22 現代に蘇る遺跡機体 3

 1つの咆哮、それも甲高く耳の奥底をツンと痛みを感じる程。

 話を遮る様に咆哮が一つ、木々が倒されて行く中、1匹姿を現した。


「本体が出たぞおおおおおおおおおおおおお!!!!」


 国境騎士団が叫ぶと同時にオルシェンは、


「達也ッ!」

「はい!」

「あれを打ち取れるか?」


 達也は木々の間から見えるボワー・トリドンを見てから、


「1匹なら単騎で可能です」

「なら、打ち取って来るがいいッ!!」

「招致ッ!! ロイ! 止めてくれ!」


 達也に言われ、ホバーを切り着地すると、エクスカリバーはキャリーから降りキャリーに積まれた武器を装備してく。

 特殊大型ランスを2本背中のサブアームに着け、エクスカリバー専用魔撃、ライフル・カノン、可動式ブレーダーソードを装備してから、ボワー・トリドンへ跳躍した。


「全機! 陛下の指示に従うようにッ!! 俺は、コイツを片付けるッ!!」


 ボワー・トリドンへ跳躍しながら騎士団へ伝えると、オルシェンは、


「全騎士団へ継ぐ、目の前のボワー・トリドンを取抜するぞッ!!」

「「「了解ッ!!!!」」」


 指示を出すと、その場に集まった騎士団全員がボワー・トリドンの討伐が始まった。

 跳躍してからブースターを吹かして、空中で圧縮魔撃を放てるライフルを放ち、エクスカリバーへ注意を引く。


 反応を見せた所でボワー・トリドンは背中に着いている幼虫達がエクスカリバーへ粘液を放つ。

 ブースターを切り、ボワー・トリドンへ避けながら落下し、必要最低限でブースターを吹かす。

 そして、特殊大型ランスを取り出して構える。


「初の実戦投入兵器、まぁ、あるか分からないけど……対艦ランスだ……その結果、見させてくれよッ!!」


 構えスイッチを押すと、ランスからブースターが点火して一気に加速し、硬い甲殻に突き刺さると同時に再度スイッチを押すと先端が爆発する。

 爆発と同時にボワー・トリドンの甲殻と飛び散った肉片が辺りを汚す。

 悲痛な叫びを上げ、体を大きく降り始める。エクスカリバーは直ぐに離れると同時に爆発で穴が開いた部分へライフルを2発放つ。

 追い打ちをすると、更に暴れ出し辺りへ爆破粘液をまき散らす。

 それを後ろに下がりながら避けると、ボワー・トリドンはエクスカリバーを見て突撃を行う。

 後ろに飛びながら他の騎士団から離す。そして、森から出ると1匹を追い詰めている騎士団達が映る。


「流石に数が多いだけあるな」


 視線を戻すと怒りエクスカリバーを追うボワー・トリドンを目にする。

 ある程度離した所で一気に突っ込む。突っ込むと粘液を放たれるが当たる事は無く、可動式ブレーダーソードを取り出し刃にマナを集中させて熱を帯びさせる。

 そのままボワー・トリドンの足を切断させると、ボワー・トリドンを転ばす。

 直ぐにブレーダーソードで切り裂いてからライフルを傷口から放つ。


 すると、体に着いている幼虫達が振り下ろされ、跳躍して空中から幼虫達をライフルで撃っていく。

 全て倒してから着地してから、ボワー・トリドンの正面に立ちライフルを放ち、再度エクスカリバーに突撃させた。

 後ろに跳躍し、速度が出てきた所で背中に着けられた対艦ランスをサブアームから受け取り、スイッチを押して狙いを定めてからボワー・トリドンへ投擲する。

 投げられた速度+ブースターの点火により、音速の速度でボワー・トリドンの顔に突き刺さり、数秒後に爆発した。


「よっと」


 爆発後、ボワー・トリドンの速度が落ち、エクスカリバーの手前で完全停止した。


「終わったな。対艦ランスにブレーダーソード、ライフル・カノン……良い結果だ」


 自身の作製した兵器にご満悦していると、黒曜騎士団達がエクスカリバーへ近づいてくる。


「達也ー! こっちは終わったよー!」

「ああ」


 倒したと聞き、エクスカリバーを動かそうとした瞬間、ボワー・トリドンから触手がエクスカリバーを掴んだ。


「なッ!? クソッ! 離せ!!」


 ブレーダーソードとライフル・カノンを取ろうとしたが、触手が下半身を覆うように掴み、装備できず触手を叩く。


「達也ッ!! ブースターをッ!!!! そいつ、自爆する気よ!!」

「分かってる!!」


 ブースターを使用しようしたが出力が抑えられているせいで抜け出せなかった。

 本来の出力であれば一瞬で触手を引きちぎる程の初速が、リミッターのせいで不可能にした。

 ボワー・トリドンが光り出し、


「ク……ソッ!!!!」


 間に合わないと思い、エクスカリバーは前に屈んだ。

 そして、自爆をして大爆発を起こした。激しい爆風で魔装騎兵フレーム・ストライカーは動けず。

 爆風が終わった頃にはボワー・トリドンより大きいクレーターを残して、残骸のみがそこにあった。


「達也……!」


 セラはガヴァメントを急いで走らせ、クレーター近くまで寄る。


「達也!! いる!? 達也!!!!」


 しかし、一切返答は無く、無情にも静寂のみがクレーターで生まれる。


「お願い……冗談は嫌なの……! だか、ら……お願……い……返事を……してぇ……」


 耐えられず、涙を流すセラ。だが、同じ様に返答は無く、


「達也ぁああああああああああああああああッ!!!!」


 クレーター前で達也の名を叫ぶセラであった。

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