16 天才と新型機 7
達也達のいるハーフェン、この国で
ここでは持ち込まれたセラ達の作った新機体の解明が行われ、新たな機体の製作が進められていた。
「ここのコプセントはどうなってるんじゃッ!!」
声を上げ、整備士達へ怒鳴る老人。
「工房長、この様になっております」
整備士がここの工房長、ジルベルト・ガージェットへ仕様の図面を渡し、それを目を通してから整備士に返す。
「フン、それで良かろう」
「ありがとうございます。それにしても、何度見ても素晴らしい物です。こんな見た事も無い技術で試作とはいえ、完成させるとは……」
「フンッ! たかが学生の小娘が作った物なんぞ、この程度じゃ!」
「そうですか? 魔鉱繊維を一纏めにして、更に本来手で持つ杖を内蔵式にするなど、素晴ら――」
「――それでも工房の人間か!! あやつらはたったの2年で作ったものじゃぞ!! ワシ等はこれ以上で最高な物を作らねばならんのじゃ!!」
それを言い残してから工房長は工房を出て工房長室へ戻る。
すると地団駄を踏み、憎きセライラ・ベロウズと新機体を思い出す。
「おのれぇ!! 小娘が!! 色目使って陛下や他を惑わしたかもしれんが、そうはいかんぞ!! ここでワシの作った新型の方が有能だと言う事を証明し、生産ラインを確立後に、量産してこの国の主流とすれば……! 間違いなくワシの名が歴史に残されるだろう!!」
ガッハッハッハッハ! と笑い、工房の作った新機体を完成させていった。
―――――――――
そして、遂に迎えた模擬戦当日。
新機体の発表に多くの貴族が集まっていた。
「いやぁ、新機体とは100年振りですな」
「ですな、いやはや今日は記念日だ」
貴族同士が話し合う中、オルシェンは静かにその時を待っていた。
ここでファンファーレが鳴り、披露会が開催されると、歩行音と地ならしと共に門から
セレスロアの面影は無く、もはや別機体で前情報を知っていた貴族達は関心する。
「おお、何とも力強い足踏みだ」
「それに軋み音すらも聞こえぬ程の力強さか」
立ち止まり、整列をしてから操縦席から騎士達が姿を現す。
黒い鎧に赤きマントが特徴の騎士団であり、国境で魔獣進攻や他国の進行を食い止める守りの要であり、精鋭。
「まさかの国境騎士団とは!」
思わず公爵が言うと、観戦席にいた工房長が立ち上がり、オルシェンへ一礼してから、
「あれが、我が工房で作った新型機セレスティアでございます。出力は試作のセレスロアより下回りますが、従来の
機体の説明を終え、頭を下げる工房長。
「うむ、良く分かった。流石、この国1の
「はは、ありがたき幸せ」
一歩下がり、席に戻ると、
「さて、皆のも。このセレスティアの元となった機体をわずか2年で作り上げ、工房と対なる騎士団で今回の模擬戦相手……」
オルシェンはセラのいる騎士団を作った当初から名前を考えていたが、決まっていなかった。
名も無き騎士団だったが、達也の姿と姿勢を目にしたとき、オルシェンは決めていた。
強い信念、そして黒き髪……。
「黒曜騎士団である!」
陛下の掛け声と共に達也は騎士達へ、
「見せてやりましょう、陛下たちの度肝を抜く
伝えると同時に
貴族達は門の向こうから聞いた事の無い重低音と金属の軋む音に互いに顔を合わせる。
そして門が近くなった瞬間、一気に加速しその姿を現す。
「なッ!?」
「何だあの
貴族達は驚愕し、思わず立ち上がる。
「なあああああああああああああああ!?!?」
「これは……鬼気勝るものがある……」
工房長と公爵は立ち上がって思いを口にした。
「……!」
オルシェンは目を見開き、興奮を抑えながら前のめりになりながら見ていた。
すると、ガーヴェンドは止まると牽引していたキャリーと共に止め、キャリーから
それと同時にジルフートもエアブロウとブースターを切り、着地してから整列する。
整列後、操縦席からカイル達が姿を現し、
「貴族の皆さん、初めまして。陛下に至ってはご機嫌麗しゅうございまいます。黒曜騎士団団長、新海達也です。新型、ガーヴェンドおよび、ジルフートの2機を持って参上いたしました」
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