不真面目なタイトルが多い件について!(発案者・レディ)

角頭に肌は黒の、跪いてるガモンを横目に、近くにある戦闘の巻き添えにならなかった机に近づく


左手でタバコを挟み、皿に盛り付けられた生ハムに手を出し、口に運ぶ


「お、うめえ。オリーブオイルがかかってんのか、料理には詳しくねぇが、アジトの飯よりうめぇ」


「…」


ガモンはだんまりだが、焦りと冷や汗で顔色が悪いのがハッキリわかる


タバコ吸いながら質問する


「さっきも言ったが…ふぅー…逃げるなら今のうちだ。殺すのが今か、後になるだけだ」


殺すことは確定している


「……」


「だんまりか…まぁ俺は毒回ってるからって、弱ってから襲おうという考えは捨てとけよ?状態異常の魔法はほとんど打ち消せれるから俺の体」


ティアのババアに受けた、鍛錬の賜である


「なれば…なれば…っ!終着地点が同じなれば!死なば諸共よ!」



そう言って突っ込んでくる



ガモンは自分自身になんらかのバフを行い


収納空間魔法から1本の剣を取り出し、上段から斬り込んでくる


俺は体を半回転し、ガモンの脇腹目がけて、左手に持ったナイフを刺す



そして抜き、背後に回って両足の膝裏を斬る


一旦離れる、ここまでやってガモンの剣が振り下ろされたのだから、ガモンはもう、俺の速さについて行けてない


「もう立てねぇだろ、首出せ。介錯してや────」


「否!まだだ!」


回復魔法を使い、膝裏を治し始める


「これでまだ…」


ブーツナイフを投げ、眉間に深々と刺さる


「遊ぼうかと思ったが、飽きた。眠れ」


近づき、額に刺さったナイフを抜いて首に横一線


血が吹き出し、黒い人の形をしたものが事切れたことを確認すると、急に目が動きだし、口が動く


喉を横薙に一閃したため、声は出せないようだが────


『死・な・ば・諸・共』


そんな口の動きか


「って、悠長にふけってる場合じゃねぇ!!」


ガモンは身体全体を凝縮し始め、拳大の丸い黒点だけになりはじめる


それを見た俺はすぐ様、窓を突き破り夜の大空へと堕ちた



その落ちる瞬間とともに、60階層はガモンによる自爆で跡形もなく吹き飛んだ






隣のビル壁に、両足の靴裏を着けながら落ちていく


斜面90度の壁は、俺の足で削られていき、落ちながら俺はシャドに連絡する


「終わったぞ」


“お疲れさん、ガモンちゃんの遺言とかあったら共有するぞ?“


「ちゃん付けしてやるなよ、爆散してるけど。まぁその類はなかったな、会場はそのままにしたが…」


“あぁ、ギルドの潜伏してるヤツらを片付けに向かわせる“


「助かる、俺の推測では“街の人間をゲーム化し、操作する“、と思っているが?」


少し時間が経過して地に着いた俺は、推測を聞いたシャドの長い長いため息を聞く


ムカつくなこいつ


“ハズレだバカ、ゲームってなんだよ…俺が調べた限りでは、無意識無関心による影響は別の目的のために行ったそうだ。定期的にキリが発生してただろ?その霧自体が、今回の影響を及ぼす魔術でもあり、また霧自体の成分に操作系侵食型ウイルスのようなものも入っていたようだ。街の人間を操るような動きをしていたのは、そのせいだろうと予測できる“


