23 現代に蘇る遺跡機体 4
「……ッ! グッ……」
一方達也は、意識を覚醒させ体を起こす。しかし、辺りは真っ暗で何も見えず、辺りを触りスイッチを押す。
スイッチを押すとハッチが開く。
「……はぁ……何とか助かったか」
木々の間から操縦席へ光が差し込む。ベルトを外してエクスカリバーから降りる。
そしてエクスカリバーの状態を確認すると、
「これは……酷いな……むしろ、無理させなくて良かったな……いつもと同じ様にしてたら間違いなく、今回の爆発で死んでたな……」
片足が無く、もう片方の足は装甲と関節部から火花が散り、魔鉱繊維も飛び出て、両腕は無く、肩から下から無い。
顔も一部無く、黒く焦げていて胸部の操縦席は傷は酷いが起動には問題は無い。
「咄嗟に腕で操縦席を守った事でギリギリ生きた。運が良かったな、俺……」
エクスカリバーの惨状を見てから気持ちを切り替え、操縦席にエアスラスタで乗り込み、非常装備を取り出す。
中身を確認すると、幸いにも無傷で有り、辺りの地形を確認する為、エアスラスタで飛ぶと、目の前に薄い糸を見つけ直ぐに止まる。
「……これは、大型魔蟲のグラン・スパイダーの糸か……」
辺りを見ると、森のある程度の高さ全て糸が見える。そして、草が揺れる音が聞こえると直ぐに剣を抜いて、一旦地面に着地をする。
すると、エクスカリバーにグラン・スパイダーが集まってくる。
「……なるほど、巣があるのに上から落ちてきて、獲物が引っかかったと思って来たのか」
エクスカリバーをに群がるグラン・スパイダーを見てから、
「ごめん、エクスカリバー……後で絶対来るから」
と言ってエクスカリバーから離れる。エクスカリバーの場所が分からなくならない様に、マナを注ぐと光る
エクスカリバーから離れ、とりあえず非常装備から水を取り出して飲む。
喉を麗した所で移動しようとした瞬間、辺りから犬のような鳴き声が聞こえ、剣を抜いて辺りを警戒する。
木の陰から姿を現した魔獣、ウルフウェア。4足歩行と2足歩行の出来る中型魔獣。
このウルフウェアは1匹で行動せず、群れで行動する為、達也は囲まれたのだ。
犬と狼の威嚇と共に辺りから姿を続々と見せる。
「あちゃー……これはキッツイな」
言った瞬間、1匹のウルフウェア突如あらぬ方向へ吹き飛ぶ。
吹き飛ぶと鳴きながらどこかへ消えて行く。
一体何が起きたのか全く理解していない達也の前に現れたローブを身に纏い、口元をマスクで隠している何者かが現れた。
警戒を怠らず、見つめているとゆっくりと近づいてくる。
「動くなッ!!」
警戒の為、警告すると両手を上げその場で止まる。
「……貴方は何者ですか?」
「……」
顔を見せず、ローブで身を包んだ存在。
「……久々の人間だったから助けた」
「……はい?」
「……安心して欲しいボクは敵じゃない」
「なら、ローブを取って欲しい」
「……ごめんね、それはここでは出来ないんだ」
「ここでは?」
引っかかる言い方をする存在へ警戒を怠らない様にしていると、ウルフウェアの遠吠えが森を響かせる。
先程のウェアウルフだろうか、仲間を呼び寄せる遠吠えが辺りから反響か、もしくは共鳴して聞こえてくる。
それをローブの存在と達也は森を見渡す。
「……どうかな? ボクのいる村に来てくれれば安全だけど?」
「……」
考えたが、今ここで残るよりまだ話の出来る者といた方が安全と考えた達也。
剣をしまい、改めてローブの存在を見る。
「お願いしても良いですか?」
「……うん、着いてきて」
ローブの存在の後を付いて行く事数分、気のせいか周りの景色が少しボヤけて見えると、
「……着いた」
「え?」
目の前に村が現れた。
夢でも見ているのかと思う達也だが、目を擦ってから現実と判断する。
すると、ローブの存在は首を横に傾げた。
「……あれ? 驚かないんだ」
「えぇ、まぁ……」
こっちの世界はそんなモンだと頭で分かってるのと、こっちの世界で結構立つからな。
思っていると、ローブの存在は村へ歩き出し、後へ着いて行き、門を潜るとローブを外す。
銀髪、と言うより光の加減で色が変わる長髪で顔たちの良い達也と変わらぬ歳の女の子がそこにはいた。
「ようこそ、新海達也。我が村へ」
「え、ああ……え?」
何故、この子が達也の名前を知っているのか訳が分からなかった。
達也は出会ってから名前を名乗っていない。それなのに何故達也の名前が分かったのか分からなかった。
「驚いてる?」
「……何で俺の名前を?」
何故知っているのか聞くと、門の方へ指を差す女の子。
門の方を見てから女の子を見ると、
「エクスカリバーが教えてくれた」
「……え? エクスカリバーって、話せるの?」
首を左右に振ってから、
「エクスカリバーの経歴を読み取った。それで新海達也って分かったから、エクスカリバーから教えて貰ったって事」
淡々と話す女の子に驚愕していると、村から続々と人たちが出てくる。
「おぉ、人間とは久しいの」
「ええ、確かに」
「いつ以来かしらねぇ」
何故か達也の事を物珍しそうに見ながら言う。
そんな中、達也の目に映ったものがある。
「……あれって」
女の子に指を差して聞くと、
「工房」
「見に行ってもッ!?」
「うん」
工房と言う事が分かり、目を輝かせながら女の子と工房へ向かう達也であった。
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