特殊魔付加工されたタバコは、国の許可を得ています

ガンケースからタバコ『緑の楽園をひと摘み』を取り出し、一服


即効魔法の『回復Ⅶ』『アドレナリン増幅』『興奮作用』が発揮される



「貴様のタバコには魔術が施してあるのか?」


質問は“破壊姫“さんだ


「”破壊姫”さんが眠る前にはこんな代物なかったからな、国の認可はいるが市場に出回ってる。タバコを利用した英雄的魔法使いがいてな、ガキ共が憧れて吸ったりしてるぜ」


「ん、10代でも吸えるのか?」


「こういった代物だけな、普通のタバコは吸えねぇぞ?」



まぁ学校で使うにしても『検問玄関』通ってから靴箱・教室に向かうって孤児院のガキ共が言ってたし


1日に吸う本数も限られている


制限を超えてしまうとタバコから微弱な電流が流れ続け、警戒偵察部隊に通報され、補導されるとかなんとか



「姫さんも吸っとけ、死なれちゃ困る」


「撃ち抜かなきゃよかったではないか、貴様は阿呆か」


「1度『負け』つう形にしておかねぇと止まんねぇだろ」


「…さて、どうだろな?火を貸せ」


「ほらよ…、っ!」


ライターを投げ寄越すと同時に、灰の巨躯が頭から突っ込んでくる



「不意打ちは卑怯じゃねぇかぁ!?」


「おアイコだろうっ!両扉を蹴破ったアトの事を忘れンぞ!」


「チッ!老害が!記憶障害起こして三歩あるけりゃ忘れるようにしてやる!」


「俺ハ30ダァアア!!鳥頭デモねぇぇえ!!」


「はぁ!?俺と同い年とかオッサンじゃねえか!」


「自覚しておるではないか、それに妾も先程、お主に言ったのだか?スー…フゥー…」



姫さんが吸いながらなんか言ってるけど無視無視


「もう立てるだろ?さっさと逃げろ。後でライター返せ」


「店に置いてないのか、ライター?フッ!」



吐いた副流煙と共に左腕を横薙ぎに振るうと、木造であろう教会の、天井の木の水分や、床板の水分が絞られるように出てくる


破壊姫との魔力が混ざり

増幅し

氷の円錐となり


壁に灰の巨躯を串刺し、標本にする


「口約束は苦手でなぁ、出来なくはないが…ほとんど守れなかった。だから今返すぞ」


少女の小さな手から放り込まれたライターを受け取る



「分かった、まぁ行く当てなきゃ43番道路近く、208番街のタバコ屋に来い。迷子になりそうなら警戒偵察部隊に頼れ」


「ガキ扱いするでない、このナリではあるが一世紀は迎えとるぞ」


「マジかよ、絶対うちに来い。いいな絶対だぞ」


「なぜ、必死になるかは知らんが、気が向いたらの…では、お言葉に甘えて失礼しようぞ。そこのデカブツ、何とかせいよ」


両扉から、雨の中出ていく根元水色毛先白髪の少女。雨が避けるように少女を濡らさない



「あれも魔法か…便利だな」





ビシリビシリと音が鳴る方を向くと、細長円錐氷棘にヒビが入り、砕けた


「黒狼よ…なぜお前は邪魔建てをする」


「そら依頼だもん、俺の意思じゃねぇし金の入り良いし」


「…金?金だと?そんなものはどこにでも”転がって”いる!」


「確かにそうだが、見つけれずにスルーしちまうから俺はテメェを”殺がして”金に変える」


「貴様ァ!!」



先のオークのオッサンより数倍もの速さで右拳が正面から来る


胸に仕込んだナイフを取り出し、避けながら過ぎる拳に突き刺し、そのまま肘までを切り”壊す”


