異議ありーありありー!やりすぎてないと思いますー!(タバコ屋)



ここはどこかと聞かれたら牢屋の中としか言い様がない



装備は取られたが手錠はされていない


開口一番、シャドが口を開く


「やっぱさ、慎重にいったほうがいいと思うんだよ」


向かいの牢屋で、ボヤく黒猫男


「作戦立案者、誰だよ?」


「てめぇだろ!!“タバコ屋“!正面突破余裕とか言って堂々と行く馬鹿があるかよ!」


「そうだぞ、助手ですら施設の支配が可能なのだ。ラナバスタ博士が城を支配できる可能性はあったであろう?」


斜め前向かいで捕まっているアイギスお嬢さんに言われる


「なんかもう、早く切上げたくなっちゃったから…ゴリ押しでも行けるかなーと」


「アホの極みだな」


「マヌケに言われてるぞアホ」


「あほあほ言うんじゃねえ!まだ希望はあるだろ!」


「壊すことが得意の男が、希望を語るなアホ」


ちなみにアイギスお嬢の部下4人は、まだ城外で待機している


「オレの見立てじゃ、練度はあるが、指示がないと迂闊に動けないだろ?」


「あぁ、城の支配力が私たちを上回る時点で、部下4人を動かすのはまずい」


「だから、どうすることも出来ねぇってか?」


「策でもあるのか?」


疑問に、質問をぶつけてくるアイギスお嬢さん


「この城の兵士に紛らわせること、出来るだろ」


「不可能だ、変装出来たとして博士の城の目を欺くことは出来ない」


「現にオレだって、研究施設から持ってきたナビ子入りノパソも取られちまったしな」


シャドは助手がいた施設からナビを持ってきていたが、名前クソだせぇ


「あぁ、勇者よ。てめぇの冒険もここまでか」


「正面突破は勇ましすぎるわ」


「勇気と無謀を履き違えてる」


「てめぇらツッコミばっかだな!もういい!知能を捨てて、力の暴力で柵壊す!」


「言った所で、“タバコ屋“も武装とられてんだろ」


「俺の銃とかナイフは、サブ武器として持ってんだよ。本当のメイン武器はタバコだ」


そういって、柵を掴むと電流が流れ始める


「アガガガガガ」


「漫画みてーに骨まで見えたぞ」


「簡略化してないからグロデスクね」


「燃え尽きちまったよ…真っ黒にな」


「元から黒いじゃねぇか」


するとどこからか、声が発せられる


『あまり無駄なことは控えて欲しいな、3人』


ラナバスタ博士だ


「口調が助手じゃねぇか!」


「分かりにく!研究者ってみんなこうなんか!?」


『貴様ら男二人も一人称が「俺」と「オレ」でなければ区別つかないだろう』


「言えてるな」


「アイギスのお嬢さんはお堅い口調だから、男か女かすらもわからんぞ」


『良いじゃないか…騎士の女性は、素敵だよ』


「うわ!ラナバスタ博士って女好きかよ!口説いてやがる!」


「きっも!こいつぜってー根暗で、ヒッキーで、友達すらいないんだぜ!」


『…言いたいことは終わったか?』


「もうちょっと続けてもいいぜ?」


「話が進まなくなる、やめなさい」


『ありがとう単眼のお嬢さんよ、貴様らのおかげかどうか知らないが、計画に着手していたモノ達の行動が早くなった。助かるよ』


「褒めんなよ」


「褒めてねぇだろ、人死んで計画が早まったってことだぞ?」


「人を人として扱う姿勢、助手とは違うな」


『助手か…発想力は私を上回るものがあったが…野望心が強すぎるのが、難点だった。いずれ排除しようとは思っていたが…助かったよ』


「おいおい、俺を評価しすぎると調子に乗っちまうぜ?」


「マジやめろ、調子に乗った“タバコ屋“が受けた以来のほとんど、廃屋になったって聞いたぞ」


「豪快な男だろう?私はそこに惚れたのだ」


「アイギスのお嬢さん家、廃屋なったのかよ…もうちょっとほかの男を見ろ」


「例えば猫のような男とかか?」


「なんでオレなんだよ」


「え、アイギスの嬢さんと“隠し屋“、そんな仲なの?」


「なんでだよ…出会いが衝撃的だったから警戒心もクソもねぇんだよ」


「だそうだ」


『…仲睦まじいところ悪いが、計画に移させてもらう、『始動』』


発せられた『始動』の言葉と同時に、視界がぶれた


水滴を池に垂らし、波紋が広がるような感覚


「こりゃ…まじぃな」

「あぁ、凄まじいな…」


俺とアイギスお嬢は、どうやら霧を少し吸っていたようで、迫る違和感に不快感を味わう


しかし、シャドを見やると頭を抱え、うずくまっていた


「…“隠し屋“?」


牢屋の中だと言うのに、隣の様子を“覗こう“とするアイギスお嬢さん


「近づくなよ、感染するとかだとシャレにならん」


「しかし、これは…?」


