53 王位真偽戦争Ⅲ 3
ムルジナの死後、5日が経過。
この日、達也達は砦を攻略すべく、南西の砦の攻略を行っていた。
ムルジナの死は多くの人を悲しまた反面、ムルジナの死を無駄にする訳に行かないと奮起する者が多かったのだ。
その為、1番死の確立が高い中央戦線と南西砦の間にて、ベルクラース率いるエクサリアの部隊が援護に行かせぬ様に死守していた。
「この戦線!! 1機たりとも通すな!!」
「「「了解ッ!」」」
前回の反省を生かし、盾を新たに強化し、魔撃が雨の様に降り注ぐ戦場だが、難なく耐え続ける。
「もうあの時とは違うからな!!」
コックピット内で叫び、籠城し魔撃を放つ
――――――――――――
ベルクラース達が抑える中、中央の砦を攻めているカイル、レティにジーク。
中央の砦の戦線では、もっともこの3人が前で戦っていた。
「皆の者! 我らがここで引きつけつつ、戦力を削げば後に響く!! そして、ムルジナ殿の為に!!」
「「「了解ッ!」」」
アルクヴェイドが剣と盾を構え、迫りくる敵に対し叫んだ。
そして、カイルの部隊と衝突するジンガーム軍とサームクェイド軍。
相手を押さえつけ戦う中、増援がジンガーム軍とサームクェイド軍から送られる。
増援でやってきた
「紅蓮中隊ッ!! 突撃ィッ!!」
「「「ウオォオオオオオオオオオオオッ!!!!」」」
「私に続けぇえええええええええッ!!!!」
「「「ウオォオオオオオオオオオオオッ!!!!」」」
増援でやってきたジンガーム軍とサームクェイド軍に切り込みを掛けたジーク達。
「さぁて! 完全に直す事は叶わなかったが、レクスレート・リペア……リレートの性能、とくと見て行くと良いッ!!」
完全には修復が叶わなかったレクスレートだが、有り合わせで直したレクスレート・リペア。
これをジークが命名し、リレート。
リレートは本来のレクスレートの性能の80%しか出せない。
それだけで無く、簡易ブースターを取り付ける事が出来ず、以前の突進力が失われている。
しかし、その反面装甲を厚くし、今まで簡易ブースターへ回していたマナの消費が無く、扱いやすい仕様になっていた。
達也から貰ったアクティブレイドを抜き、ハンマーを大きく振りかぶろうとしているエンキドゥの胴を割く。
「全くもって……
言う最中、背後からエンキドゥがハンマーを振り下ろそうとしていた。
背後に居る事は気づいていたジークだが、避けようとはしない。
エンキドゥに乗る騎士はそんな事とは知らずに、ハンマーを振り下ろす瞬間、片腕があらぬ方向へ吹き飛んだ。
その後、目の前の景色が暗転し、何も見えなくなった。
腕と頭部をレティが撃ち抜いていたからである。
「格好つけるのは良いけど、背後くらい自分で守ってよね」
「すまないな。けど、レティが居るから私とカイルが前に出れるんだ!」
そう言いつつエンキドゥを切り裂くリレート。
「そうだな、ジークの言う通りだ」
大剣を振り下ろし、エンキドゥを撃破していくカイル。
そんな2人に言われたレティは思わずため息を1つ付く。
しかし、そこまで信頼されていると分かり、口元を緩ませ。
「全機、あの前衛の2人を援護するよ!!」
「「「了解!」」」
前衛の2人を援護する形となった。
――――――――――――
南西の砦にて戦闘中の達也、ロイ、セラにレオとテレサ。
この5名と反サームクェイド軍で攻略していた。
テレサの護衛がありつつ、レオが前線で戦う。
その横でレオの護衛と援護の目的でロイが同行。
「久々の戦場だァッ!!!! 今まで伯母上の手伝いで戦場に出れなかった分!! ここで晴らさせて貰うぜ!!」
「若、それ以上は危険です」
「おう、分かってるさ! だが、あれくらい撃たせてくれ」
「承知いたしました。では、その後はなるべく後方へ下がるように」
「おうよ! んじゃ、行きますかねぇッ!!!!」
レオの乗るレオルハートは背面からアンカーを地面に突き刺し、腰に装備された二門のガンランチャーを接続し、構える。
魔力を流し、出力が最大になった所でレオが叫ぶ。
「ヴァリアントォオオオオオオオオオオオオッ!!!!! ブラスタァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
発射された高出力魔撃砲はジンガーム軍とサームクェイド軍の
レオルハートの必殺のヴァリアントブラスターに飲まれた
