人生ぃ!?落胆ありゃ苦しくもあるさァ!俺に聞くな!

列車、2ndがいた車両での出来事を『サブ』か設置していた監視カメラから把握した


「……誰だこやつは?」


今俺がいる場所は2ndの個人病室


第一声はヨボヨボの“金龍師“のティアのババアだ


「俺が知るか」


俺は黒のワイシャツを腕まくりし、タバコをふかしながらそう答える


「って、おいクソ親父!病室でタバコ吸うやつがおるか!」


「ここに居るぜ?」


「吸うなと言っておるのだ!分かれバカもん!」


「窓の外で吸ってんだろ!そうキレるなよ!」


窓開けて、縁に寄り添いながら吸うタバコはうまい


「はよ捨てんか!個室とはいえ眠っとる2ndに影響出るじゃろうが!」


「ちっ!わーったよ!」


窓の外に吸い始めたばかりのタバコを捨てると、ティアのババアが魔法を発動する


すると、タバコは圧縮され粉微塵になった


「てかよ、カメラに映ってた血色の男、まじ何もんだよ」


「ワシに聞くな、まぁだいたい推測できるが…」


「知ってんじゃねぇか、誰だよ」


「知ると推測は別じゃ、まぁ深読みは身を滅ぼしかねん、今は控えるぞ」


「んだよ、ケチくせえな」


「ケチで結構じゃ、しかし“破壊英雄“を探しているのか…」


「しかも俺のこと知ってるみてぇじゃねぇか、俺会ったことあるか?」


「……さぁの、わしには分からん」


「……そうかい、んで2ndの容態的にはもう起きてもいい頃合いなんだろ?」


寝たきりの2ndを見るが目を開けない


呼吸は整っているので落ち着いて見られるが、先の俺たちのやり取りでも起きてこない


「王子のキスでも必要なのかのぅ?」


「2ndがぁ?んな年頃じゃねぇだろ、つかキスして起きるとか…孤児院のガキ共におとぎ話の読みすぎでそんな思考回路が出来たのか?」


「乙女は夢見るものぞ?」


「ババアじゃねぇか」


拳が迫り、脳天に突き刺さる


「いってぇぇぇえええ!!」


窓の縁で頭抱える俺、落ちそう


「ワシじゃなく2ndじゃ!あとババアはやめんか!これでもピチピチの2000歳じゃぞ!」


「んなっ!初めて聞いたぞ歳!桁多すぎだろ!?あと自分でピチピチ言うな!」


「なんじゃとぉ!?もう1発くらいたいか!」


2人でギャアギャアと騒いでいると個室の病室の扉が開く


「あなた達!病院内では静かに!!」


「はいよ」

「はいなのじゃ」


入ってきたのはこの病院の院長だ


種族はダークエルフと言われ、融合前の世界では魔族がいる大陸の、魔獣殲滅隊長の指揮官でもあったらしい


そこで他の大陸と、信念と、理念と、領土問題が混ざった戦争をしていたそうだが


融合の後では領土がなくなり戦争をする意味がなく


信念や理念も、融合後の世界の人間と出会い、考え方を変えたそうな


勿論、融合前の世界の人間とは少しいざこざかあるものの、大きな争いには発展していない


誰かが、監視スパイしているのでは?との噂も上がるが、俺には関係の無いことだ


種族の特徴として、エルフの次に魔力の巡回速度が早く、保有量もエルフと同程度のレベルだ


院長に前、世話になった時に聞いた話だが


『なんで院長やってんの?』

『私個人の理由だけど過去の償いも含めた慈善事業よ、あとこちらの世界の医療機関にも興味があって、治癒魔法に特化してるのもあるわ』


とかなんとか




話を戻すとして、“院長“はなるべく外科医の重傷患者を相手にしている


2ndも、手錠にかけられた魔印の影響もあってか、頭や体の節々から血を流していた為、院長に重傷した部分だけ完治してもらい、他の医者にあとのことは任せたとかなんとか


「次また騒いでいましたら…麻酔注射しますからね?」


「“院長“の麻酔魔法入り注射はシャレにならんじゃろ!ワシでも動けなかったぞ!?」


「つかその注射器何も入ってねぇじゃねぇか!!」


“院長“がポケットから取り出した注射器には何の液体も入っていなかった


「あら、本当。でもあなた達なら大丈夫でしょう」


「謎の信頼度じゃ!!」

「普通に死ぬわ!」


「大声を出してはいけませんよ?」


「ぐぬぬ!」

「突っ込ませておいて、そりゃ無いぜ…」


などと会話してるうちに2ndが目を覚ます


「起きたようですね…2ndさん?こちらの指が何千本あるか分かりますか?」


「酔っ払いでもそこまで見えねえよ」

「普通に受け答えできんのかこの“院長“は」


俺たちのツッコミとはよそに、2ndが“院長“の指を確認する


だが、2ndの眼は血色だった


「『見える…が、今はんなことどうでもいい』」


何かの意思が乗り移ったように、2ndと思われる人物が言葉を流す


俺達は警戒する


「『“タバコ屋“ァ、そこにいんのは分かってんよ、伝言で残してるだけだから推測に過ぎねぇけどよ』」


「なんだ、口の悪い奴が伝言残しただけかよ。さっきの血色髪か」


「これ、黙らんか」


「『隠してあったカメラには“破壊英雄“を殺すとか言ったけどよ、本当の目的はちげぇ』」


「じゃあなんだよ」


「クソ親父はいちいち突っ込まんと生きていけぬのか?黙っとかんか」


「いーじゃねぇかよ、減るもんじゃねえだろ」


「『あ、そういやさ伝言残せるだけじゃなくて動きも残せるんだよな、俺の能力、2nd言ったか?こいつの胸よォ、サラシで巻いてるけどすげぇでかいぜ?』」


すると2ndは肌に身につけていたものを脱ぎ出す


乳首が見えるその瞬間に目隠しをされた


変身したティアのババアに

龍の尻尾で


ゴリゴリミシミシと


「アデデデデデデ!!!痛い痛い痛い!!!」


「おなごの肌を見るのはダメじゃ、まぁ強くしたところでダークエルフもいるからの」


「“金龍師“?それは私のことでしょうか?」


「当たり前であろう?戦争のことは忘れんぞわしは」


「んな火花散らしていがみ合ってねぇで!痛いから離せ!!」


「まだ服を着ておらぬ」


「見ねえから!見ねえからやめ…イダダダダタ!!」


するとまたもや個室の扉が勢いよく開く


「狼さん、悲鳴、何事」

「ちょっと!何があったのよ!!」

「2ndは起きたのか!?うわ、服脱がされてんじゃん!“タバコ屋“ァ!」


入ってきたのは5姉妹のうち3人の3rd、4th、5thだ


「お前ら入ってくんな!作者がさばけねぇから!」


一言喝を入れると退散して行った、納得していない顔だったが


「服を着せました宜しいですよクソ蛇」


「相変わらず言葉が汚いのぅ茶色の肌は」


「だからやめろっつってんだろ!頭蓋骨割れる割れる!!」


「いいでしょう、“タバコ屋“に免じて引きます」


「クソ親父が耐えておればわしの勝ちじゃったのにのぅ」


そう言いながらも尻尾の目隠しを取ってくれる


「おぉ、いてぇ……」


オオカミ頭の眼球周りを手で覆いつつ、ヒビが入ってないか確認する


ヒビ入ってた


「なぁ、“院長“、ヒビ入ってたから治して」


「しっ、話が続きますよ」


「いや、治して…」


「治癒魔法無くてもすぐ治るじゃろうが、黙っとらんか」


「嘘だろ…」


「『まぁ、茶番はさておき、伝言の件だな』」




「『俺は“破壊英雄“の行方と同時に『ハルバート』のNo2と3も探してのよ、今そいつら表向きは遠征中でいないってなってるけどよ』」


その言葉と同時に俺とティアのババアは顔が強ばる


無理もない、を知っているのは国王とティアのババアと俺だけなのだから


「…何処で、何処で情報が…漏れたんじゃ?」


「『No2と3は俺には関係なかったが“サーバー“の依頼でな…仕方なく頼まれたんよ、どうでもよかったんだが』」


「“サーバー“っつう奴は一体誰だ?」


「わしが知るか!!このような失態は今世紀初めてじゃぞ!」


「2000も歳を取られてしまうと1世紀が霞んで見えますね」


「黙らんか茶色の!」


「『だからまぁ、交換条件ってやつだな、アレするならコレしろって感じ。知ってたらネット掲示板の222chに書き込んどいてくれよ』」


そう言い残し、2ndの目が元に戻り、再び寝始める


「“院長“、容態はどんなだ?」


呆然としていた“院長“に声をかけ、2ndを診てもらう


「あ、は、いえ、特に問題はありません」


褐色のダークエルフこと“院長“は、目の前での伝言が理解できず、呆然としていたので一声かけた


「クソ親父、ワシは機械の類は扱えん、頼めるか」


「何処まで晒す?」


「全部じゃ、そして痕跡を辿れ。なんなら『ハルバート』の調査兵に頼んでも」


「いや、余計混乱するだけだ。焦るなババア。追跡は俺がする」


「む、う…頼む…しかしNo2と3の行方か…」


「それ以上の思考は廃棄しとけ、俺に任せれ」


渋々ながらもティアのババアは頷く



「“院長“、俺ァやることが出来た。一旦帰る。2ndの様子はメールかなんかしてくれ」


「“タバコ屋“さん?あなたのメアドなんて知らないのだけど」


「ティアのババアにでも聞いとけ、嫌なら姉妹でもいい、あいつらにも教えてる。じゃあな」


黒のスーツを羽織り、病院から出た

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