が、灰の巨躯の腕は回復する


「”再生”持ちか。厄介だが、死までの工程が増えただけだ」



胸にナイフをしまい、背からg36cを下ろす


左拳が迫るので、その場でターンし体全体で受け流す


ターンの途中でg36cを取り、しゃがみ、構え、引き金を引く



薬莢が落ちる音

硝煙の匂い

銃口から出る火花

肩に伝わる振動


どれも仕事慣れしてしまい、日常に溶け込んでしまっている


計30の弾をハラワタにぶち込むと腹に穴は開いたものの


肉が、開いた穴を飲み込み回復していく


距離を取るため後ろに下がり、装填する


「クハハ、無駄打ちだったな…」


「そうでもないさ、首さえ残りゃどうでもいい」


「戯言を!」



50口径デザートイーグルを発砲するが、何かが体を覆うように銃弾が通らない


「水で膜を覆ってる…?だがなんだ?違和感が…」



灰の巨躯が、両腕を押し出す動作とともに特大の火球を繰り出す


「魔力も強化されてんのか!情報通りなら下級の全属性揃えてるからさらに厄介だな、おい!!」



「一つの属性強化ダケではナイぞ!ほぅレ!」


言うやいなや、片手で風と土の反属性混合魔法を

もう片方の手で金属性を”従”属性でムチのように攻撃する


「混合魔法強化されている、が初級のみ…ムチの方に避けっか!」


だが、それがダメだった。混合魔法限界が2色とは、灰の巨躯は言っていない。デザートイーグルを持つ右手を絡まれた瞬間、爆発し、銃を手放す


「んな!”爆”属性…3色だと!?」


「我ラの、神ノ加護がアレば下級とイエど全属性混合魔法可能なのダヨ!疲れるけどぬぁ!!」


「チッ!雑魚のくせに面倒なんだよ!手前ェの都合で話数稼ぎたくねぇ!」


「知ルカ!」


吠えると同時に単一属性魔法、2色混合属性魔法を繰り出してくる


最初に懐に入れたのは体が順応していなかった為であろうが…


次は…あるが、ない



「避けるダケではジリ貧ぞ!ホゥれ壁際だ!死ねィ!!」


「曲芸は苦手だがやるっきゃねぇ!」


全属性混合魔法を放つ灰の巨躯


壁際に追い込まれ背が壁につくが


直後に壁を登り

魔法を避け

壁を跳び


灰の巨躯の背後に着地する


「あんたはまだその体の出来ることの範囲を知らねぇ!今が隙だ!」


左に持ったg36cを脇で挟み発砲する。精度は低くなるがゼロ距離なら当たる


「ガッ!グァァアア!!」


「やっぱな、それは大技扱いだ!障壁みてーなのは貼れないな!」


銃撃により体に穴が開く。すぐ塞がる直前に、ガンケースを突っ込む


「ナッ!貴様何を!?」


「弾薬しか入ってねぇと思ったか!整理が苦手な俺は手榴弾も中に入れてんだよ!」


「自慢するコトかっ!は、排出セネバ!!」


「もう遅い!込める弾は要らねぇ!弾は”タバコ屋”特製の魔弾だ!喰らいやがれ!」




”タバコ屋特製『貫通』魔弾”




教会が崩壊した






豪雨の中、瓦礫から狼頭の顔を出す


「ゲホッ!あぁー…弾薬が0になるのが欠点だが、威力は馬鹿にならんだろう?」


立ち上がり、首だけになったデブ神父を拾う


「クソ!大技のデメリットさえ知っていればこんなことは!」


「知ってても対処できたからな、無駄なあがきだわ」


「何?!知っているのか!」


「無駄話はしなーい、こん中に入っててね」


「ま、まて!なんだこのカプセルは!」


「魔法封印生命維持装置。昔昔でいうお縄につけってヤツ、昔でいう手錠をかける的な」


「ど、どこに連れていくつもりだ…」


「知ってるくせに聞いちゃう聞いちゃう?『ハルバード』特殊拷問課だよ!」


「う、噂程度だがそこから輪廻転生できた者はいないと聞いたぞ!待っ、待ってくれ!!」


「大丈夫大丈夫、痛いの最初だけだから」





俺は豪雨の中、教会を後にした

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