第55話 血液型
病院に到着すると真由美と
「あっー、ひなも!」ひなのその声は二人には聞こえなかった。
「ひなは、お父さんと一緒に行こうな」直人はひなを宥めるように言い聞かせ、車を駐車場まで移動させた。
「今日搬送された
「渡辺さんは、現在集中処置室にいます。こちらです。」看護師の女性が二人を案内をする。
「集中処置室って、
「そうですね。出血が酷くてたくさんの輸血が必要なんですが、たまたま彼の血液型が足りないのです。ご家族の方であれば一致する肩がおいででしょう。念の為、皆さんの血液型の検査をさせて頂きますのでご協力お願いします」看護師の話を聞いて二人は頷く。
採血を終えた真由美と直人達は治療室の前の長椅子で待っている。
「この病院って、
「そうね、ここで出産したわ。貴方は忙しくて立ち会ってくれなかったけれど・・・・・・」真由美は下を向いたままであった。直人は話題の選択を間違えたと反省していた。
「お兄たんは大丈夫なの・・・・・・」ひなが心配そうに聞く。
「うん、きっと大丈夫だよ・・・・・・」確かな確信はないがそれをひなに言ったがところでどうにも成らないことを
「貴方の血液型は確かB型だったわよね」真由美は記憶を手繰り寄せながら聞いた。
「君は・・・・・・、A型だった・・・・・・よな・・・・・・」自信が無さそうであった。
「やっぱり貴方らしい・・・・・・、覚えていないのよね。私の事は・・・・・・」こんな時ではあったが真由美は少しだけ微笑んだ。
「私も貴方と同じB型よ。ちなみに、
「えっ!?」真由美の申し出を聞いて
「どうしたの?」
「お待たせいたしました」血液検査の結果を看護師の女性が告げにきた。「残念ですが、
「えっ……、そんな」真由美は困惑しているようである。
「俺も真由美、君の血液型を聞いて驚いたんだが……、
「どういう事なの、そもそもB型とB型の男女の間にA型の子供が生まれる訳がないわ。生まれてくるのはB型かO型だけのはず……、それなら私は一体?」
ひなは大人達の話している意味が理解できずに退屈そうにしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます