近況報告
「マギウス3 ロング 2個」
「はいよ、840円だ。玄さんいつも有り難うな」
「イレブンルナ ボックスでワンカート」
「4600円だ、スイさんみたいな金持ちは羨ましいね」
「余計なお世話だ」
「いつもありがとうございます」
「へい、どーも」
近況報告と言っても、常連客が煙草を買いに来るだけで
真新しい変化といえることは起こらなかった
”薬草工場大爆発!?犯人は義賊を名乗る『サブ』の仕業か!?”
”今月の3週間、都市『ハルバード』の天気は年に五回訪れる熱帯前線により猛暑と豪雨が予想されます!警戒を!”
”第19回異種武闘大会間近!応募される方は急ぎ登録を!”
うん、平和だ
毎日購読する新聞の1面はデカデカと見出しかあり、小さい出来事は2面以降となっている。
2面以降は誰々さんが殺されただの、株やらがどうだのとどうでもいい情報ばかりだ
なので10年前の異世界転生ワープ装置事件は存在すら忘れるように情報規制している
一般市民がそれに納得すればいいが、10年前の出来事に怒りを覚えた者達も少なからずいる
『サブ』の連中だ
組織の大きさや人数は世界2位で、この都市『ギルバート』を第1拠点に、残り10数カ所は各国に存在すると言われている
10年前の出来事は異世界にも影響が及び”こっち”と混ざってから
仕事をなくした者達や、五体不満足になった者達、世界の在り方に異議を唱える者達などが集まり、集団行動をしている
その為、意気投合した者達は隠蔽魔法に科学を織り交ぜて特化し、身を潜めている。
そのため、『ギルバート』を含む四大国家が頭を悩ませていた
俺も頭を悩ませるひとりである
”薬草工場大爆発!”
この薬草は煙草にも使われていて、肺ガンの原因を抑制する効果が含まれているのだ
大打撃である。いやマジで
使い方次第では第二指定危険薬物にも変化するため、充分な管理をされているのだが
人間が管理するのに穴が無いわけがない
金や女、酒や薬物を使えば人は堕ちるものだ
その”穴”から侵入し大爆発までしたのだろう
働いていたモノ達は使役する魔物達であった為、人的被害は少ないが…
この先、特定のタバコを入手するのは先になるだろうなと、ため息をこぼす
壮大な勘違い野郎達だ、国を信用出来ず、爆発した工場すら国の私腹になると勘違いしてる
黒のスーツ、2m越え黒人のスキンヘッドが黒黒としたサングラスを掛けて店の前に歩み寄る
知り合いだ
「相変わらず水玉ピンクのネクタイ似合わねーな」
「ブラックデビル チョコ 一つあるか?」
「なんだ、急ぎか?悪いな、廃盤になってる」
「ではこれを、また後日顔を出す」
渡されたメモを見て、ため息一つ
「まて、現地集合だ」
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