「“隠し屋“は6年いたんだ、少しずつだが霧の影響を受けてただろうな」


俺たちの会話はシャドには届かないようだ


だが戦力が減ったことに変わりはない、ましてや俺たちに攻撃してくる可能性だってある


俺はうなだれる


「…はぁ、キレそ」


『おや、“破壊英雄“と名高い“タバコ屋“でもお手上げかな?』


「ちげぇよ、知り合いっつぅ形だが…今は仲間だ」


「“タバコ屋“…顔が怖いぞ」


「それをだな、こんな形で精神を支配されてる姿見てるとよ…」


牢の柵を掴むと電流が走り、筋肉が動くことを拒む




「仲間1人救えねぇ!!俺自身が情けねぇってんだよ!!」




耳の中に隠しておいた雷の模様が入った『噛みタバコ』を取り出し、噛み締め、流れてくる電気を『噛みタバコ』に留まらせ、それを利用して無理やり電気信号を変える


「“タバコ屋“?何故そんなものを隠して──」


「わりぃ、集中したいから黙っててくれ」


柵を両側に、人ひとり通れるぐらいに広げた


「クッチャクッチャ」


『“タバコ屋“……貴様、魔法を!?』


「あぁ?そうか、カメラ越しだと分かってねぇのか…どうでもいいがな」


『噛みタバコ』の効果を知らないラナバスタ博士は、俺が自身の持つ魔力で、電流を操作しているように見えているようだ


「…?なにかする気か?」


「“隠蔽屋“を救う。今、集めた電気を噛みタバコで保持してんだ」


「噛みタバコ自体知らぬのだが…一体どう言った代物だ?」


「噛んでヤニチャージする娯楽品だよ、俺は好きじゃねぇが『噛みタバコ』扱うやつに持っとけうるさかったからな…こんな所で役に立つとは思わなかったぜ」


ちなみに、煙連盟の『噛みタバコ』を扱う奴は、噛みタバコのし過ぎで顎を全て失ったらしいが、義手ならぬ義口のマスクで補っているとか何とか


上手く噛みタバコで電気を保持しながら牢を出て、シャドの牢に近づく


運がよく、柵も腕1本通れる間隔で、シャドも柵近くで蹲っていた


手を伸ばし、頭に触れる


「起きろ、シャド」


俺らしくない、優しい喋りをシャドに送り、保持していた電気を流す


前頭葉を刺激し、洗脳を解除した


「これで…ダメなら、脳みそ全部弄ってやる…」


恨み言を残し、床にケツをつけシャドを見守る


「私は出してくれないのか?」


「効果なくなった、わり」


「情けなくダラけているな、早くしろ」


「少し待て…お?」


息を吹き返したのか、シャドが目を覚ます


「カハッ!ハァハァ…俺の猫缶盗ったやつ誰だ…」


「いい夢、見れたようだなマヌケ」


「…ハッ!俺は何してた!?」


「頭抱えてうずくまってたぞ、俺が正気に戻した」


「そ、そうか…なんか、すまん」


「いい、んな事ァ。次から俺のために働きゃ、それでいい」


「代償が高すぎる、まけろ」


「依頼による」


すると、スピーカーから驚愕の声がした


『馬鹿な、有り得ん!操作系強制洗脳術が強制的に解除されただと!?』


「試しに前頭葉だけに電流流してみたが、そこに洗脳を集中してたのがダメだったな。と、言ってもこれが国全体となると、強制解除は負担がかかる…解除される側がな」


「え、オレ死ぬの?」


「だが、何かあるのだろう?」


「無視すんなよ!オレ死ぬとこだったんだぞ!?」


「俺は波紋が広がる直前の場所を、記憶してる…そこを叩けば、国全体の無関心・非日常を直せるだろうな」


「もういい…生きててよかった、オレ」


『……何を企んでいる』


「操作系強制洗脳術…と言ったが、国全体を覆う範囲だと、機械にも限界はあるはず……城内から霧を発生させる装置があるはずだ、それを“壊す“」


『大ハズレだな、下手な推理にも程があるぞ?』


「ラナバスタ博士、あんた嘘つく時、喋り方少し変わるんだな」


『っ!』


「ブラフだ、バーカ。アイギスのお嬢さん、場所言うから“道案内“頼むな」


「女性を先に行かせるのか?」


「レディファーストって奴よ、今の強さも見ておきたいし」


出会う前の戦闘を俺は見ていないしな、シャドによると戦闘すらしてないようだけど


「そうやって私の身体を視姦するのだな、変態猫男」


「えぇ、オレェ!?会話に全く入ってなかっただろ!?」


「間違えた、シャドくん」


「そこじゃねぇから!てか名前!なんで!?」


シャドがこちらを見てくるので、すまんって感じで頭下げとく


「ニャアアアアアアアアアアアアアッ!!」


「うるせぇ!別に減るもんじゃねぇだろ」


さて、牢屋からどうやって2人を出そう?

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