18 天才と新型機 9
国境騎士団の1人がやられ、エクスカリバーに気を取られている最中に、ジルフートが近づき、セレスティアへ長剣を振るう。
「クソッ!」
セレスティアは盾でジルフートの攻撃を防ぎ、空かさず魔撃を切り抜けたジルフートへ放つ。
「は、早いッ!」
国境騎士団の予想以上にジルフートが速く、狙った場所へ到達前にジルフートが駆け抜けていた。
「なら、これはどうだ!!」
ジルフートへ魔撃を2連射し、魔撃がジルフートの背後に着いた瞬間、ジルフートが横へ急速回転して避ける。
「これもダメかッ!!」
急速回転したと同時に、方向転換をしていたジルフートは再び、機動力を生かしながらセレスティアへ向かった。
そもそも何故、ロイがここまで操縦をこなせているのか。
それは騎士団に入った当初、達也の使っていた訓練用の操縦席に乗り込み、苦戦はしたが達也と同じく、クリアしていたのだ。
「あのバカみたいな訓練の御陰だな……!」
魔撃が近づいた瞬間、後ろに下がり横に避けて、一気に近づくジルフート。
そのまま長剣を振るう。セレスティアは盾で防ぐが衝撃が強く、受けるにしても盾よりも先に腕が壊れそうになる。
「グゥ……!」
「厄介だな……こいつは……」
思わず本音を口にした国境騎士団であった。
ロイと達也が戦う中、カイルとジークは別の国境騎士団と対面していた。
完全改修までは行われていないが、ある程度改修の終わらせたカイルのアーヴェント改とレクサス改。
セレスティア3機はアーヴェント改に狙いを付け、魔撃を放つ。
だが、アーヴェント改に着けられたシールドユニットがアーヴェント改の正面で止まり、防がれる。
「何という防御力か!」
口にすると、
「このアーヴェント改の守り、易々と抜けると思わないで貰いたい!」
カイルが叫ぶ。そしてカイルの後ろに控えていたレクサス改が、横から出ると同時にセレスティア2機へ切り込んだ。
「私にはカイルと言う信頼出来る盾がある! そして、敵を切り裂くのは私の役目だッ!!」
叫びながらレクサス改を動かしていく。双剣を見事に操り、セレスティアが剣を片方の剣で捌き、反対の剣で横薙ぎに直撃コースだった。
「ヘキサ!!」
だが、掛け声と共に相手のセレスティアの槍がレクサス改へ放たれる。
「クッ!!」
レクサス改はすぐさま、当てへの直撃で無く、横から放たれた槍へ剣を当てて軌道を反らす。
その瞬間にヘキサの乗っているセレスティアがレクサス改へ長剣を振るう。
長剣を避けると、槍が放たれているのを体勢を低くして避けてから立ち上がると同時に切り上げる。
だが、当たる事は無く2機は一旦距離を取った。その行動を見たジークはため息が出る。
「はぁ……これは全く持って相手しづらいな……!」
2機相手している中、カイルは国境騎士団団長と対面していた。
団長のセレスティアは剣を振るい、アーヴェント改へ攻撃を仕掛ける。
だが、アーヴェント改のシールドユニットに防がれていた。
「中々堅いな!」
一旦距離を置こうとした瞬間、アーヴェント改の腕からワイヤーが発射され、セレスティアの盾に引っ付く。
「サンダーウィップ!」
カイルは盾に付着したワイヤーに電気が流れる瞬間、歴戦の感が働き電気が到達前に盾を離した。
だが、反応が送れ数秒程電気が盾を持っていた腕の動きが鈍くなる。
「……これは見たことも無い武装だな」
団長は片腕を動かすと、
「鈍いが……まだ使える!!」
怯むことなく、再びアーヴェント改へ突っ込む。
剣を振り下ろし、シールドユニットで防ぐが、
「そう守っているだけでは!! 戦場で痛い目に会うぞ!!」
セレスティアが体当たりをして、アーヴェント改の体勢を崩した所をすかさず、剣を振るいアーヴェント改に当たる。
「グゥウ! これが、国境騎士団団長の実力か!」
先手を取り有利に運んで行ったが、それはあくまで最初だけである。
それを知っていた陛下と公爵。
「もう慣れて対応している……流石、国境騎士団だ」
黒曜騎士団の勢いが徐々に弱くなっていく。
ジルフートに向かって魔撃を放ち、避ける行動を読み、
「グッ! 当たった!?」
ジルフートの肩に当たり、肩の装甲が剥がれ落ちる。
「ただ、速いだけなら我々は魔獣との相手の方が厄介だが!」
「魔獣でなく
魔撃が激しくなる中、必死に当たらない様に回避し続けるジルフート。
そしてレクサス改との相手に慣れ、レクサス改の手数が減っていく。
「それほどのピーキーな機体だとさぞ疲れるだろうな」
的確な槍捌きにより、レクサス改が押され続ける。
「ま、まずいな!」
思わずジークの口から零れると、レクサス改の相手をしていたセレスティア1機がカイルの方へ向かう。
「まずい! カイ――グゥッ!!」
「余所見している暇があるのかね?」
「ホント、全くもって……厄介だッ!!」
レクサス改と切り合う。団長はアーヴェント改に反撃の隙を与えぬ様、剣撃に打撃を織り交ぜながら戦う。
「援護する!」
「ここまでか……!!」
セレスティアが剣を構え、アーヴェント改へ突っ込む。
その瞬間、
「忘れて貰っては困るなッ!!」
ブースターを吹かし、一気に優勢である国境騎士団へ突っ込むエクスカリバー。
ジルフートの相手をしていた1機がエクスカリバーの方へ振り返り、
「今度は同じようにはいかんぞ!!」
「なら、本気で行かせて貰う!」
エクスカリバーへ魔撃を放つ。それをエクスカリバーは横へ避けると、その回避に合わせて魔撃が放たれるが、一気に上昇して回避し更に狙いを定めて魔撃を放つ。
だが、前進して魔撃の横をギリギリで避けた所へ、魔撃を放つが地面ギリギリの所まで下降と同時に一気に加速する。
「これが
「まずは1機!」
空中で斜めに前転と同時に踵で頭を蹴リ飛ばし、そのままアーヴェント改に迫るセレスティアの足元を長剣で足払いした。
「後はよろしくッ!!」
エクスカリバーは着地と同時に、フレームと魔鉱繊維が耐えられず崩れ落ちた。
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