27 現代に蘇る遺跡機体 8


 涙目で達也に上目使いをしながら聞くセラ。


「あぁ、本当だ。だから、ありがとうセラ」


 窓から月明りのみが部屋を一部を照らす中、笑顔を見せる達也。

 そんな達也にセラは、涙を流してから達也を抱きしめてから共にベットに向かった。

 次の日の朝、下着姿のセラの横で起きてからセラの寝顔を見てから笑う。


「……心配かけすぎたな。学園じゃ研究棟に籠る美少女で色んな奴から告白も受けている女の子…。ダメだな……起きてると言えないんだよなぁ……まぁ、寝てるから……好きだよ、セラ」


 そのまま頬に唇を近づけようとした瞬間、顔を掴まれそのままセラの唇に持っていかれる。

 驚きすぎて何とか離れると、艶めかしい姿で起き上がるセラ。


「……私も好き」


 赤面して涙目のセラを見てから、


「ずっと、好きだった……」

「私もッ……!」

「な、何だ……りょ、両想いじゃん……」

「あ、達也赤い」

「い、いや……まぁ」

「うん、私が好きになった達也」


 太陽の光がセラの笑顔を照らし、思わず見とれる達也。


「うん、好きになって良かったわ」


 ふと、口から思った事が漏れるとセラが赤面した。


「んじゃ、俺は陛下の所行ってるから。あー、後エクスカリバーはもう壊れない。グレイプニールで会おうな」

「え!? ちょ、ちょっと!!」


 そのまま上着を持って部屋を出た達也であった。

 達也はオルシェンのいる部屋にに入り、何故1ヵ月間生き延びる事が出来たのか説明する。


「……そうか、それなら納得も行く。あの場所に行っていたのか」


 ハハハと笑うオルシェンに何が可笑しいのか、思うと、


「達也、お主のいた村は……幻の村でな。全ての存在が簡単に入れる所ではないのだ」

「何故でしょうか?」

「次元と次元の間にあるからだ。その為、一度見つけた者がそこに向かい、もう一度入ろうとしたが、ただそこを歩いただけ」

「でも、私は連れられて来ました」

「既にエクスカリバーと共には行っていたのだろう。それに……名前を付けたとも」

「はい」


 高らかに笑うオルシェンに思わず驚く。


「教えよう、彼らは何者なのか……人間ではないのだ、彼らはな……精霊だ」

「……あの幻とも言われている、精霊ですか?」

「ああ、そして名前は貴重で名が付かない時もあるが……どうやら名が付いたようだな、名前はその精霊が形を維持する重要な物なのだ。そして、名がついた者が次期精霊王となり、名を与えた者への祝福がある」


 まさかの事実に驚きを隠せず、目を見開く達也。


「それとあの村は500年前から存在する。しかし、これは秘匿とされている」


 500年前と言うと……12機作られた暗黒時代か……でも、何で秘匿なんだ?

 心の中で思ってから口を開く。


「何故でしょうか?」


 オルシェンは渋い表情をしながら達也へ指を差す。


「其方が村から伝授された、その技術だ。エクスカリバーはその技術で作られた物だからだ」

「……しかし、簡単に入れる訳では無いのですよね?」

「時代は分からぬ、今は簡単に入れずとも……もし、簡単に入れる日が来れば間違いなく、あの空間は最強で制圧される、だから秘匿にする必要がある。それに先代から伝わる決まりでな、ワシ等はあの村を黙認と言う形で人が近寄らぬ様にしておる」


 まさか、そういう理由だとは知らずとんでもない事をしていた達也であった。

 何より、500年前からあると言う事に驚愕していた。


「……私はどうなりますか? その秘匿の村に、失われた技術を持って帰ってきた、一言で言えば厄災ですが」

「ハハハッ!! 面白い事を聞く。では聞こう、其方は厄災を起こすつもりでも?」

「そんな事はありません!」

「そう、だからその技術が其方に伝授されたのだ。さて、この話はここでお終いだ。其方に褒美をやらねばならない。何を所望する?」

「でしたら、陛下。ストーンドラゴンのクリスタル、ボワー・トリドンのクリスタルをお譲りさせてもらませんか?」

「良かろう。あれほどのクリスタルは砕くのも勿体ないからな。砦に送っておこう」

「は! ありがとうございます!」


 その後、達也はセラと共に砦に戻る。

 そこで団員の前で交際発表、カイルに何か言われると思っていた達也だが、「いつくっつくのか正直心配していた」と言われた。

 数日後、砦にストーンドラゴンのクリスタルとボワー・トリドンのクリスタルが届いた。


 達也は整備士達を集め、エクスカリバーのフレーム製作を始動。

 達也しかクリスタルとミスリルの織り交ぜるキメイルが作れない為、達也のキメイルが完成される度にフレーム製作を始めていく。

 しかし、整備士達はこのフレーム製作に苦難を強いられていたのだ。


 そもそも本来ミスリルの硬度が高い為、1つ加工するのに下手をすれば2日掛かる。

 セラの開発した作業用パワーバスク。簡単に言うとパワースーツである。

 パワーバスクのアームを切り替え、折り曲げる用へ変えて、機械の力を使っても2日掛かるのであった。

 整備士達が苦戦しながらも2ヶ月が経った。

 エクスカリバーに新しいフレームが取り付けられていく。


「オーライ! オーライ! よし! 止めろ!」


 旦那の掛け声と共にフレームが装着されていく中、操縦席で待機する達也。


「よし! 胸部フレーム完了!」

「脚部完了です!」

「腕部完了!!」

「背面、頭完了です!!」


 旦那が頷き、エクスカリバーを見てから、


「達也ぁ!!」


 親指を上げ、完了と合図を送る。

 それを見た達也はエクスカリバーを起動させた。

 起動させると、今まで聞いた事の無い起動音とリアクターがフル稼働する。


「よお、エクスカリバー……」


 エクスカリバーを歩かせ、格納庫から外に出る。


「今までごめんな。お前に見合う翼が無くて……だけど」


 外に出てからブースターを起動させ、


「これからは思いっきり羽ばたこう!! 俺達と共にッ!!」


 一気に加速し、一瞬で空高く舞い上がった。

 一瞬体を後ろに押されるが、エクスカリバーの本来の性能を引き出したと言う感覚が強く、嬉しくなり更に加速させた。

 砦の周りを音速で飛ぶエクスカリバーに砦から出てきた団員は口が開く。

 想像以上の性能に団員達が予想していなかったのだ。

 その間セラが観測し、フレームが肉眼で壊れていないか確認し、


「……成功ッ!!」


 遂にフレームが壊れる前兆も無く飛ぶエクスカリバーに歓喜した。

 その数秒後に砦前に着地をして、エクスカリバーから降りる達也。

 整備士達は直ぐに壊れていないか確認するが、


「い、異常なし……」

「こ、こっちもです……」

「お……同じく……」


 全く異常が見られず実験が成功へ終わり、


この日地上最強の魔装騎兵フレーム・ストライカーが生まれた。

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