11 天才と新型機 2
「一応聞くけど、セラ新型はどんなのにするか決まってるのか?」
「あー……ごめん、もうお手上げ……あのセレスロアが私にとっての最高傑作だから」
「分かった。なら、俺の考えた新型を発表する」
達也は部屋にある横に広い黒板に元居た世界の知識と、自身のアイディアを元に新しく作った新型機の絵を描いていく。
「これです」
完成された絵を見た5人は目を丸くした。
[何だよ、ただの
旦那は達也の描いた
「……いえ、旦那……この
「確かにそう見えるが、小僧の画力の問題じゃないか?」
その言葉に少し苦笑いを挟む達也である。
確かにそれを言われるとその問題なのかもしれないが、そうではないと首を左右に振る。
「いえ、セラの言う通り装甲を厚くしてあります」
「やっぱり、でもこれだと重すぎて多分キツイ」
「いやいや、セラそれだけじゃない。しっかり足にギミックが施されているんだ」
「ふぅむ……それは?」
「これを見て下さい」
達也が自身のノートをテーブルに広げ、それを見る6人。
だが、意味が分からず首を傾げている。
「構造? 足の? それに見たことが無い」
「で、これでどうするんだ? 小僧」
「浮かすですよ」
衝撃の発言に目を丸くする6人。
全員からため息をつかれる達也は首を横に傾げた。
「小僧、お前の機体は特別なんだ。誰も彼もが空を飛べる訳じゃねぇんだ」
「あぁ、それでみんなそんな驚いていたんですね。飛ぶでは無く、浮くんです」
「それの何処が違うんだよ!!」
「全然違いますッ!!!!」
訳が分からず声を上げた旦那だが、迫真に迫った表情で旦那へ言うと、気圧されて数歩下がる。
「これは俺がエクスカリバーに乗って運用しようと考えました。そして今回、奪取があったのでそれの対策として、速さに関してのコプセントを考えて来ました……そして行き着いたのがこれです!」
バンッと黒板を叩いて注目を集めた。そして5人から息をつかれる。
しかし、セラだけは達也のエクスカリバー運用の話と速さの話を聞いてからノートと黒板を交互に見ていた。
「小僧、理想はわか――」
「――これ、確かにエクスカリバーのブースターを運用すれば可能だ……」
「何ィィイイ!?!?」
まさかの発言に旦那が声を上げてセラを見た。
「旦那、これさ。浮くって言っても少しだけ浮くだけ何だよね」
「嫌だから、それが死ぬ奴が――」
「――旦那、ジャンプ」
「あ?」
「ジャンプ」
突如話を切ってまでジャンプを強要するセラに反抗しようとしたが、セラの目が鋭くなっており開発者としての意見である、と分かった旦那は黙って1回ジャンプする。
「したが?」
「一瞬浮いたでしょ?」
「おい、まさか一瞬だけ浮かすのか!?」
「いえ、これは旦那がジャンプした位浮かす事が出来れば問題無いの」
「――!! なるほどな……」
旦那が納得した所でセラが達也へ視線を向ける。
「こういう事でしょ?」
「流石、天才技術者様だ。正解だよ、それとこんなのも」
横に広黒板の隣へ書いていくと、描いている途中で6人が首を傾げていく。
「できました」
完成して振り返ると全員同じ方向へ首を傾げていた。
何か俺やったか?と思っていると、
「小僧、これはなんだ?」
「
「これの何処が
「?? 何を言っているのですか?
何がおかしいのか分からない達也に5人はため息を付いてから、
「良いか、小僧。
旦那が説明をしてくれる。だが、達也は、
「難しく考えないでください、多少形の違う
「あー……ダメだ。旦那、俺達は自分達の
カイルが言うと、ジーク、レティにロイが部屋から出て行った。
残されたのは変人その1、
「達也、これってさ何の為に?」
真剣な表情を浮かべなら達也へ聞くセラ。
続いて変人その2、
「
多分この中でずば抜けて変人だと言える達也であった。
その後、3人で話し合った所、達也の提案した新機体は全て採用。
早速新機体開発の準備に取り掛かった。
砦の中を散策している達也は自分の
フレーム湾曲したり、凹んだり、形が変わっていたのを見て、
「……良い……! まさに、これぞ……ロボ……!」
「あ、達也ー」
感想を零すと横からセラに声を掛けられ、振り向くと、
「……凄い格好だな」
「え? そう?」
セラの恰好は革手袋に下はダボっとしたズボンに、上はノースリーブ。
見えないのか……それ……と思っていると、
「下にウェア来てるから平気だよ、達也」
満面の笑みで何故か先読みされた達也であった。
「あー……どうした?」
「あーそうそう。このエクスカリバー何だけど、ごめんね……遺跡から発見されてから真面に整備してなかったから……」
何故か謝罪するセラ。その謝罪する意味が分からず首を横に傾げてから、
「何で謝るの?」
「……危険を強いたから。もし、500年も経って壊れてたら自壊して達也を死なせてしまうかもしれなかったから……」
「あー……別に機にしなくていいよ」
「でも!」
「生きて帰ってきたじゃん? だから、良いよ」
優しい笑みを浮かべてから泣きそうなセラの頭を優しく撫でる。
セラは顔を赤くして俯いてから、
「ありがとう……後、ごめんね達也何度も」
「良いよ、どうしたの?」
「エクスカリバー何だけど、細かいケーブルとかの交換と関節部の調整かな」
「おーお願い。てか、インナーフレームは交換しないの? ほら、500年前の物だからさ」
「あー……それがね」
頬を軽く掻きながらエクスカリバーへ視線を向ける。
それに釣られて達也もエクスカリバーへ向けた。
「インナーフレームが壊れていないの」
「……500年前なのに?」
「正直私も驚いてる。しっかり整備して中身を調べたら、フレーム自体には異常はなくて、回路ケーブルとか関節部の交換と調整しかないの」
「……流石、歴史から抹消されている
「ねー……」
それから2人は顔を合わせてから、
「俺のエクスカリバーを頼む」
「任せて! 最高状態に仕上げておくね!」
愛機をセラに託したのであった。
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