5 転移後編 4
その中学園でお昼休憩を挟んでいた達也達。
だが、すぐに異常事態だと言う事に気づいた。
「セラ、ロイ、ガーゼンレイがいない」
「偵察にでも行ったんじゃないのか?」
「いや、そんな事はあり得ない。ガーゼンレイは指揮官機で、重要な事以外では都市から離れる事は無い」
そもそも何故気づいたのか、簡単である。達也はこの都市に配備されているガーゼンレイの数を把握していた。
その全部で4機、その内の2機が学園から見えるポイントがあるが、そこに居なかったのだ。
「……胸騒ぎがする」
「気のせいじゃないのか?」
「……」
気のせいだと主張するロイに対して、セラだけは真剣な顔付きで考え込んでいた。
……確かに達也の言う通り、ガーゼンレイが動くという事は大事である。
思った瞬間だろうか、かなり多きい地震が起きて3人は立っていられずしゃがむ。
地震が収まり、何かと思うと警報が都市中に鳴り響いた。
「この警報って……まさか!?」
聞いた事のある警報にセラは驚愕する。
『特殊警報! 超弩級魔竜ストーンドラゴンが出現しました! 都市にいる騎士は
警報内容を聞いた学園、都市が混乱の渦に陥った。
この世界に来た達也ですら、この事態が以上だと言う事に気づく。
「何で、超弩級魔獣が都市近辺に現れた……!」
本来あり得ない、達也達の居る国ハーフェンは魔獣の良く出現する国である。
だが、生息としては国から東の森に現れる。そして、達也達のいる学園は王都アーヴァンのすぐ近くのクリスタで、現れるとしたらまず、王都の前を通る事になるのだ。
しかし、それを見過ごす程この国は愚か者ではない。それを知っていたからこそこの事態は異常なのである。
「現れるとしたら……海か!?」
達也の予想は的中していた。森が続く遥か東、湾曲しているが一部海が差し掛かっている。
その東から超弩級魔獣を悪意の持った者達が引き連れてきた。
「皆さん逃げますよ!」
「馬車を早く準備せよ!!」
「王都への連絡も忘れるな!!」
教員達が慌ただしいが、的確な指示を出していく。
―――――――――
超弩級魔獣の出現を聞いた王都ハーフェンでは、国の祭りごとを話し合う、国政会議を中断させた。
騎士から報告を聞いた貴族は狼狽え、現国王オルシェン・カルナ・ハーフェンは余りの出来事に驚愕を隠し切れずにいた。
「……デウス公爵よ、クリスタの兵力でストーンドラゴンを足止めをしたら、どの程度まで持ちこたえられる?」
「……持って、10分と言った所でしょうか……」
ここで1人の侯爵、ロイの父親クルシュ・ダキアヌが思い出す。
「陛下、今学園では先日公開しました新型機の展示会が行われています!」
「と、言う事は客人も多くなっているな」
オルシェンは立ち上がり、
「大至急近辺の
「ハッ!!」
騎士はすぐに部屋を出てから
オルシェンは会議を中断させて、窓から山で隠れて見えないがクリスタの方角を見ながら、
「頼む、間に合ってくれ」
―――――――――
クリスタでは現在避難発令と共に達也達は避難していた。
「……待ってくれ」
「どうした達也?」
「どうしたの?」
ここで思い出したのである。
「新型機は誰が避難させる?」
「そんなの都市に居る騎士がするだろう?」
「いや、騎士達は今ストーンドラゴンの相手で手が一杯だ」
「……ッて事は」
「空きっぱなしだ。それに丁度3人いる」
その発言にロイは嫌な予感を感じた。
「まさか……?」
「乗って避難させるぞ! 先生!」
ロイの話を聞かず、直ぐに行動へ移す達也に頭を抱えた。
だが、すぐに気持ちを切り替えて達也とセラの後を追う。
「な、なんだね! 新海!」
「広場に向かいます! では!!」
「あッ! こら!」
先生の抑止を振り払うように早急に新機体の元へ急ぐ3人。
しかし、既に新機体は敵の手に落ちているとは知らずに。
―――――――――
そして何の運命か、たまたま戻ってきたカイル達が動き出している新型機と遭遇した。
何故か動き出しているセレスロアへ警戒していた。
「こちら学園騎士のカイルである。確認したい、顔を見せてくれないか?」
確認の為声を掛けるが、セレスロア達が顔を合わせてから、腰に装備されている長剣を取り出して突っ込んできた。
瞬時にカイルはバーを引いて後退させてから、盾から剣を取り出して盾で剣を受ける。
だが、最新鋭機に対してカイルの機体は改修が積もった機体ではあるが、ベースがサレルコアである。
「クゥッ!! これが新型の力かッ!!」
ただの横薙ぎに対して盾を構えるが余りの出力が段違いすぎて腕ごと弾かれる。
マズいと判断したカイルは後退して距離を取り、戦況を立て直そうとしたが、
「逃がす訳が無いだろう!」
敵の声と共に既に距離を詰められていたカイル。瞬時に盾を構えるが盾を掴まれ、横に振り払われる。
そして胸部へ拳が放たれ、腕に内装された杖から魔撃が放たれた。
「「カイルッ!!」」
カイルの機体は膝を着かず、そのまま静止していたが軋みを上げながら長剣を振り下ろした。
「クッ!! 不死身か!?」
「――ッハァ……ハァ……」
不死身と言う事では無く、カイルの機体は騎士らしく強く、固くというコプセントの元で改修された機体で装甲がサレルコアよりも厚かった為、即死にはならなかった。
しかし、搭乗席への直接攻撃でカイル自身のケガが酷い。
「ただの騎士見習いだろうが――グッ!!」
「余所見するとはいい度胸だッ!」
余所見している所にジークの
搭乗席から直ぐに脱出してから、逃げ出そうとする賊をレクサスの手が掴もうとした。
「させるか!」
カイルを倒したセレスロアがジークの
「クゥウッ!! やるな!」
「この!!」
レティの
「チッ! ウザイな! だが!!」
魔撃を避けながらローゲンに近づいて長剣を切り上げて片腕を落とし、膝へ魔撃を放ち脚部を破壊後、頭を魔撃で吹き飛ばした。
「キャアアアアアアアアアアア!!!!」
「レティッ!! このッ!!」
レクサスの残った片腕で横に振り払うが簡単に避けられる。
相手は部下が回収されたのを確認後、一旦距離を離す。
このまま戦えば間違いなく勝てるだろうが、消費したマナと被害を考えれば得策ではないと考えた。
歴戦の経験で頭に血は登っておらず戦況をしっかりと把握していた。
「これ以上は被害も大きくなる。それにそろそろ増援が来るだろう……引くぞ!」
敵兵が何かを空に投げると突如眩い光が
「クソ!」
「光で何も見えない!」
その後直ぐに煙幕弾を無数にばら撒き、煙幕を起動させてからその場から離脱した。
視界が戻った頃には
「煙幕か!」
煙幕で視界が覆われていて後を追うにも追いきれなかった。
無闇に動けば建物を壊す恐れがあった為、動くに動けなかったのだ。
それよりも、
「カイルッ!!」
ジークがカイルの
「ウッ……ジークか?」
「ああ! 死ぬなよ!!」
「い、いから……新、型を……」
「すまない、閃光と煙幕で逃げられた……」
「……そうか」
意識が遠退き、そのまま気を失った。
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