魔導操士ガルガンティス
神蔵悠介
1 プロローグ
朝、目覚ましのアラームで目を覚ます。
まだ、寝ていたいが……そうはいかない。
「……よし」
寝起きで体が重いが、仕方なく起こしてから寝間着を脱いでベットの上に投げる。
それからYシャツを着て、制服のズボンを履いてから鞄を持って部屋を出た。
彼は
それは何故か? 達也がただ思い出を思い返しているだけで直ぐに分かる事だ。
えーっと確か、この後は階段を下りて行くと、そう……朝ご飯を用意してくれているんだ、母さんが。
達也は思いながらリビングの扉を開けると同時に、焼かれた香ばしい肉の香りが、鼻腔を駆け抜けて食欲が満ちた身体が反応してお腹を空かせた。
「あら、おはよう」
「はよー……腹減った」
「はいはい、直ぐに用意するから」
それから程なくしてから朝食が出される。
食パン2枚、目玉焼きと焼かれたウィンナー。
油がテカリ、良い焼き色を出し更に香ばしい香りがまた食欲が増す。
……まぁ、高校生らしい朝を迎えていたんだ、この時は。
それからは朝食を食べ終えてから、忘れ物をしたので自室へ戻る。
自室の扉を開けてからの光景、まさに達也からすれば天国。何故なら、
「はぁああああああ……このプラモ! ロボ! それに合わせる武器!!」
達也の部屋はプラモやロボ漫画で埋め尽くされているからだ。因みに、壁にも好きなロボアニメのタペストリーが飾られている。
「おっと……こんな事してたら遅刻する」
自室に忘れた教科書を鞄に入れてから達也は玄関へ行き、靴を履いてから、
「行ってきまーす」
母さんに挨拶して学校へ向かおうとした。
達也はスマホで今後発売されるプラモを確認していたんだ。
何故だかその時体が浮いた気がした。違和感を感じてからスマホから目を離すと、周りの風景が灰色に染まっている。
まるで……時間が止まっていたかの様に……。
「何だ? 番組のドッキ――」
ドッキリと言おうとした瞬間、下へ落ちた。地面があったのにだ。
「――嘘だろぉおおおおおおおおおおおお!!!!」
辺りを見ると真っ黒で何も見えない。そのまま落下して行くと正面から一筋の光が差し込む。
「召喚って奴か! これ‼」
そのまま光に飲まれると、
「グッ!」
背中を何かに打ち付けて悶える。
「&%$”)&!?」
と何語か分からない声が近くから聞こえた。
声のした方へ視線を向けると、中世の服装をした男性がこちらを驚愕しながら見ていた。
とりあえず、息が出来るようになり体の痛みも消えたので体を起こす。
「#$%&'AL?」
……本当に分からなかった。アラビアとかではなさそうだ。英語ならまだ嬉しいのだが。
すると、男性が手のひらをこちらに向けてから、
「$%&#」
何かを言うと言うより、多分唱えた。青白い光の輪が俺を包むと、
「聞こえるかい?」
「あ、はい。聞こえます」
「おお! それは良かった良かった!」
男性が笑顔で近づいてきてから俺の肩に手を置いた。
まだ状況がしっかり理解していないが、
「すみません、俺は召喚されたのでしょうか?」
「おお、召喚されたと分かるのかい?」
「ええ、まぁ……」
ラノベのおかげです、何て事は言えない。話がややこしくなりそうだからだ。
心で思いながら少しだけ視線を横へ向ける。
「でも、その様子だと何故ここにいるのか分からないそうだね。ああ、私はこの家の主、オーキンス・ベロウズ」
「あ、俺は新海達也です。えっと……申し訳ございませんが、私は何故召喚されたのですか?」
「んんッ!! その件なんだが……」
「はい」
あれだな、勇者召喚とか救世主の召喚とかだろう。
そんな事を勝手に確信して、その言葉を待っていると、
「……私の誤召喚だ」
「……え?」
「すまない、本当に私のミスなのだ」
心構えが違った方面であった為、達也自身ショックと言うより驚愕の方が大きい。
そんな達也を見たオーキンスは、言おうとしていた事を飲み込む。
今言えば彼の心が壊れてしまう、かもしれないと思ったからだ。
「……えっと、すみません。お聞きしても?」
「……どうぞ」
「……あの窓の外にある……大きいものは何ですか?」
まさかの発言に驚愕する。この時、達也の目に映った物が今の現状を忘れさせる程であった。
オーキンスは振り返り、窓から見える物を見てから、
「ああ、あれは
「フレーム……ストライカー……」
すると立ち上がり、
「近くで見せて貰っても良いですか!?」
目を輝かせながらオーキンスに迫る達也。
余りの勢いに思わず身体を反らしながら後ろへ下がる。
「え、ええ……構いません」
達也を連れて外に待機させてある
膝を着いて待機しているが、高さは5mは超えている。
「う……」
突如蹲る達也に心配になり、声を掛ける。
「だ、大丈夫か?」
「う……うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
雄たけびを上げ、
泥で汚れた
「よ、汚れてしまうぞ!」
「構いません! ハァアアア……まさか、まさか! ロボットに触れられるとは!」
先程の達也とは丸で別人。そう思ってから、今なら伝えられると思い、
「実は新海達也殿、君は誤召喚の障害のせいで元の世界へ戻れなくなっている」
「あ、そうなんですね! いや、でも俺はこの世界に呼ばれるべくして呼ばれた! と勝手に解釈しました! 今‼」
「そ、そうか! だが、こうなったのは私のせいだ。君はこの家に住むと良い」
常人なら、今の事を伝えるだけで心が病んでしまう所だが達也はそうはならなかった。
「新海達也殿、
「大好きです! これに乗りたいです!」
「ハハハ! それは出来ぬよ、何故なら君は操縦の仕方も知らないではないか。それに体も鍛えなければ乗れないのだ」
「ではどうしたら!」
目を輝かせながら聞いてくる達也にフフフと笑うオーキンス。
「体、魔力、精神力を鍛える事だ。その為に
「騎兵学園……そこに入れば乗れる……」
ここで達也は心の中で決心する。
「オーキンスさん……!」
突如真剣な顔付きでオーキンスを見据え、
「私に……ここで働かせて下さい」
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