40 王位真偽戦争Ⅱ 3
オクトーの斬撃の嵐を捌きつつ、反撃を行うレクスレート。
機体性能であれば間違いなくレクスレートの方が上だろう。
しかし、操縦技術が惜しくもゾルドラの方が1枚上手である。
それを実感しながらも奮闘するジーク。
だがレクスレートにはまだ隠し玉があり、それをどこで出すかジーク自身迷っている。
実はレクスレートが完成した日、達也はジークにお祝いとしてある武器を渡していた。
「これはなんだい?」
「レクスレートが完成しましたので、プレゼントです!」
「いや、これはなん――」
「――ジーク先輩なら上手く使いこなせると思いまして」
思わずため息を1つ付いてから諦める。
「……どう使えばいい?」
「売りは何と言っても早さです! あ、ですが、一度出してしまうともう一度色々仕込まないといけませんので、ここぞと言う時に使ってください!」
「……一度しか、ねぇ……」
思い出しながらレクスレートを操るジーク。
激しい攻防戦の中、チャンスを伺う。
徐々に壊れていくレクスレート。
「ハッハァーッ!! おめぇいいぜぇ!! 俺ッちが戦ってきた中で最ッ高に面白れぇッ!!!!」
「グゥッ!」
レクスレートに着けられた肩のシールドが切り落とされる。
「これで終わりにしてやるぜぇッ!!」
背面の2本の剣を収め、剣を振り下ろすオクトー。
その瞬間にジークはチャンスだと思う。
レクスレートの体を直撃コースから避け、左肩を落とされる。
落とされると同時に背面、右寄りに装備された剣の柄を掴む。
引き抜くと同時に装甲とぶつかり合い、火花が散る。
勢いよく振り下すと、無理やり抜いたために固定部分がはじけ飛ぶ。
「ハァアアアアアアアッ!!!!」
「チィイイイッ!!!!」
流石のゾルドラでも態勢を崩した状態からの回避は難しく、右腕を犠牲にして軌道を逸らす。
切り落とされてから直ぐに態勢を戻したオクトー。
ジークはここで決めなければ次は無いと確信しており、一歩踏み込んで袈裟斬りを放つ。
「あめぇよッ!!」
ゾルドラの驚異とも言える操縦により、オクトーの態勢すぐさま戻し、後方へ飛んだ。
レクスレート袈裟斬りが外れる、瞬間。
「ここだァアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
ジークは達也から送られた武器、アクティブレイドを起動させる。
剣にマナが流れると同時に、隠されていた刀身が伸びる。
「なッ!?」
ゾルドラも回避することが出来ないが、何とか持っている剣で受け止める。
だが、勢いとアクティブレイドの切れ味にゾルドラの剣が耐えられずに斬られた。
腕と剣を切られ、胸部装甲を少しだけだが切り落とされる。
しかし、オクトーは背面の剣を伸ばし、レクスレートへ放つ。
「これで終わりだああアアアアアアアッ!!!!」
流石のジークも終わりだと感じた。だが、
「なッ!?」
レクスレートへ放たれた剣をエクスカリバーが切り裂き、地面に落ちる。
レクスレートの前に立ち、守る形でいるエクスカリバー。
「流石に団員を見殺しにする団長では無いので」
「た、達也……」
「お疲れ様です。後は俺が」
言った瞬間、エクスカリバーに無数の魔撃が放たれる。
無数の魔撃に対し、直撃コースのみをライフルカノンで魔撃を放ち、相殺させた。
爆風で土煙が上がる中、ガゼットの部隊から放たれた魔撃に対し、ライフルカノンで
「こ、この土煙の中で……この正確さ、だと!?」
思わずガゼットが言葉を漏らす。
ギリッと歯を噛みしめ、歯切りをしてから、
「退くぞ!! 全力で撤退!!」
「「「了解!!」」」
ガゼットの部隊の
「ま、待て! 俺はまだ、戦えるぞッ!!」
「いえ! ここは退きます!!」
「は、はなせぇ!!!!」
無理やりオクトーを回収する
「ま、いっか」
今魔撃から目を離せば、後ろにいるレクスレートを守れないので、放っておく。
強敵は見逃すが、魔撃を放っている
そして、突如白い煙幕が発生する。
「煙幕か……この煙幕、濃いな……流石に狙えないな」
一応周りを警戒しつつ、煙幕が晴れるとそこは
ライフルカノンを下し、レクスレートに肩を貸す。
「すまない、達也」
「いえ、ジーク先輩は良く戦いました」
「……結構悔しいんだがね」
「強くなりましょう、互いに」
「……君は十分に強いだろう?」
「どうでしょうね、俺以上はいるかもしれませんから」
「君以上がいるとは想像したくないものだね……」
本音を漏らすジークであった。
―――――――――
ゾルドラのオクトーを回収して撤退しているジンガーム軍。
ガゼットの部隊に姿を現したのは
「大丈夫でしたか?」
「礼は言わんぞ、
「本当だぜ! 俺はまだ、戦えたんだぜ!!」
「いえ、ゾルドラ殿戦争はまだ、続いております」
その一言でゾルドラは把握した。
「ほう……なら、もう一度会えるんだろうな。あの白い奴に」
「ええ、会えるかと思います」
「なら、楽しみが増えたぜ!」
ゾルドラの士気が上がり、ガゼットは深いため息をついた。
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