長々と説明ありがたいね


地面に着いて、スーツに付着した汚れを軽く落とし、歩き出す


しかし、だ


「原因はわかったが、目的が見えねぇんだよな。操って何がしてぇんだ?」


“ガンアス司令官がいい例だ、黒を白に出来る“


何も不思議に思わず、それが当たり前、それが当然だと思い込ませる


白を→黒に


「それだけじゃまだ薄い、何かあるはずだ。決戦は明日に備える、調べれるか?」


“まだ調べも途中段階だからな、結果出たら連絡しよう“


「有難う、俺はアジトに戻るわ」


そう言い残し、連絡を切る

そしてまたシャドに連絡をし直す


“なんだよ、何か心配事か?“


「気をつけろよ“シャド“、何年も霧の影響受けてんだろ?」


“ハッ!そんなことくらいでかけ直すなよ、そこら辺は警戒してっから…影響出てないだろ俺は?“


「そう…そうだな。わりぃ、切るわ」


今度こそ携帯電話を切り、気を取り直す



さて、と帰ろうとして歩をだそうとしたら、直接交信魔法装置から着信が入る


携帯とは違う、個人の魔力による特定の通信装置だ


直接交信魔法装置のデメリットは、掛けてきた相手が誰かわからないことだ


俺に用があるやつはティアのババアや、知り合いを合わせても少ない


取り敢えず通話ボタンを押し、確認する


「誰だ」


俺の返事に対し、通話の先からはドスの効いた、低い声で喋ってくる


“おいっす!“タバコ屋“さん!“


低い声にも関わらず言い放った言葉は子供のようで、チグハグである


「…マジで誰だ」


“ “タバコ屋“さんの魔力波長ってわかりやすいから、盗聴とか簡単にできるよ?“


「会話になんねぇな、あばよ」


“ちょっと!待ってよ“黒煙草“!“


“黒煙草“と聞いた瞬間、口調からある人物を思い浮かべ、叫んだ


「み、“水煙草“かァ!?なんだ!?声変わりしたんか!?えぇ?!キモイ!!!」


正体がわかったところで“水煙草“は声を凛としたものに戻す


“だから言いたくなかったの!今ちょーっと仕事で『ハルバード』に寄ってたから…“タバコ屋“…いや“黒煙草“に伝言持っていこうとしたけど…“


「俺は『ウィルマ』で調べごとしてたから、いなかったと」


“そうよ!店番してた可愛らしいお嬢さんに、いませんって言われたから場所聞いたわ“


なんでティアはすぐバラすんだろう?


「で、今に至る…と。要件てのはなんだ?」


“……なんだったかしら?“


「よし、切るか」


“わー!待って待って!すぐ思い出すから!えーっとえーっと!“



焦る水煙草とは別に、俺は質問を投げる


「まぁ待つけどよ…“水煙草“よォ、お前ん職業、アイドルとか言ってなかったか?」


“え、うん。『喫煙所を彷徨う者達』っていうアイドルグループだけど?“


「いやな、“水煙草“の声、特徴的だからすぐバレるぞ?あとそのアイドルグループ名、気に入ったわ」


“そう?グループ名気に入ってありがとう!うぅ"ン。これでどう?“


口調までとは言わないが、さっきのドスの効いた低い声に戻った


「で?要件」


"さっき思い出したわよ…“葉巻“から“煙連盟“の会議日時が決まったって、報告受けたから伝えようとしたのよ。集合する会場は後日わかりやすく教えるみたいよ"


“煙連盟“とは、まぁ口に物咥えて吸ったり噛んだりする嗜好娯楽商品を扱う連中のことを指す


俺は特殊な黒紙を使うタバコを扱う為、“黒煙草“と呼ばれ


現役のアイドル活動してる通話相手は“水煙草“を取り扱っているためそう呼ばれている


“葉巻“って呼ばれてるやつは連盟のトップに位置付けているが、神出鬼没なため何してるか知らない


「なんだ、そうか……わかりやすく?」


“どう伝えるか知らないけど、みんなが分かるように教えるって言ってたわ“


「ふーん、わかった。じゃ、切るわ」


“ええ、私も仕事あるから。また煙連盟でね“


連絡がきれ、吸っていた『風人の息切れ』も連絡の最中に残り三本となってしまった


無意識に話し込むとこういうことになる


「……やらかした」


まぁやってしまった所で、次気をつけりゃいいんだよ


心の中で連唱なからシャドのアジトに徒歩で向かった




着いた頃には五日目の深夜4時回ってた


博士を殺す算段を立てつつ、寝タバコしながら寝落ちした



──────────────────



毎晩、俺は深い眠りにつくようで、レディには起こすのが苦労すると言われてきた


夢というのは浅い眠りの際に見れるものだそうだ


では、俺が今いる場所は夢の中だろうか


それはない、深い眠りって言ってんだから夢なんか俺は見ない


ということで、現実…と認めたくはないが…マジでここどこだ?


