21 現代に蘇る遺跡機体 2
国政会議を1人の連絡役によって中断される。
「超弩級魔甲虫の出現を確認いたしましたッ!! 場所はここ! 王都へ向けて進行中です!」
「その魔獣は?」
「ボワート・リドンです!!」
「王都へ近づけさせるな! 至急周辺支部の
「了解!」
連絡役は直ぐにその場から去り、伝達すために他の騎士に伝えていく。
ボワー・トリドン、硬い甲殻を持ち生態的にはダンゴムシとウミウシに近い。
そのボワー・トリドンは群れで行動する性質が在り、迎撃や餌を捕食する際は体に付着されている幼虫達が下りて攻撃をする。
しかし、それだけではただ大きいだけであるが、ボワー・トリドンの最も恐ろしい所は自身死ぬ瞬間、自爆をする習性を持っている事。
これは幼虫達も同じことで、この行為は危険な存在を残さぬ様に道連れにし、次の女王に引き継ぎさせる為。
それだけで無く、ボワー・トリドンの吐く粘液は爆破粘液で有り、ちょっとした衝撃で爆発する、非常に厄介な存在。
厄介な相手を一番に止めているのが国境騎士団であった。
オルシェンは隠居していたが、たまたま達也達の砦に視察に来ていた所で、オルシェンの元に鷹が飛ばされた。
伝法を巻き付けた鷹がオルシェンの肩に乗り、内容を確認するとオルシェンは至急黒曜騎士団を緊急招集を行う。
「王都へ超弩級魔甲虫ボワー・トリドンが向かっておる! 黒曜騎士団はこれを撃退及び、防衛に当たれ!」
「了解! 黒曜騎士団、出撃!!」
団長の掛け声と共に黒曜騎士団は
そして、国境騎士団と都市防衛騎士団が砦で防衛を行っていた。
だが、戦況的には最悪であった。
「クソッ!! 蟲共が多い!!」
「まさか……この量は……」
「2匹かッ!!」
稀にある2匹の新たな巣を求めての遠征、進行ルートがたまたま同じであったのだ。
その為、迎撃用の幼虫の数が異常で、第1防衛ラインを突破されていた。
「このッ!!」
塀の外から魔撃を放ち、命中して絶命するが他の幼虫が爆破粘液を一斉にセレーティアに放ち爆発が起きる。
このままでは砦が落ちるのも時間の問題であった。
「……切り込んで、注意を引く。その間に態勢を整えるんだ」
国境騎士団団員が言うと、
「ダメだッ! それでは!」
「そうだ! 今団長達が迎撃の為に動いている! 無駄死にしに行く必要はない!」
「しかし!」
言った瞬間、東から旗を掲げた騎士団を目にした国境騎士団。
旗の印に見覚えがあり、
「黒曜騎士団! 只今参上しました!!」
黒曜騎士団のマークであった。
丁度他の騎士団を連れて戻ってきた国境騎士団団長。
「黒曜騎士団かッ!! 心強い!!」
輸送部隊隊長として、ガヴァメントに乗り込んでいるセラ。
「輸送部隊はこの場でカノンによる魔撃で幼虫を倒していきますよ!!」
「「「了解!!」」」
掛け声と共に、キャリーから
そして、キャリーから降りている最中にレティの第3中隊が横から仕掛けた。
「さぁて! 新しくなったローゲン改めローディグス!! それにジルフレア達行くよ!」
完全改修を行ったローゲンはホバー機能を搭載している。
それに続くジルフレア達は、幼虫の群れを切り裂いていった。
自爆する前に殺してしまえば爆発する事なく、レティ達の
注意を一気に集めたレティ達、そしてがら空きになった所に、改修の終えた2個中隊が突っ込む。
「全くもって、がら空きだねッ!!」
双刀を振り、幼虫を切り裂き、騎士に着けられた魔撃で近くの幼虫達を一掃していく。
「これが我が愛機、レクスレートだ!」
回転切りをし切り裂くが、幼虫が爆破粘液をレクスレートへ吐く。
「しまッ!」
「背後には気を付けろ、ジーク!」
当たる寸前、カイルの
そして盾に付着した粘液へ、もう一度粘液を吐き、爆発が起こる。
「カイルッ!!」
爆風で見えないが、直ぐに姿を現す。
「甘いな! その程度の爆発で、このアルクヴェイドの盾を突破できると思うなッ!!」
アルクヴェイドの盾は無傷で正面に構えた盾をスライドさせ、腕に内装された魔撃で幼虫達を倒していった。
この戦闘にレオリクスとオルシェンも参加しており、
「獅子王の初陣だッ!!」
装飾の着けられたエクゼキューショナーソードを背中から取り出して、幼虫を切り裂く。
ホバー移動で高速で動きながら切り裂いていき、
「あれ使うかッ!!」
ホバーを切り、味方が周りにいない事を確認してから腰に着けられた左右のアームが動き、付けられた2砲門のカノンを接続させてから構える。
ホバーを切った為、地面を滑らせながら構えると、背中に取り付けられていた機体を固定させるアンカーが地面に刺さり、
「ヴァリアントォ……!! ブラスタァアアアアアアアアアアアッ!!!」
2問の付けられたヴァリアントブラスターか高出力照射魔撃が放たれた。
一気に一掃したレオリクスは面白くなり、
「って! おい! もうマナが切れそうじゃねぇかッ!!」
「ま……まぁ、それは威力相応って事ですね、王子……アハハハー……」
思わず、呟くいうレオリクスに通信を入れた達也。
達也はエクスカリバー専用キャリーに乗りながら、キャリーに着けられたライフル・カノンで幼虫達を打ち抜いていく。
「ロイ、その機体どう?」
「どうも、何も最高だッ! まぁ、魔撃が放てないのはあれだけどな」
「すまん、魔撃は手に持って打つ以外選択はない」
「それだと手が塞がっちまうから良いさ」
「そうか、なら頼む」
「了解だ!」
エクスカリバーのキャリーを引いている
足が2脚から4脚になり、足と腰に着けられたエアブロウとと簡易ブースターでジルフレアより高速移動が可能となった。
牽引するときはホバー移動で牽引しながら、肩から膝下までの盾と槍を持ち幼虫達を薙ぎ払う。
追い詰められていた筈の国境騎士団達だが、黒曜騎士団の働きによって態勢を覆す。
まさかの光景にまだ信じられずにいた国境騎士団だが、思う事は一つであった。
「味方で良かった、と心から思う」
「ああ、たし――」
話を遮る様に咆哮が一つ、大地を揺らし無数の激しい足音と共に木々が倒されて行く中、1匹姿を現した。
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