死にてぇやつは生きてるやつの邪魔をすんな

クレアム将軍の出した圧縮された空気の塊の攻撃に対し、避け続けた


「“破壊英雄“、貴様は何が目的だ」


将軍の攻撃しながらの問いかけに俺は


「あんたらの計画の内容と阻止」


と銃弾で空気弾を撃ち落とす


「内容を聞けば、貴様も賛同する可能性はあるのか?」


空気弾を撃ち落とし、貫通した銃弾は、将軍が同時展開している風の防壁により逸らされる


「じゃあ聞かせてもらいたいもんだね!」


M4A1カービンで銃弾を撃ち尽くし、銃を投げつける


全て風の防壁に防がれ、M4A1カービンも将軍の後ろに転がる


「弾の補充を隙と見られ、銃本体までも投げる戦法、如何程に?」


「てめぇ相手にゃ拳銃ハンドガンで十分ってことだ」


デザートイーグルとスプリングフィールドXDの2丁を取り出し、クレアム将軍の足元と将軍に向けて撃つ


しかし、風の防壁に逸らされる。常に発動型か…相手の動作を見て発動するか…


結果的には地面に撃った弾だけが、防がれずに着弾した


「ぬるい、遊ぶなら他所でやってくれ」


「…考えものだな、まぁ“死闘“なんざ元帥様にとっちゃ遊びかもしれんかな」


「なんだと?」


俺の言葉を聞きくと、怒り混じりの疑問と共に、横殴りに風の衝撃波が襲う


「“死闘“を遊びと言うふざけたやつは、死ぬがいい!」


右半身に衝撃が入った、正直わかんねぇよこんなの


「ガァ!」


横からくる衝撃を、巧く流すように横に飛んだが、威力が半端ない…体半身が痺れちまった


「この程度か?まぁ容赦はせんがなっ!」


中距離でこれかよ…っ!上手く懐に入れば…!


