51 王位真偽戦争Ⅲ 2
ロイがティアを守り抜き4日が経過していた。
達也達は北東の砦を攻略している最中である。
「クソッ!! あれが白き死神かッ!!」
「撃ち落とせッ!!」
ジンガーム軍とサームクェイド軍は空に舞うエクスカリバー目掛けて魔撃を放つ。
飛んでくる魔撃に対しエクスカリバーは機体を横に回転、その場で宙返りしながら避けていく。
そして、魔撃を放ち少しづつ相手の
圧倒的な性能差に相手は絶望を抱いていた。
「クソッ! あんなのどうやって倒せってんだよ!」
「当てろ! 当てれば落ちる!」
「当てれればだろ!」
文句を言いながらも、上空を飛ぶエクスカリバーへ魔撃を放ち続けるエンキドゥ。
そんな中、達也は上空で魔撃を避けつつ状況を把握していた。
「ふむ、カイル義兄さん達が城門を攻め落としたな。んじゃ、囮はこの辺にしておいて、と」
実は達也は囮で上空から攻め、まず城門の上の
その後、上空へ意識を向けている間に地上から城門を攻める作戦。
ある程度、城門側へ行かせぬ様に達也は魔撃を放ちエンキドゥを撃破。
そして、囮だとバレぬ様に魔撃を避けつつ攻撃。
ギリギリのところで避けるなどして惹きつけて置く。
という、カイルの無茶な作戦。
それを聞いた騎士達は顔を青ざめる。
義弟にそんな無茶な作戦を押し付けるとは、この人は本当に人なのだろうか、と。
しかし、それを思ったのはサームクェイドの者のみ。
こちら、ハーフェンの者は団長である新海達也の事を良く知っている。
だからこそ、この作戦は生きる。そして、必ず成功すると確信したいた。
その結果。
「じょ、城門が突破されたぞッ!!」
「な!?」
「ま、まさか……白い死神は……」
「囮だッ!!!!」
砦に籠城していたジンガーム軍とサームクェイド軍衝撃が走る。
まさかの城門が突破されるとは誰も予想していなかったのだ。
予想できない理由、それは敵エース機がたった1機で上空に現れ、100機近くいる
少なからず、囮言う可能性もあったが、味方からの連絡が無かった。
それが原因で予想が出来なかった。
そして、今ままで控えていた白い死神が、本領を発揮し始めた瞬間である。
「死神を警戒しつつ城門へむか――」
指示を出そうとした隊長機の頭を撃ち抜いたエクスカリバー。
その後、
「そう簡単に行かせる訳にはいかないさ」
エクスカリバーの中で呟く達也。
その光景を目の当たりにした相手は、既に戦意喪失するものが大多数。
地上から敵の侵攻、空は死神という絶望。
結果、ジンガーム軍とサームクェイド軍は早期撤退且つ、降伏宣言。
達也達は取り戻した砦に集合し、旗を掲げ直す。
「よし! みんなお疲れ様だ!! また1歩、王都へ近づいたぞ!」
「「「おぉおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!」」」
「照明弾の準備を急がせて下さい! 準備が出来次第、報告!」
「「「了解ッ!!」」」
喜びに浸る中、約束の時間を確認する達也。
「よし、12時間以内だ……後は、照明弾だな」
「照明弾の準備できました!」
「よし! では、空に向けて放て!」
「了解ッ!!」
達也の掛け声と共に照明弾が放たれる。
光の玉が空へ舞い上がり、そして。
空で眩い光を放ちながらゆっくりと降下していった。
「よし、これでみんな撤退する」
12時間で落とすと言う作戦に出ていた達也達。
それを見事に遂行し、被害も最小限に抑えた。
しかし、喜びに浸ろうと言うのに何故か喜びに浸れず、胸の内に秘めた不安が強くなっていく。
そして心地よい風では無く、肌を舐めるようなぬるい風が達也の顔を駆け抜ける。
「……何だ、この感じ……。南西のみんなは大丈夫か……?」
不安を胸に抱きながらも仲間の心配をする達也であった。
――――――――――――
中央の砦と南西の砦を同時に陽動を掛けているベルクラース、ムルジナ、レティとセラ。
しかし、未だ達也達の方で勝利の合図が無く。
まだ12時間が経ってはいない。
「ベロウズ艦長! 中央戦線損害率20%! 南西戦線に損害率30%です!」
「クッ……やはり南西に配置されているあの
「了解ッ! こちらグレイプニール! ローディグスへこれから支援射撃を行う、ポイント座標を送れ!」
『わかッ……たけど! ちょっと待ってね!! あーもう!! 敵多すぎ!!』
通信先から爆破音や金属同士がぶつかり合う音がブリッジを響かせる。
その状況からセラはレティでは困難だと察した。
「レティさん、今いるポイントを教えて! 後はこっちで観測射撃を行います!」
『了解! ポイント送ったよ!』
「ありがとうございます!」
座標データを受け取り、セラは目の前に表示させる。
「レティさん、ベルクラースさん達はどの辺りにいますか?」
『そこから北東に2キロ!』
「了解しました! では、ご武運を!」
『そっちもね!』
通信を終えると同時に表示された座標と地図を照らし合わせる。
そして、ベルクラース達のいるポイントをある程度まで確認後、丸を付ける。
「ノーマ姐さん! そのポイントに通信して、ベルクラースさん達絶対混線してて、通信出来ないから!」
「了解したわぁ! こちらグレイプニィル、応答お願ぃします」
『こち……ら……クラース』
「ベルクラァスかしら?」
『あ……あぁ! そうだ、こちらベルクラース! どうしました!』
通信が取れるとノーマはティアへウインクする。
ティアは1つ頷いてから、手元の受話器を上げた。
「こちらグレイプニール艦長セライラ・ベロウズです。本艦はこれからそちらへ支援射撃を行います。ポイントは送って有りますので、ただちに退避してください」
『了解! 確認した! ただちに退避する』
「どの程度で退避できるか?」
『40秒だ!』
「了解、40秒後支援射撃を行います」
『了解!』
――――――――――――
中央戦線よりのベルクラース達はセラ達の通信を受け、直ぐに退避の準備に取り掛かる。
「全機に告ぐ、40秒後ここにグレイプニールからの支援射撃が来る! 相手を引き付けつつこのポイントから退避! 良いな!」
「「「了解!!」」」
ベルクラースから支援射撃ポイントのデータを受け取った騎士達は声を揃えて叫ぶ。
盾を構えながら退避し、相手に悟れれる様に下がっていく。
その後、カウントダウンが10秒の表示がされる。
「各員いるな!?」
「「「います!!」」」
「このポイントで防御態勢! 魔撃を放ち続けろ!!」
「「「了解ッ!!」」」
膝を地面付け、盾を正面に構えて防御態勢を取るベルクラース達。
相手は何も知らず、支援射撃ポイントへ入っていく。
そして、突如目の前が眩い光が起きた直後、爆風が辺りを襲う。
ベルクラース達は防御態勢をしている為、被害はなく。
辺りに居たジンガーム軍とサームクェイド軍の
土煙が上がり、前方を確認したベルクラース達は驚愕していた。
「まさか……たった一撃でこれほどの威力があるとは……敵にしなくて良かったと思うよ、黒曜騎士団」
大きなクレーターと共に、大破し瓦礫となった
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