体の状態を確かめる

全裸だ

うん、息子も元気だな


周囲の状況確認


ベットのひとつもなく、床の上に転がっていた俺

白い天井

壁も白

床も白

気の利いた温度調整がされており


これではまるで


「実験場?俺はモルモットじゃねぇぞ」


『ご名答!モルモットだよ!おはよう“破壊英雄“!』


どこからか、スピーカーのような物から声が発せられる


「どっからどう見ても狼だろうが」


『だが異種や人種ではない。魔力波長がその証拠だ』


話してる相手のテンション高すぎて耳が痛い


「何が言いてぇんだ?」


『君が何なのか調べてあげようと言っているのだ、“破壊英雄“?“タバコ屋“か?』


質問してくるがどうでもいいことなので俺は質問を返す


「あんたラナバスタ博士か?」


こんな偉そうに喋るイメージはなかったが、人は見かけによらねぇな


『…っ!…あんな、あんな貧相で貧弱なやつが君相手に努まるわけがないだろう!?』


違ったようだ、てかなんでかキレてるし


「ということは、上か」


ラナバスタが気に入らなく、排除しようてしてる連中の1人だとしたら、上の人間が妥当か


『残念賞だ、私はラナバスタ博士の…助手さ』


「助手かよ!偉そうに口叩くから偉い人間かと思ったわ」


『私はいつかラナバスタ博士を超えるのでね、あんな奴に劣るなら死ぬくらいさ』


「……そうかい、あんたも操られてんのか」


と、的はずれなことを言ってみる


『ふん、何を言うかと思えばそんな事か、下らないな。あんな奴の研究をサポートして、ここまで来れたのは私のおかげだと言うのにな』


ん…?


「てか、その時点でダメじゃねぇか?操られてね?」


『そんなわけが無い!実際に霧に使われた成分の解除薬は、奴の薬を私が独自に改善し、状態に歪みがないかしっかりと己の体を使って、確認を取ったのだ!』


「え?お、おう…うん、そうか」


『だからっ!それを踏まえ、改良に改良を重ねたのだ!』


「そうか、俺が悪かった。」


俺は思ったことは言わずに、素直に謝った


『分かればいいのだよ…貴様の研究成果が出るまで、大人しくしてもらおうか』



しかし、スピーカーによる会話だけでは、俺の強さをアピール出来ない


全裸だしな

武器もなし、丸腰だ


「へいへい、大人しく待ってるよ、成果と言うやつに期待してるわ」




五日目昼頃、俺は監禁されたようだ



━━━━━━━━━━━━━━━━━━


一時的にこの世界の裏側まで撤退はしたものの、何をするかは考えておらんかった


「……んなに」


団長がほそぼそとした声を出す


「なんじゃ団長?」


「…いやね、“血鬼“はあんなに感情的だったかなって」


確かにそれはひとつ思えた


奴…“血鬼“が一瞬ではあったものの怒る、キレるようなことが一度でもあったかどうか


記憶薄れる過去をふりかえっても、感情的に動くことは無かったのだが…


「仲間意識が強いのかしら?」


と、侍がこぼす


「仲間…というと、黒獅子のことかのぅ?」


「えぇ、結局“金龍師“…いえ、これは私たちの問題ね……黒獅子を今の“タバコ屋“のように変えたのは私たちだもの、それで──」


「そいは、ちぃと違うんじゃないかのぅ侍の」


低い声で発する声の元を見ると、そこには身長175あるかないかの異種<ドワーフ>の男が、仁王立ちしていた


「起きたのか、鍛冶屋」


「ふむ、久しいな…“金龍師“よ」


気楽に挨拶をしてきたので面をくらったが、鍛冶屋に続きを促す


「奴…“血鬼“は儂と出会い頭に『会話』を要求してきたのじゃ」


「ほう、そうしてお主はなんと返事したのじゃ?」


「火柱をぶつけたわい」


『会話』をせずに『火力』を返答にするところは、昔から変わってはおらぬが


「ねぇ、ねぇねぇねぇ!!そんなことしたから僕の部下が全滅したんだよ!?わかってるのかクソドワーフ!!」


おぉ、団長が切れておる


返答次第では喧嘩になるが果たして?


