第34話 恋する瞳
撮影が再開される。
「一応着替えましたけれど・・・・・・」
「おお!バッチリじゃないか!」監督は歓喜の声を上げる。
スタッフが
「いいですか。
「3・2・・・・・・ スタート!」
「はい!カット!いいね、
「次のシーン行くよ!」
次のカットはベンチに座る少女の後ろから、少年がそっと近づいて目隠しをする。驚く彼女、ゆっくり手を解く少年。その顔を確認して満面の笑みで微笑むというものであった。
「3・2・・・・・・ スタート!」
「なんだ、嫌がっていた割には良い顔をするじゃないか」土手の上に止まった高級車の後部の窓を開けて男性が撮影の様子を眺めている。
「午前中はさっぱりだったんですけどね。午後になってから水を得た魚のように活き活きと演技をしていますよ。
男性はかけていたサングラスを外す、その顔は
「ふーん、いいんじゃないの、このCM。自分の娘だから言うんじゃないけれど話題になるかもしれないね」少し目を細めて
「やはり私の眼には狂いがなかったでしょう。きっとお嬢さんは化けますよ」男は誇らしげに胸を張った。
「いやー、化けるかどうかは知らないけれど・・・・・・、あれはそうだな……、恋する乙女の瞳だな」
撮影現場では満面の笑顔で演技を続ける
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