第35話 アンチ・ファン
しばらくして、あの時撮影したCMがテレビで流れるようになった。それは清涼飲料水のCMであった。撮影していた時は正直言うと俺は一体何のCMを撮影しているのかさっぱり知らなかった。
そりゃ
夏の日差しの強い公園で、恋人同士と思われるカップルが追いかけっこをし、ベンチで戯れるというものであった。アニーズの白川の顔のアップはあったが使用されていたのは、ほぼ俺と
「ねえ、ねぇ、
「悔しいけどお似合いよね。やっぱり芸能人の娘さんはオーラが違うわ!」女子生徒達のテンションは上がり続けている。
「私、サイン貰っちゃおうかな」なんだか盛り上がっているようである。急に芸能人扱いになった。
「聞いたんだけど、白川純一主演の映画の公開が予定されてるんだけど、そのヒロインを
「うそー!凄いじゃない!」
「へー、そうなんだ」隣の席に座る
「知らないわよ、そんな話。映画なんてやるわけないし」なんだか
「でも、あのCM好評だぜ。
「ちょっとは芸能界に興味出て来たんじゃないのか?」俺の顔は結構意地悪そうに見えていただろう。
「そんな訳ないでしょう。私は普通の大人になりたいのよ」彼女は大きくため息をついた。
「光君、ちょっといい」
「いや、今日は接骨医院に行って足の診察してもらわないといけない日なんだ。だから堪忍な!」俺は拝むように手を合わせた。
「堪忍ねって・・・・・・・、もう!」
「痛っ!何なんだよアイツ!」結構痛かった。
「いつも仲が良くていいわね」俺達のやり取りを見ていた
「どこがやねん?」彼女の言葉の意味を理解出来なかった。
「痛っ!な、なにするんだよ!」連発で蹴られると流石に痛い。
「知らない」
「渡辺さん、一緒に写メ取ってくれない?」クラスの女子が出て行こうとする彼女の前に立ちはだかる。
「ごめんなさい。そういうのはちょっと・・・・・・」
「なにあれ、あの子調子に乗ってない?!」写真を撮るのを断られたことで、彼女達は一気に
「ねえねん、
「な、なんだよ・・・・・・」何かあった時の桂川は頼れる存在であるが普段はよく解からない性格である。
「ハーレムポジション狙うのもいいけれどもっと器用にやらないと。二兎追うものは一兎も得ずだよ」彼女はウサギの真似をしてピョンピョンと跳ねっていった。
「ハーレムってなんだよ?ハーレムって・・・・・・」彼女の忠告の意図は全く持って理解不能であった。
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