「おぅ、喧嘩なら買うぞ?ほれ、来い若造!」


煽っておった


「ムッカーッ!!“金龍師“!やっぱこいつ先に殺した方がいいって!!」


「まぁ待たんか団長よ…お主の損害なんぞ、部下全員と飛行艇のガワだけじゃろう?」


ワシの指摘に言葉を詰まらせる団長


逃げる途中に飛行艇の残骸をちらと見たが、核である動力部分は見受けられなかった


団長が瞬時に判断し破壊される前に、核の動力源を収納魔法で回収していたのじゃろう


「うグッ!い、いやそれでも優秀な秘書だったんだよ!?あの子のおかげで僕はどれだけ楽を──あっ」


それを聞いた鍛冶屋は指を鳴らし始める


ゴキゴキと


「そういった魂胆じゃと思ったわい!その性根へし曲げてやろうぞ!」


「部下を人と扱わず、道具として扱う性格は変わっとらんのう団長よ」


「ち、ちが…言葉のあやだよ!侍も何か言ってよ!」


「お前が悪い」


「そ、そんな…グエーッ!」


絶望する前に鍛冶屋はゲンコツを下し、気絶させた


「しかし、元気じゃの鍛冶屋よ」


「治したやつが優秀なだけじゃい。感謝するぞ、侍の」


「何があったのかわからないのだけれど、体の汗腺から血が大量に流れるなんて初めてよ。私の治せる範囲だったから大丈夫だけれど…火柱の影響かしら?」


「“血鬼“は儂の体に流れる血を操り、火柱の威力を抑えようとしたのじゃがな、儂は物理でその能力を抑えつけ、奴に火柱をぶつけたというわけじゃわい」


鍛冶屋は、炎属性能力を持ちながらも、超超近接攻撃特化の異種でもあった


そして鍛冶屋ということもあって物理的な攻撃はほとんど効果をなさない


しかし、精神的、肉体内部の耐久性はなく、毒や肉体的異常状態、幻覚にはめっぽう弱い


じゃから大戦時には、侍がそばでフォローするために2人をセットにして指示を出したこともあった


「しかして、懐かしいメンツじゃのう…“金龍師“に“侍“、“団長“のアホ。ほか3人の姿が見えぬが元気

にやっちょるかの?」


鍛冶屋がそう聞いてきたので、今まで会ったメンツの状況を教える


「あぁ、元気にしておったぞ。“影エルフ“は情緒不安定じゃから、ワシの宝物庫にある刀を譲って元気にしたしの」


「なっ!き、“金龍師“よ!刀を譲っただぁ!?なんの刀だ!儂の憧れておる人物の刀じゃ──」


そういえば鍛冶屋も収集癖があったのぅ、影エルフに渡した刀とは別の刀鍛冶師に憧れておったし…それを渡しても良いか


ワシは1本の刀を、宝物庫に繋がっておる空間魔法から取り出す


「お主はこれで良いか…」


「お、おおおおおお!?!?なんじゃそれは!!いや!無銘刀鍛冶師の『〼』だと思うのじゃが…似て非なる物!!“金龍師“よ!そいつは一体!?」


刀ひとつでこの喜び様はまるで子供じゃの


「ワシのコレクションじゃが、譲ってもいいと思っての…あぁ、作ったのは『〼』で違いない。その証拠に…ほれ」


わしは刀を抜き、刃の刃紋を見せる


『〼』の作り出す刀の特徴として、まず銘を彫らないことで有名だ


しかし無銘の刀は世に蔓延っており、見分けがつかないため『〼』は刃紋に特徴を出している


「おぉ、さすが『〼』じゃな…白白としておるが細かい刃紋は正しく『〼』のものじゃ…しかしこれ程とは…」

「『〼』の晩年に『俺すげーの作りたいから、金の字、なんかすげー材料持ってこい』とかほざきおっての、仕方なく世界樹の峠から薪を伐採して、鉄は…なんじゃたかの?」


「ふむ、アダマンタイトかこりゃ…?」


「そうそれじゃ、それを渡してやったら『謝謝茄子!』とか訳分からんことほざきおったわ、まぁそれ作って死んだからあやつも本願じゃろ」


まぁ“刀に魂込めて打つぜ!“とか笑いながら言いおって、血肉を刀に捧げながら打っておったから、死因は失血性ショック死じゃったんじゃがな


今となっては笑い話じゃ


「『〼』の最後の一振…噂では心血注いで刀に魂を込めおったと聞いたが…まさしくその通りじゃ!分かるか侍よ、この輝き…」


「えぇ、そうね…」


噂とは口伝である故に差異は出るものじゃ…まぁ黙っておいた方が良いじゃろ


盛り上がる鍛冶屋と侍を他所に、これからを考えてみる



“血鬼“はワシらを追って『話し合い』を果たそうとするじゃろう


ワシは『話し合い』に賛成じゃが、内容は碌でもないじゃろうよ


となれば、武力による解決案が出るじゃろう



そうなれば…この場にいるワシ、“団長“、“鍛冶屋“、“侍“では…



ま、わしが生き残るか


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