店と俺の部屋を整理整頓できる人募集

城から歩いてくる“破壊姫“。


半壊した広場で互いに睨み合う俺と“破壊姫“


真面目な場面だと言葉を一つ二つ交わして戦闘に入るが


俺の場合はそうではない


タバコを吸い、吐く


「頭の刺さってるやつ、回復しても抜けねぇんだが?」


「“永久凍土“による雹じゃ。簡単に溶けると思うなよ?」


「いや、なんかこうさ、カメラを回ってる中、少女と雹が刺さってるフード被った奴が対峙してるとか絵面的にどうかと」


「抜けば良いではないか、ワシに勝ってな」


「まぁ勝つんだけどよ…あぁ頭いってぇ」



“破壊姫“の指が動く、空中から出て地面に刺さるは氷の刃、10本。

1本抜き、投擲する


「剣術の心得とか無さそうだな」


「いや、今はこれで様子見じゃ。弾はなくとも何しでかすかわからんのでな」


「いい警戒っぷりだ、1stに聞かせてやりてぇよ」



迫る氷の刃を体を逸らし、避ける


すると今更ながら“黒の捕縛師“が声を荒らげる


「ちょっとまて!今は共同戦線だ!仲間割れしてる場合か!」



「違うな“捕縛師“の」

「あぁ、違うな」



「「こいつは敵だ」」


まず最初に意見を出すのは“破壊姫“


「“黒狼“はこんな口汚い上に“破壊英雄“の可能性もある、先に潰して損は無い」


続いて俺が意見を出す


「“破壊姫“は見た目少女だが、中身がババアのババア詐欺だ。元は『サブ』にいたんだ、スパイの可能性がある」


「言うのぉ、“黒狼“…っ!!」

「誰が口汚いだとゴラァ!!」



「二人の意見はわかった!!なら、もう好きにしろ!兵士は正面ゲートの住民を救助せよ!討伐部隊には俺の名前あげて指示を貰え!」


兵士達が散り散りに城から飛び降り、ゲートへ向かう


「俺は見守るぞ。どうせ決着つかない上に、広場は全壊して、お前ら二人は地面とキスしてる未来が視えるんだ、俺にはわかる」


「具体的すぎる未来予知だな、そういった魔法極めたのか?」


「勘だが、“タバコ屋“は前からそういう奴だ。だから五姉妹は任せろ」


“黒の捕縛師“の返答を聞き終わり、“破壊姫“に顔を向ける


「理解者がいるってのは有難いね」


「ありがた迷惑ともいうが?」


「言葉のとおりにしたら、その通りかもな。」


ありがとう、迷惑かけるな


そんなとこか






「では、続きと行くかの。今回は邪魔はいらんぞ?」


「弾なしハンデだが、余裕はある」


「弾がないのはわかるが、後者の余裕はウソじゃな」


「ほざいてろ。ババア!3分後だ!」


“ババア呼ばわりしたことは覚えておけ!3分じゃな!“


広範囲交信魔法装置からの了承を、聞き終わると同時に俺は駆ける


それと同時に2本投擲してくるが、ジグザグに動き懐に入る


嘘を言ってみる


「あと一発残ってんだよ、テメェが刺さってる剣抜く間に眉間ぶち抜いてやる」


「ハッタリじゃな、やはり狼は嘘つきじゃて。それに抜かずとも」


言い終わると同時に俺の眼前に氷の両刃剣を出現し射出する


首をひねり避け、肩を削るように通り過ぎていく


「むっ!正気か」


「こんなんティアのババアのゲンコツに比べりゃ屁でもねぇな」


「言いよるわ…がっ!」


鳩尾に一発、拳を入れる


途端に“破壊姫“は下がり、自身の魔力で生成したであろう氷の刃を出現させこちらに向け射出させる


「同じ芸が通じると思ってんじゃねぇ!」


避けながら突っ込み、鳩尾に拳を入れようとするが


「そぃはさっき見た!同じ芸が通じると思うてか?!」


左手で拳を止められる


「嘘だろ!?」


「魔力の半分持っていかれたが、筋力魔法も嗜んでおっての!相変わらずの馬鹿力め!」


殴りつけた左手が肩まで凍る


「凍るまでのタイムラグがねぇ!流石だな!」


「褒めるでない、照れで左腕の氷が溶けてしまうではないか」


「そのまんま溶かしてほしいなマジ!」


骨まで凍ってないのが幸いか、何かの拍子にぶつけて左腕がなくなることはなさそうだ


『再生回復魔法』か『時間操作魔法』があれば凍った左腕か無くなっても戻るが、値が張る。借金まみれの俺には厳しい


右の拳で振り払い、退る


「賢明じゃな、懸命でもあるか」


「金がねぇんだよ!」


「知らぬわそんなこと。しかして、“黒狼“とのおしゃべりは楽しいのぅ!」


「防戦一方の俺は、楽しくねぇがな!」


距離を取り続けながら迫る氷の刃に対し、避け続ける俺


しかし、時期は夏、昼間にしては少し寒い


周辺ではドライアイスに似た白い煙が充満するのが見える


いや、見えたところで遅かった



“破壊姫“が消えていた



「チラッと見たが、避けた氷剣が残ってた理由はこれか」


“地に刺し、残し、白く視覚を奪うところまでは正解じゃが、効果を見破れるかのぅ?“


「効果云々はあとだ、てめぇを暴いて殴る!」


微かに聞こえた布ズレの音で地面の石を拾い投げる


“いだっ!“


当たった瞬間、姿が現れる。1発かよ


「フェイクかと思ったら当たりかよ!もうちょっと頑張れや!」


「うう、わかった…次は見破れんぞ!」


そう言い残し、消える


“破壊姫“にとって姿を隠すのは久々か、初めてかは判断出来ないが、徐々に気配が消える感覚はある


「やべえな、暗殺技術あったら手も足も出ねぇ」


“ほう!次までに習得しておこうかの“


「オラァ!」


石を投げ、当たる

姿が現れる


「痛ぁ〜!喋ったらバレるではないか!」


「やっぱ暗殺向いてねぇわ、お前」


「いいんじゃ!準備終わったからの!」


姿を再び隠す


隠れてる間に何かやっていたようだ


危機的状況、だが犬歯を剥き出し笑う俺


“なんじゃ、その顔は…まぁよい!死ね!“


水色の棘が来た


上体をそらし避ける


1本、また1本と、迫る棘を避けるが、棘はその場から離れられないように刺してくる


“氷葬の鳥籠“


そう唱えた瞬間、棘が薄く広がりくっつき始める


「やられたな、氷が綺麗で見蕩れてた」


反応はなし。俺の言うこと聞いて反省して実行するのはいいことなのか悪いことなのか…


「しゃーねぇ、こうなっちまったら足上がらねぇし、靴で消せねぇな」


つぶやきに空間が揺らぎ、反応したがそれだけ。気配は消えたまま


鳥籠が完成するまで10秒もない




「ちと無理するか」


“タバコ屋特製『追従』魔弾“


デザートイーグルを取り出し、天に向けて発砲する


「綺麗だが、脆い。久々の発動で怠けたか?穴だらけだぞ」


完全に完成した鳥籠の頂点に、魔弾が戻り、当たる


すると氷の鳥籠は、ひびが入り崩れ散った


“馬鹿な!妾の得意魔法じゃぞ!改良に改良を重ねた…“


「それが仇となったな、楽な方に改良を重ね、穴の修復を怠ったか。そこだ」


右手に持つデザートイーグルで魔弾を撃つ。デコピン程度の威力だが姿が現れる


「失敗しても声を上げるのはダメだな、次に活かせ」


「嫌味か貴様っ!痛ぅ〜っ!」


「気を緩めるな、戦場だぜ?」


と、そこで広範囲交信魔法装置が響く


“おばあちゃん、即席ラーメン出来たよ“


“おぉ、ありがとうの。クソ親父〜、行くぞ〜“



「「………」」



上から降るはガンケース。

歪に膨らんだ形をしたガンケースは“破壊姫“の背後の地に突き刺さる



「いや待つのじゃ!今のにツッコミは入れぬのか!?」


「それは後だ!勝ちゃぁいいんだよ勝ちゃぁ!」




────「“タバコ屋特製『貫通』魔弾“!」


「に、逃げ…っ!」


飛び出る弾丸、タイムラグはコンマ1


逃げようとし、体を横にされたが左腕を腕をぶち抜き、ガンケースに直撃する





“黒の捕縛師“の予想通り、広場が全壊した

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