しかし、高出力の魔撃を放ったレオルハートのマナは枯渇寸前。
その為、レオルハートは後方へ下がり、グレイプニールの援護に回る事となる。
「いやー! 最高だぜ! 名残惜しいが……達也、ロイ! 後は任せたぜ!!」
『グレイプニールをお願いします』
『任せて下さい、若!』
達也とロイの通信を受け、レオはテレサと護衛の
ロイはレオの分を引き継ぎ、正面城門の攻略を行う。
「エクサリアとエクトール達は魔撃による、攻撃! ジルフレア達は俺に続け!! 攪乱しながら、城門に張り付いている
「「「了解ッ!!」」」
「続け!!」
ロイ達は相手をかく乱しつつ、確実に相手の
ロイ達の部隊が有能ではある。しかし、考えると敵の砦。
それも正面からぶつかり合っていると言うのにも関わず、足の止まるヴァリアントブラスターを撃たせ、その間にエクサリアとエクトールを進攻。
更にロイ達の部隊が最前線に立ち、高速で移動しながら相手をかく乱する。
余りにも可笑しい。正面ならばもっと過激で人が多く死ぬ。
しかし、被害は軽微であり大破も殆んど無い。
何故、こんな事が起きているのか……答えは簡単である。
ロイが空を見上げると、魔撃による爆破が空を花火の様に照らす。
その中に1機だけ、空を舞いながら相手の
達也の乗るエクスカリバーである。
エクスカリバーが城壁の上の
100機近い
相手からすれば白い
そんな中、確実に倒してくるのは卑怯だとジンガーム軍とサームクェイド軍は思う。
何より、噂通りの性能と異名を実感するジンガーム軍とサームクェイド軍だった。
ジンガーム軍とサームクェイド軍はこれ以上の損害を出す訳には行かず、苦渋の決断をする。
砦の放棄である。この砦を放棄すれば、相手に北東と南西の砦を渡すことなる。
その意味は重々理解していた。
それをすれば、間違いなく中央都市であり、砦のデウンを明け渡すような事だ。
その決断を下す事が出来ないジンガーム軍とサームクェイド軍。
しかし、一つの通信が入った。
「……ッ! 了解、です。 これより!撤退戦に切り替える!! 各員に伝えろ!!」
ジンガーム軍とサームクェイド軍の指揮官が伝えると、通信部隊が各員に通達を始める。
これにより、南西の砦は5時間で達也達に寄って落とされたのであった。
達也達は北東と南西の砦を取り返し、歓喜に浸る。
歓喜に浸る中、ついに王都サームクェイドまで手の届く距離となっていた。
――――――――――――
王都サームクェイドの地下。
ここでとある実験が行われていた。
地下に眠っている遺跡機体のクラレントに乗り込み、起動しようとしていた。
「……やはり起動せぬか」
起動しようにも何故か、クラレントは起動しない。
回路、動力に異常があると思ったが別の場所であり、表示されている文字はエラーと表示されているだけ。
何が問題なのか、分からないままで考えていると。
「ゼトヴィクス様、この地下の書庫に興味深い物が」
ゼドヴィクスと呼ばれる男に一冊の古びた本を渡す黒ずくめ。
本を手に取り、ページを捲っていくとある項目に手が止まり、じっくりと呼んで行く。
「そうか、そういう事ですか」
「如何いたしましょう?」
「ここに記されている物を集めると、どの程度掛かるかね?」
「1日あれば、全て整うでしょう」
「宜しい、では集めなさい」
「承知いたしました」
その一言だけ言い残し、姿を消す黒ずくめ。
交代するように別の者が姿を現す。
「そうそう、損傷したレヴィルオーガはどうだ?」
「は、脚部の損傷は既に修復済みで、次の戦闘には出せます」
「そうか、それは上々ですね」
本を閉じ、クラレントの起動に今か今かを興奮を抑えきれぬゼドヴィクスは笑いを堪えられずにいた。
「クハハハハ……! さて、もう少しだ……! 我が国の為、覇道を歩む為の準備が整う……!! 白き死神か、何だか知りませんが……邪魔をするのであれば潰すまで。せいぜい、今の喜びを噛みしめていると良い、反サームクェイド軍……クハハハ!」
不敵に笑うゼドヴィクスであった。
魔導操士ガルガンティス 神蔵悠介 @kamukurayuusuke2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔導操士ガルガンティスの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます