タイトル思いつかない病
“タバコ屋“が列車に乗り込んでから15分ほど経った
侵入した知らせは敵味方問わず、全車両に通達された
2ndがいる先頭車両には、精鋭のナイトクラス一人とビショップのサイボーグ忍者が一人
ビショップが口を開く
「列車に乗ってから少しも口を割らんな、もうそろそろ喋ったらどうだ2nd?」
「貴様の闇に飲まれている間、私から情報を抜き取ったのではないのか?それに“処理屋“までもうすぐだろう?」
「…生きたいと、思わんのか?」
「何を今更、『サブ』に変わってから戦闘があれば、命は捨てる覚悟ではあったのだ。当然の結末だ」
だが2ndの手錠のついている両手は震えている
「その震えは死に対しての恐怖か?処理方法への怯えか?」
「ふん、体が機械になっても私のような奴に心配するとはな」
「単に戦力を減らしたくないだけだ。して、その震えはなんだ?」
「頭の中も機械にしたらどうだ?回転がすこぶるマシになるんじゃないか?」
「……わかった、これ以上の問答は不要だな。情報に関しては2ndの外側しか探っておらん、内情や感情経由の情報は今の私では不可能だ」
「だろうな、だからこうして無駄な会話を続けているんだ」
「戦力を減らしたくないのは事実無根、今のクイーンの席が開けば空席になること間違いなしだ」
「知ったことか、私には関係がない」
「関係はある、クイーンの席を狙う候補が2組いるが実戦投与が難しく、実力も劣っているのが現状だ。5姉妹全員でなくていい、2ndでも戻れば」
「また『ハルバート』と戦争ごっこが出来ると?腑抜けたなビショップ、そのような戦は今回ので打ち切りだぞ」
「腑抜けたのはそちらであろう?『サブ』を崇める阿呆どもはいくらでもいる。その心を利用してポーンクラスを変態化していけば数は揃う」
その話を聞き、2ndはギリギリと噛み締める
「力のない女子供を利用してまでやることで────っ!」
言ってすぐ言葉を止めるが、既におそい
「……それが心からの本音か、“破壊英雄の黒狼“に闘争の牙を壊されたか2nd」
「ち、違っ!」
「闘争心の牙を壊された挙句、“破壊英雄の黒狼“に情を流されたか…やはり無理ししてでもあの時、殺しておくべきだったか」
「っ!」
拘束されたままの2ndは、身を動かすことしか出来ず、歯をくいしばることしか出来なかった
「一応説明しておくが、『魔術』『魔法』が使えないと思え、無理に使うと体の節々から出血し、命に関わるぞ」
「あぁぁあ!」
魔力の根源である尻尾から魔法の発動を試みるも、頭や目から出血する
「かハッ!」
「何を無駄なことを…足掻くな、受け止めろ、現実を」
「なら貴様も…っ!“タバコ屋“に殺される現実を受け止めるんだな!」
「ふん、何を馬鹿なことを…おい、傷を癒す兵を呼べ」
ビショップは兵士1人に命じ、外にいる回復持ちの魔術師を呼ぼうとした
だが
「グアッ!」
その叫びと衝撃とともに、こちらに吹っ飛ばされながら戻ってきた
「何事だ!」
慌てふためくビショップとはよそに
出てきた男は身長は170あるくらいか、上半身裸に、ズボンに軍靴と、ラフな格好をしている
目立つ血色の髪はサッパリとした短髪だが、前髪を伸ばしている為、目元が見えない
そして、その上半身は見慣れぬ模様の刺青があった
「うっせー!叫ぶなや!静かに入ろうとしたのにバレるやんけ!!」
「“破壊英雄の黒狼“?……いや、この声色は違う!何者だ!?」
「てめぇから名乗れやボケー!!」
赤毛の男は叫ぶと同時にビショップの顔を掴み、壁にたたきつける
「ゴパッ!」
「血とガソリン混ぜた野郎かよ!気持ち悪ぃ!爆ぜろや!!」
その言葉通り、ビショップの1人であるサイボーグ忍者が壁に大穴が開くほどの真っ赤な爆発をした
大爆発によって起きた血のような赤い煙が晴れていく
目の前で起きたことについていけない自分が、情けなく感じた
改めて確認する
ビショップは本当に脳みそ以外を機械化されていたようで、関節部分からショートしていたり、腰あたりからもガソリンが漏れ出ていた
だが息はあった、血色の男に顔面を掴まれながら
悶絶しながらも
血色の男が口を開く
「ここに“黒の犬っころ“を圧倒しやがった奴ァいるってよぉ、“サーバー“っつう情報屋に聞いたんだが、こいつじゃねぇか」
血色の男はビショップから手を離し、床に落とす
「キ……キケンだコイツは…キングに報告ヲ…」
ビショップは遠隔操作で、自分を殺そうとした相手の情報を流そうとした
「あ”ぁ”?!」
だがそれを見た血色の男は、ビショップの体を跨り、マウントを取って
両腕両足をもぎ取り
顔面を殴り付けた
「俺の存在がバレっと”サーバー”に何言われるかわかんねぇんだよ!要らんことすんなやドアホォ!」
言いながら殴り付ける様は親がストレスで子供に殴り付け、物事を言い聞かせるようでもあった
「っし!こんなもんか!」
十分に殴りつけたあと、立ち上がり、2ndに目線を動かす
すると2ndに寒気と恐怖が襲う
「ッ!?!?」
「んな驚くなや、別段とって食おうって訳じゃねぇんだし…女子供は殴らねぇ主義なんだよ、特に怪我人なんかな」
「っ!!そ、そうか、な、名前と目的を聞いてもよろしいか?」
「別にいいが、あんた”破壊英雄の黒狼”とかいう黒い犬と仲良いんやろ?」
「っ!」
「名前は今は言えねぇ、目的だけ教えてやんよ、ツラ貸せ」
2ndの白の髪を掴まれ、血色の男の顔が近づく
2ndは前髪に隠された赤黒い眼を見た、見てしまった
「俺の目的は“破壊英雄の黒狼“を殺すことだ、“タバコ屋“つったか?そいつにも伝えとけ、じゃあな」
言い終わると同時に頬を叩かれ、意識を手放す2nd
それを見届け、笑う血色の男
「アッハッハ!!見てんだろ?『サブ』のアホども!!」
監視カメラを設置していた場所に移動する血色の男
カメラを持ち、覗き、口を開く
「次はてめえだ」
映像はそこで強制的に終わった
画面は真っ赤な色のまま
10分で2ndがいる車両に駆けつけた“タバコ屋“と“黒の捕縛師“、その他の兵士は部屋の惨状見るが
何があったのかわからないまま、2ndの救出作戦を終わらせたのだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます