現代に蘇る遺跡機体編

20 現代に蘇る遺跡機体 1


 達也達は騎兵学園の門の前に立っていた。


「まさかの飛び級になって今年で卒業とか驚きだ」

「まぁ、学園からすれば厄介者は早く出て欲しいって事でしょ」

「俺達が厄介者かよ」

「そりゃあそうでしょ、学生なのに騎士団持ってるし、問題事を抱え込んでいるんだから」


 こんな事は学園始まってから初めてであった。

 それが分かっていた達也達は「仕方ない」と思う。


「けど、お世話になったのは事実だ」


 達也は剣を構えると、セラとロイも同じく構え、


「騎兵学園、お世話になりました!」

「「お世話になりました!」」


 達也達を合わせ、騎士にさせてくれた学園へ感謝の言葉を述べる達也達であった。

 それを学園長室の窓から3人を見送る学園長と理事長。


「ようやく、問題児が出て行きましたね……」

「そうですか? 問題児と言うより、学園に新しい風を巻き起こした良い生徒達だと、私は自負しております」

「……理事長、ご冗談ですよね……?」

「いえ、本気ですよ? 多分ですが……あの子達は、これからもっと大きな事を成し遂げるでしょう。楽しみですね」


 理事長は達也達へ手を振って別れの挨拶を行うと、気づいた達也達は手を振り返してから学園を去った。

 学園を卒業してから達也達は本格的に騎士団を稼働させ、試験段階であったジルフートとガーヴェンドを改良。


 改良により、ガーヴェンドの操作性を向上させ、重装甲であったフレームの改良で軽量化に成功、コストダウンをしたガヴァメントを開発。

 ジルフートも操作性の向上、エアブロウの見直しによりブースターの量を減らす事に成功し、燃費の良くなったジルフレアが完成した。

 6ヶ月が経ち、突如達也は王都への招集が掛かった。

 王都へ到着した達也達はオルシェンの待つ部屋へ通される。


「久しいの、達也よ」

「陛下こそ、お元気そうで」

「おう、お前が例の団長、新海達也か」

「はい、王子も元気そうですね」

「ンナッハッハッハッハ! 当たり前よ!」


 世間話が一区切り終えると、オルシェンが咳ばらいを一つ。


「それで陛下、私を呼んだ理由とは何でしょうか?」

「そうだな、単刀直入に申そう。我が孫に新しい魔装騎兵フレーム・ストライカーを作ってはくれぬか?」

「なるほど、それは構いません。それでしたら王子、コンセプトはありますか?」

「ほほう? なら、力強い獅子をイメージした物が良いな! あ! あの浮いて動く奴は欲しい! それに力強さが良い! 一撃に長ける力強さもな!!」


 レオの言葉を聞いたセラは思う。どんだけ力強さを言うのだろうか……。

 フムフムと顎に手を付け、頷いてから達也は、


「招致致しました。では、ご用意いたします」

「おう! 待ってからな!!」

「と、すまんな。達也よ」

「何でしょう、ワシのも頼む」

「陛下には国王機、ベールデュフェンをお持ちですよね?」

「あくまで国王機、個人で欲しいのだ」


 いつもと変わらぬ表情で言う陛下に多少心配はあるが、


「なるほど……でしたら、コンセプトはありますか?」

「指揮が出来るほどの機体であれば問題は無い」

「承知いたしました。お時間は掛かりますが、よろしいでしょうか?」

「構わぬよ」

「承りました」


 達也達は砦に戻ると直ぐに王子と陛下の専用機の製作を開始した。

ベースをセレーティアにし、両者はハーフェンに置いて重要な人物。

 それを考慮した達也は胸部周りの装甲を分厚く設計。

 それだけでなく全体的に装甲を厚めにし、その分の重さを出力で補えるようリアクターは2基積む。


 そしてホバー機能を付け、王子にはコンセプト通り力に秀でた高出力機。

 陛下は指示系統の強化、機体の顔の横にアンテナを立て、通信魔法の稼働範囲を強化した。

 その序でに達也のエクスカリバーの修理が行われていた。


「達也」


 エクスカリバーの装備を団長室で考えていると、セラが部屋に入ってきた。


「どうした?」

「うん、エクスカリバーの事で相談が」

「ほほう? どんなだ?」


 目を輝かせ、セラの返答を待つ。


「ブースターの出力を押さえようと思うの」

「なるほど、多分フレームの事で?」

「そう、今のままだとブースターの勢いと機体制御でフレームが持たないから、ブースターの出力を押さえれば、多分壊れないから」

「確かに、俺がエクスカリバーを動かす度にフレームが壊れると直す手間に、そのフレーム製作の時間も掛かるもんな……」


 達也自身エクスカリバーの最大の問題は現行で耐えられないフレームであった。

 確かにブースターの出力を押さえて、いつでも飛べるわけでは無くなるが、フレームが壊れる事はないだろう。


「出力を抑えるとどのくらい飛べない?」

「うーん……まず、今の初速は出ないのと、持って10秒かな……ジャンプと同時にブースター吹かせば飛ぶ事は出来るけど、それでも空中に居られるのは10秒、かな」

「それなら、問題ないよ」

「じゃあ、その設定でやっておくね」

「うん、ごめん。ありがとう」


 エクスカリバーの出力を抑える事に決定し、それと同時進行で2人の機体開発を進ませた。

 時は経ち、王都へ届けに参った達也とセラ。

 演習場で披露会が行われる。


「おお!! こいつは良い!!」

「うむ、要望通り」


 達也は頭を下げ、一歩前に出る。


「陛下と王子に要望通り、こちらの2機。王子のがレオルハート、陛下のがオルゼンヘッダーとなっております」


 黄色をメインカラーとし、一部白のレオルハート。

 灰色をメイン、一部白を入れたオルゼンヘッダー。


「両機とも御二方のお名前を入れております」

「ハハッ!! コイツはいい!!」

「面白いではないか!」

「ありがとうございます」


 2人は自分の魔装騎兵フレーム・ストライカーは近づいてから達也の方へ振り返る。


「あんがとな! 達也!」

「いえ、お気になさらず」


 レオリクスは達也に近づいてから肩に手を置いて笑う。

 それを見たオルシェンは微笑む。

 その後、達也達が新型を届け、砦に戻りオルシェンの息子、クレスタ・オルト・ハーフェンを王室へ呼んだ。

 そこには孫のレオリクスも呼んであり、何かと思い椅子に座っていると、


「クレスタ、私は王を継いで40年になる……頃合いだ。クレスタに王位を譲る」

「……マジかよ……」


 この日、国王オルシェン・カルナ・ハーフェンは息子、クレスタ・オルト・ハーフェンに王位を譲ったと、国中に知れ渡った。


 そしてクレスタが王位に着いてから2ヶ月、国政会議を1人の連絡役によって中断された。

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