです」腫れた頬を押さえながら俺は返答する。
「皆のコミュニケーションを育成するのが、この臨海学校の目的なんだ。みんな仲良く協力するように。いいな!」その教師の言葉に不本意ながら同調する。
バスに乗り込むと、俺の席の隣にはすでに
「なに、また人妻にチョッカイかけているのよ」トゲのある言い方であった。
「なんだよ、さっきのは事故だろ!ビンタされるし最悪だわ!」俺は再度叩かれた頬をに手を添えた。
「どうだか!」
「なんだよ?」
「ふん!」
「お前こそ意識しすぎなんじゃないのか?俺、別に彼女の事なんとも思っていないぜ」言いながらバスの天井を見つめる。
「・・・・・・本当?」背を向けたまま
「ああ・・・・・・」俺は目を瞑りそのまま寝たふりをした。
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