第30話 奢れよ
「
「なに、俺に出来ることかな」まあ、出来ない事は初めから頼まないだろうとは思うがとんでもないことならどうしようかとふと考える。
「うん、ちょっとここでは言いにくいから向こうで話してもいい?」彼女は教室の外を指差す。俺達のやり取りを見て
「なにかあるなら私も一緒に」
「ご免なさい。これは
「お、おい……!」俺は恥ずかしくなって手を振り払った。
「あっ、ご免なさい。つい……」自分の行動に驚いたように真っ赤に頬を染めた。出会った時より少し雰囲気が変わったような気がする。明るくなったというか、積極的というか……、学校に慣れてきたということだろうか。
「それでお願いって何なんだ?」俺は弾む心を隠す為に
「夏休みの公園に来た芸能事務所の人覚えてる?」少し嫌な事を思い出すように彼女は少し顔をしかめた。
「ああ、あの気にくわないオッサンな!覚えているよ。」同じく俺もあの男に感じた不快感を思い出していた。
「あれからもしつこくて……、結局お父さんと話をして一回だけ短いCMの仕事をやってみて、それでも私が芸能界の仕事が嫌だったらあの人は諦めるって話になったの」
「そうなんだ、それで俺は何をすればいいんだ?」今の話の中で俺がお役に立てそうな気がしないのであるが……。
「今度の土曜日に撮影があるんだけど……、一緒に行ってくれないかな?」急に恥ずかしそうな仕草をする。話の言葉尻が少し小さくて聞き取り難かったが、内容は解った。
「構わないけれど、俺がどうして?」そうなぜ俺がチョイスされるのか理解出来なかった。
「だって、一人だと不安で……、
「土曜日か、構わないけど……、飯かなんか
「うん!ありがとう、ちゃんとご馳走するわね」彼女は笑顔を見せながら頭を可愛く傾げた。
その彼女の仕草に俺はどぎまぎしてしまった。
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