立ち上がり、将軍を探す


消えていた



「後ろだ」


声を掛けられたと同時に、脇に将軍の風魔法入りの拳が入る


自前の腹筋で耐えたが、痛いことに変わりはない


反撃に俺の後ろ回し蹴りするも、それは読まれていて、身体を反らし避ける将軍


近距離による圧縮された空気の塊を飛ばした将軍


それが顔面にモロにあたり、意識が飛んだ


「終わりか、野良犬風情が」




──general──


「これが“破壊英雄“?ここまで落魄れるとは……厶っ!」


私は意識を飛ばした“破壊英雄“が、地面に倒れそうで倒れない状態をマジマジと見つめていた瞬間、寒気が襲い、距離をとって臨戦態勢をとった


確実に“破壊英雄“から来た殺気だが、先程戦っていたものとは違う


6年ぶりの殺気だった



“破壊英雄“は上体を戻し、両手に装備していた物を確認していく


「……」


無言であったが隙がなく、殺気もあって動けない


「…」


“破壊英雄“はダァン!とひとつ、銃声が響かせた


あらぬ方向に飛ばされた銃弾を目で追うが建物の間に入って行き見失った


そして2発、3発目とドンドン撃っていくが、私には来ず、がむしゃらに撃っているようにしか見えなかった


遠くで響く金属音は耳に入ってくるが、いつ撃たれるか分からない状況なので、隙を見せる訳には行かない


“破壊英雄“はタバコに火をつけ吸い出すが、その動作さえも警戒する


“破壊英雄“と目が合ったような気がした、優しく睨むように


奴は撃ち切ったようで、煙草を吸いながらも口角を釣り上げて笑っていた


今にも声を出して、笑いそうな顔



すると、乱射した弾がこちらに迫ってきた


「なるほど、“跳弾“か!種が分かれば防ぎようはある」


「…」


ニタニタと笑う“破壊英雄“は銃をホルダーに仕舞った


舐められたものだ


風の防壁を纏い、迫る銃弾を逸らすことに専念した






が、肩に銃弾が当たり、内部に留まった


「…なっ!?」


有無を言わさず“跳弾“が“跳弾“同士で弾き合いをし、私の体に銃弾を埋めていく


「馬鹿な!グッ!ここまで読んだのか!?ガハッ!」


次々と来る銃撃を喰らいながらも、周りを見ると兵士達は息絶えていた


兵士たちの四肢はもげ、心臓に1発貫通されている


私の体内部に銃弾が留まるということは、跳弾は『貫通』魔法を発動せず、兵士に当たる時だけ『貫通』魔法を使ったということになる


「やることが人の域を超えている!バケモノめ!」


“破壊英雄“はその場で寝転び、寝タバコをし始めた


「私の…っ!死すらも見ないというのか!屈辱的だ!地獄にて、会ったら、覚えていろ!」


銃弾のひとつが心臓を貫通する


意識が薄れ始めたと同時に、“破壊英雄“は目覚める


だが、私の口から言葉はもう出ない


強く睨もうとするが、景色が霞み始める


目の前に広がる闇



冷えた体は闇を求める



眠りたい、闇に身を投じたい





──(。・ω・)y-゚゚゚──


気絶から目ェ覚ましたら、なんか知らんけど将軍死んでた


ほかの兵士も死んでた



…まぁいいや


将軍の懐からなんか、金目のもんねぇかな


そういや、軍刀あんじゃん


もーらお


勲章も一応、殺した証拠として持っていくとして


データキーゲット、こっちは認証カードか。潜入の幅が広がるな


ほかの兵士は…あぁ、金あんじゃん!


1人3500円前後か、1000人くらい死んでるから、もうね、ウハウハだよ




さて、ゴミ袋として使われてた麻袋に金を回収した所で退散っと



…ちょっとかさ張るな、金


だが俺なら行ける!ンヌゥゥゥ!!


そう言いながら、麻袋に入った金を背負おうとすると“猫男A“ことシャドが駆け足できた


「おいこら、何やってんだ“ヤニカス“。死体あさりまで始めたら悪行の噂が一生絶えなくなるぞ」


「おっ!いいところに来た“猫男A“!運ぶの手伝ってくんね?」


「その金使ったところで、足がすぐバレるぞ。なにより“囚人A“がそれ見て黙ってると思うか?」


「黙らせっから!心配すんなって、車で来たろ?こっちに回してくれよ」


「俺知らねぇからな、待ってろ」


“猫男“ことシャドが2人乗りのminiを取りに行って、すぐ戻ってきた


「さっさと載せろ、面倒ごとは嫌だぜ?」


「わーってるよ……ほら、トランクに載せたぞ」


トランクに載せた、金の入った袋は完全に閉まらず半開きのままだった


「…てめぇ!トランク半開きじゃねぇか!多すぎなんだよボケェ!」


「こまけぇこと気にすんなや!さっさとアクセル踏め!」


俺は助手席に乗り込み、指示しながらタバコを吸う


「わかっ…あぁ!タバコ吸うな!ヤニの匂い残んだろうが!」


「うるせぇ!仕事終わりの一服がいいんだよ!」


「あーもー!灰皿ないから外に捨てろ!そんで1本吸ったら終わりな!」


体上半身を車の窓から出して、すいながら文句を言う


「ケチくせぇなぁ…んで?ラナバスタ博士動いただろ?」


「将軍襲ってる時点で誰だって動くわ!なんで初っ端将軍なんだよ!」


「将軍つえーもん、ほかの標的を先に殺って警備増やしたら面倒だしな」


「分かるが…!あぁもういい!結果が出ちまったんだ!次は決まってんのか!」


「まぁ落ち着けって、その前に博士の動きだ。今どこにいる?」


「……はぁ、確認をとる」


シャドは携帯を取り出し、“囚人A“に繋げる


スピーカーにし、俺にも聞こえるようにした


「“囚人A“、今どこだ?」


“猫男A“か、今ラナバスタ博士を追っているが…意外だな、兵士駐屯所で待機している“


「城に向かわなかったか」


“む、“ヤニカス“か?将軍を相手によく生きていたものだ“


「俺だぜ、なめんなよ?一旦アジトに戻って荷物を置いたら次のターゲットに向かう」


“分かった、“囚人A“は引き続きラナバスタ博士を監視する“


「ただの駐屯所じゃない可能性がある、視野を広げとけよ」


“あ、あぁわかった。では“


それを言いきって連絡が切れた



「2人目はどいつだ?」


「ガンアス司令官だ」


「…そいつも将軍と同レベルの強さだぞ?」


「将軍の場合は力押ししねぇと殺せなかったんだが…次の司令官は一癖あってな、昼のカレーの時に狙う」


「昼のカレー?って、あぁ、そうか。それがあったな」


「アジトに戻ったら“猫男A“は俺の連絡あるまでラナバスタ博士と“囚人A“を見とけ」


「それは構わないが、やっぱ裏切るか?」


「保険だ、何もなけりゃそれに越したことはない」





アジトに戻り、支度をして俺は海岸の港に停泊している『超弩級原子魔力炉航空戦艦“アイダホ“』へ向かった


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


わしが三人目と出会う頃には、夜も深けておった


次のやつがおる場所は朝昼夜関係なく街が輝いており


四六時中カジノに勝ち、酒に酔いしれている者

負けが続き道端で項垂れている者

自分の務める店へと連れ込む客引きなどが道狭しに渋滞していた


街を支配している人間ではあるものの…まぁ、問題ないのじゃが、また一癖強くてのぅ…


「おいババア!こんな夜中にうろちょろしてっと、下の穴に鉄の棒突っ込んで十字架に貼り付けんぞごら!」


……今、ご挨拶してきた奴ではないのは確かじゃ


しかし治安が悪いのは最初のやつといい…相変わらずじゃのぅ


「遠慮しておくのじゃ…して、お主らをまとめる“旦那“に会いたいのじゃが?」


「はっ?!ババア、“旦那“のこと知ってるみてぇだな!しかしだ、“旦那“に会わせる奴ァ“招待状“がねぇとダメだ!」


「そうか、では“招待状“はこれでどうじゃろうか?」


ティアは自前の空間把握能力を活かし、男の後ろ100mにある酒場に向けて爆発魔法で店を爆散させる


そして飛び散った破片が呼び掛けた男の頭に刺さり、男は絶叫を上げる


「男じゃろう…叫ぶな泣くな、して、改めて問うが“旦那“はどこじゃ?」


「いてぇ…いてぇよぉ…カーチャン…」


「親に縋るほど情けないのか?ここの住民は」



「そこまでにしてもらっていいか?“金龍師“」


ふと、久々に聞いた声の方向に顔を向ける


この男も筋骨隆々という程か、がっしりとした体型に肌は褐色で、頭のスキンヘッドは街の光で照らされ、唇や耳たぶを輝かせるピアスは、誰もが億万長者と呼べるほど煌びやかであった


着こなしていたようスーツにはホコリや糸くずなどはなく、街の支配者としての風貌、オーラ共に“強さ“を滲み出していた


「久しいな、“九龍ノクロノス“」


「あぁ、久し振りだな“金龍師“」


“九龍ノ主“と呼ばれる男の背や腹には、黒い龍の刺青を九匹彫り込んでおり、それが呼び名の由来ではあるものの、真名もまた別に存在する


異種の中でもわしと同じ龍族でありながら、人種差別はせず、治安の悪い場所を治めては転々としている


次第にその噂は広がり、大戦時にワシは抜擢したが…


「何か用があってきたのだろう?それとも手土産だけを渡しに来たのか?」


「むう、もう突っ込まんぞ…ほれ、“龍殺し“じゃ…龍が“龍殺し“なんぞ飲んで、死んでも知らんぞ」


わしはそう言いつつも一升瓶の酒を渡す


それを嬉々とした九龍ノ主は部下であろう名を呼んで召喚させ、酒を渡した


一息ついて、九龍ノ主が質問する


「それで、話はなんだ?」


「そう長くはならん、“黒獅子“が記憶を取り戻しつつあるのじゃ。接触した際は情報を一切漏らさず死か逃走を選ぶのじゃ、良いか?」


わしの発言を聞いた九龍ノ主は目を閉じ、熟考し始める


道のど真ん中で話すことなのか、自身の中では不満はあるものの、背に腹はかえられぬ


「……ふむ、街中で話すことではなかったか。席を設けよう、時間を頂いてもよろしいか?詳しく知りたい」


「良か良か、野次が集まって注目されるのは気分が宜しくなくてのぅ」


ふと見渡せば野次馬が爆発した酒場に集まり、原因等を疑念に、話し込んでいる最中だった


「気配りが遅れて申し訳ない、すぐ手配しよう」


九龍ノ主は部下を召喚して酒場の後片付けを命じさせ、自分が持つ店であろう場所へ歩きだした


ティアもそれについて行った





行きつけの店なのか、自分の持つ店なのか


九龍ノ主がたどり着いた店はあまり人が寄り付かない場所にあり、外装はボロと言われても仕方ないほどの状態だった


「酷いもんじゃな、客人を招く場所とは思えん」


「外見はそうだが、まぁ店内を見ればわかる」


九龍ノ主は店のドアを開けると、店主であろう人物に声をかけた


「マスター、さっきの酒を出してくれ。“金龍師“はどうする?」


「わしは水で構わん、長居するつもりは無いからの」


「話の内容次第では長引くかもしれん、熱い茶でも出してもらおう。頼んだぞ」


マスターはそれを聞いて、急ぎバックヤードに入って準備をし始めた



店内の装飾を簡潔にまとめると、証明は少し落とし、薄暗い印象が強いか


バーカウンターがあるだけで、机や椅子はなく、立ち飲み形式の飲み屋となっていた


「立ち飲みか、変身するかの?」


「いや、椅子を出そう。そこまで失礼なことは出来ん」


九龍ノ主は指を鳴らし、椅子をカウンター近くに召喚させ、ティアを座らせるよう促す


「すまんの…おぉ、茶もちょうど来たな」


差し出されたお茶を一口飲み、一息つくティア


それを見て九龍ノ主も酒を次ぎ、ショットグラスで飲み干す


「ッハーッ!やはり素晴らしいなノギロ産の吟醸酒は」


「滅多なことでは手に入らんからの、さて本題じゃが」


「“黒獅子“か────」


それを口にした九龍ノ主


すると周りにいた人型達が怒気を混じえたオーラを排出する


「元気な輩ばかりじゃな、あの大戦の生き残り共は」


「そう言うな…“俺達“だってこれでも抑えてるほうだ」


「なんと、冷静だと思っていたが…」


「右脇腹の龍が疼いてるんだ、洒落にならん」


「そうか、まぁ続けるが記憶を取り戻しつつある所までは話したな」


ティアは茶を、九龍ノ主は酒を1口飲む


「そうだ、それに至った原因はなんだ」


「“血鬼“と言うやつとの接触の際に告げ口されたか、本人が思い出したかのどちらかじゃ」


“血鬼“──


その名を聞いて九龍ノ主はショットグラスにヒビを入れる


「奴が……なぜ“黒獅子“を知っている!」


「その様子じゃと“血鬼“を知っているようじゃな、教えてくれるかの?」


九龍ノ主は酒をひと口煽り、マスターに追加を頼むと同時に語る


「“金龍師“は知らなかったか…?奴は……“血鬼“は俺が、この街に来る前に出会ったのだ……出会い頭に瀕死にまで追い込まれ、そしてこう言った」


──“世界にゃ正義と悪が存在し、バランスよく保っているから世界は崩壊しない。お前のやることはバランスを“破壊“していることだ“──


その言葉をこぼした瞬間、ショットグラスが完全に割れ散る


「それを聞いて馬鹿にされたと思ったよ、悪があるから弱者は死ぬ。俺は弱者を守りたいから、悪を滅ぼしてるのに過ぎないというのに、だ」


「ふむ、なるほどのぅ…しかし出会い頭とはいえ、不意打ちされたわけではあるまい?」


「当たり前だっ!!正々堂々!それが私の主義だ、それを片腕1本で伏されては……っ!」


「良い、良い。そこまでにしておこうかの…しかし、それほどの強さを持つ“血鬼“とは、如何程なものか…」


疑問を持つティアに対し


何を言っているのかと注目した九龍ノ主は


「何を言っている“金龍師“、貴様も出会ったことがあるではないか…大戦時に」




「……はっ!?」


年甲斐もなく、ティアは陽気な発言をしたのだった

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