店主は、禁煙を反対します。店が無くなるので



ーーqueenーー


『みんな見とるかのぅ!?コレが我が国に誇る伝説のうちの1本!“私利私欲にまみれた皇帝の宝剣“じゃ!!!』


そうカメラに向かい叫ぶ国王に歯軋りする私や妹たち、そして一般市民に紛れたポーンやナイト


開催時間の直前に私たちの準備が終わり、時間を迎えた瞬間と共に“城“と呼ばれる塔を中心に大きな映像が浮かび上がる。

見た目は年老いた老人だが、外見に似合わず魔力、筋力、タフさ共に、キングに匹敵する存在が映像に映し出され、“宝剣“を宣伝する


私や、妹たちは昼ということもあり、目立つので路地裏や屋根に上がり映像を睨む


「忌忌しい…!『私たちの世界』にあったものを自分のモノのようにっ!」


「抑えなさい4th、今はダメよ」


「でもっ!」


「4th、抑えることも修行だ。耐えよ」


「2nd姉も!?うぅぅ…!」



4thは耐えるが、次に映し出された人物に怒りが爆発する

映し出された、といえば嘘になるが、カメラが動き、国王の背後に並ぶ兵士の中にいる、国王の話をつまらなさそうに腕を組み、話を聞いている黒のフードを被ったロングコートに反応したのだ


