31 王位真偽戦争 4


  サームクェイドが内戦を始めてから、3ヶ月がたった。

 この日、達也達はオルシェンにサームクェイドがきな臭い事になっていると、聞き偵察を目的とした遠征に赴いていたのだ。

 最初はサームクェイド側も見慣れぬ魔装騎兵フレーム・ストライカーを目にし、敵だと勘違いされるが、達也達の黒曜騎士団の旗を確認して味方だと信じてくれた。

 その後、達也とセラ、ロイにカイル、ジーク、レティは王宮に呼ばれ馬車に乗っていた。

 因みに、振り分けは勿論、


「……見慣れぬ魔装騎兵フレーム・ストライカーだな」

「そうね」


 黒い魔装騎兵フレーム・ストライカーを見ながら呟くロイとセラ。

 そんな2人に達也が口を開く。


「確かに、あれは見た事が無い。けど、サームクェイドの魔装騎兵フレーム・ストライカーはエクトールと言って、200年前から今もなお製造されている機体だ。まぁ、ここら辺は山岳やら平地が多い分それに合して、軽量化されている」

「どうも、魔装騎兵フレーム・ストライカー好きさん」

魔装騎兵フレーム・ストライカーなら何時だって説明してやるさ」


 この3人である。フフンと鼻で笑うと、門を超え王都サームクェイドに到着する。

 王宮へ到着後、達也達は女王であるティアリーズ・クレン・サームクェイドと謁見。

 膝を折り、頭を下げる。


「表を上げよ」

「はッ」


 ゆっくり顔を上げ、初めて対面するティアリーズ・クレン・サームクェイドを一目見た時、達也は思う。

 明らかに他よりもこの女王から放たれるオーラが違う。

 だが、何処か違う気もする達也。


「其方たちがハーフェンの騎士団か?」

「はい、お初にお目にかかります女王陛下。私はこの騎士団、黒曜騎士団団長を務めてさせて頂いている新海達也でございます」


 騎士団の名を聞き、辺りが騒々しくなる。


「あれがハーフェン最強の騎士団!?」

「まだ若いでは無いか!」

「超弩級魔獣を単騎で討伐する猛者か……!」


 1人の騎士が手を2回叩くと、全員が静まり返る。


「静粛に。大事な客人でもあるのだぞ」

「良いですよ、オゥルオ。黒曜騎士団団長、既に噂ぐらいは聞いているかも知れませんが、どうか聞いては貰えないでしょうか?」

「お聞きいたしましょう」

「実は……今この国では2つの勢力に分かれています。反サームクェイドとサームクェイド同士の争いです」

「なるほど?」

「実は反サームクェイドには……私の偽物がいるのです」


 女王陛下の発言に再び騒々しくなる。

 再び同じ騎士が手を叩き、辺りを静寂に包ませた。


「諸悪の根源です……この内戦のせいで民は怯えています……。どうか、どうか……貴方達のお力をお貸ししては頂けないでしょうか?」


 頭を下げながら言う女王陛下に達也は口を開く。


「……女王陛下、その件は即座に決める事が難しくあります故、どうか1日、お時間を頂けないでしょうか?」

「構いません。貴方方が、我が国の為に力を貸してくれると、信じております」

「善処してまいります。それと私からも1つ聞いても宜しいでしょうか?」


 この発言を聞いた瞬間、その場に居合わせたセラ以外の騎士達は、嫌な予感がすると感じ取った。


「この国には見慣れぬ魔装騎兵フレーム・ストライカーがあります。あれは新型でしょうか?」

「ふむ、それはまだ話せぬ」

「……何故でしょうか?」

「これは重要な情報ですので……貴方方が協力関係になった時に話せて頂きます」

「承知いたしました。では、私達はこれで失礼いたします」


 一礼してから立ち上がり、女王陛下に背を向けその場を去る。

 城から出た達也達は用意された宿で集会を行った。


「達也……頼む……これ以上心臓に悪い事をしないでくれ……」


 頭を抱えながら言うカイルに達也は首を傾げた。


「そんな可笑しい事聞いたかな?」

「ああ、十分に聞いてたぞお前……」


 呆れた顔で言うロイ。そして少し空気が重くなるが、達也にはそんなの関係は無かった。


「ふーむ……どうも、陛下の言っていた、きな臭さがあるなぁ……」


 女王陛下と対面した達也だが、きな臭さが残るのであった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る