「“破壊英雄の黒狼“ォォォォオオ!!!!」


「5th、拘束を。口もね」


「うん、4th姉様、ダメだよ」


「むぐぅぅぅぅううう!!」


「はぁ、先が思いやられるが…4th、聞け。怒っているのはお前だけではないのだ」


「むぐぐ!!」


「私達も壊したくなるほど殺したいのよ!?もうっ!」


「むぐぅ…」


「血気盛んなことはいいことよ?……そろそろね、始めるわよ」


国王が“宝剣“を手放した瞬間、2ndは遠隔交信魔法を使い、ナイトクラスに『合図』する


すると映像を見ている中央の人混みの中で殺傷を始め、人々を混乱に陥れる


“そのまま正面ゲートまで進行しろ“


2ndが告げる瞬間とともに


五姉妹は消える





ーー(。・ω・)y-゚゚゚ーー

俺は兵士が並ぶ中で、タバコ吸いながら余韻に使っていると、広範囲交信魔法装置からババアが叫ぶ。


“隠蔽された交信魔法の反応があったぞ!都市全体に感応魔法を巡らせてよかったわぃ!“


タバコ吸ってたのバレたか?と思ったが違った。


ババアの報告とともに正面ゲート前が騒がしくなる。浮遊するカメラが正面ゲート前を映し出した


市民が殺戮の対象にされていた


討伐部隊が住民を避難させながらも、対応に向かいナイトやポーンを排除していくが、その中にクイーンは見えない




国王がババアの報告を聞き、宝剣を守ろうとする



が時は既に遅く、目の前に転移魔法で移動してくるブラックドレスの連中に宝剣を奪われる


“転移魔法じゃと!?前は使っておらぬかったじゃろ!“


「ンなことはいい!ババア!奴らを逃がすな!」


“わかっておるわい!捕縛師も転移阻害魔法を使うのじゃ!“


「分かった!ヌゥん!」


広場を中心とし、ドーム状に転移阻害魔法が広がる


“わしは新手が来るか見張る!そこは頼むぞクソ親父!“


「うるせえババアだな!わぁーってるよ!」


俺は、五姉妹と国王との対談の横に付く




「あらあら、そんなに“宝剣“が大事かしら国王さま?」


「亡き妻の形見じゃ!返せ!」


「亡き妻の形見って、前に100以上あった言ってたじゃねーか!」


「だが大切なものに変わりはない!おなごは殺さん主義じゃ!大人しく捕まるのじゃ!」


「じゃーじゃー!じゃーじゃー!うるさい!力ずくて来なさいよ!」


「3rd、それはダメよ?5th、お願いね?」


「うん、おやすみ、兵士さん」


1stの嘆願とともに5thが動く、催眠と幻惑の混合魔法を使ってきた


「兵士の奴らァ!惑わされんな!」


叫ぶが遅かった、1000いた兵士たちは心安らかに眠りにつく


「チッ!1000いんのに全員かよ!」


「おぉ、死んだ婆さんが子守唄歌っておる…ムニャムニャ」


「テメエもかジジイ!寝んな、死ぬぞ!!」


「もう無駄よ、5thの“子守唄“で眠るモノたちの末路は死よ?」




だが、ジジイは目をカッと開き、叫ぶ


「歌詞が違う!なんじゃこの、河原の土手で思いついたような下手くそな歌詞は!」


「ガーン…ショック」


「やっぱ一人で考えたのがダメだったのよ!次は一緒に考えましょ!」


5thは落ち込み、3rdが宥める


だが、国王のジジイは5thに近づき『魔封陣』を国王と5thが入るように敷き、説教をし始めた


「死んだ婆さんが歌った歌詞をその頭の中に突っ込んでやる!」


「ふぇえ、やだよぉ」




1000いた兵士のうち50はフラつきながらも立ち上がる


「ジジイの喝でも50か…。起きたヤツら!他の兵士も叩き起こせ!ぶん殴ってでも起こせ!昨日までフレンドだったやつが今日棺ん中だぞ!」




1stが睨みながら俺に告げる


「ねぇ“黒狼“?私達はコメディで話を終わらせたくないの。このまま跳んで帰らせてくれないのならーーー」


話の途中で俺は、1stの眼前に咥えてたタバコを飛ばす


それを見て、1stは炎の柱を出して消した


「実力行使は嫌いじゃないぜ?ただ火力高すぎて俺の火付け役には向かねぇな」


懐に入る俺を1stが見やり、炎の剣を掌から出して横薙ぎに払う。その動作を見て、俺はデザートイーグルで防御し、退る


「言うじゃない、でもあなたの心に火はついたでしょう?」


「ほざけ、黒焦げになっちまう」


「黒狼だけに、ですか?笑えませんよ」


「テメェにゃ心の底から笑う薄汚ぇ笑顔より、歪んだ仏頂面がお似合いだよバーカ」


弾を二発、眉間にぶち込むが結果は灰。前出会った時以上に面倒だな


「以前より弱くなりまして?人に見られながら殺めるのは苦手でしたか?」


「それもあるが、派手派手が好きでな。ここじゃ狭すぎる」


1stは炎の剣を振りかざし、炎の塊を俺にぶつにくる

避ける判断が真っ先に来るが城に当てたらジジイに何言われるかわからん


「城に当てたら賠償金とかでうるさいかもしれんから、蹴るわ」


「はっ?」


過去に、ティアのババアからちぎった鱗を加工した、ビジネスシューズで炎の塊をボレーシュートする


塊は1stに向かうが、隣にいた2ndが氷の壁に水の膜を張らせて塊を蒸発させる


「なんと無茶苦茶な闘い方だ、変わらないな“黒狼“。そして姉様、一人で突っ走っては成りませぬ」


「ごめんなさい2nd、頭に血が上ってたようだわ…無意識に意識を傾けるなんて卑劣ね」


1stと2ndのやり取りを見て、俺は鼻で笑う


「あんたの眼中に、俺しか映ってなかったってこったろ?惚れるなよ?自分の炎以上に火傷するぜ?」


「煩わしい、灰になりなさい!」


え、切れた!?


「姉様?!」


1stは火炎系魔法特化しかしてないからわかりやすくて助かるが、ほかの姉妹共は前よりも練度と共に魔法習得していたようだな

戦いにくい


1stから放たれた炎は、長く、地面を飛び跳ねながらこちらに接近する。追尾持ちだな…2ndに当てるか


俺は飛び跳ねる炎を避けながら2ndに寄るが、4thが邪魔をしてくる


「むぐぐぅーっ!」


「転移した最初、芋虫状態で何を遊んでるかと思ったが!そういうプレイが好きならよそでやれ!」


「ムガァーーーッ!」



どうやら手足の拘束は解けていたようだが、口だけ満足に喋れないようだ、舐めてんのか?


「“狼さん“。4th、口の拘束取ると、うるさいから、黙らせた」


「これ!まだ歌詞の最初しか伝えておらぬ!」


「助けて、“狼さん“〜、なんで、最初のパートが、ラップみたいに長いの〜?!」




「あぁそうかい!そんで説教止めんのは無理だ!諦めろ!」


「よそ見は禁物よ!やぁっ!」


3rdが風の衝撃波を繰り出してくる。相性のいい雷を織り交ぜて


「成長したなぁ!3rd!!前は口だけ達者だったのによぉ!」


衝撃波を踏みつけ、破裂音が響く


「うっさい!当たれ!」


連続してくる衝撃波の中に赤色が見えた


「追尾を放置してたわけじゃねぇが!邪魔くせぇなぁ!」


飛び跳ねる複数の炎に対し、俺も飛び跳ね、避けながら2ndに近づくと


魔力が集中していく感覚を感じた


「それだけ邪魔なら、貴様ごと消えろ!」


「ゲェっ!マジかよ!」



2ndが氷の刀を上段構えしているのが見えた俺は横に飛び転がる






“城“と呼ばれる塔の上半分が


斬れた

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