ハマった曲が10年前の曲だった時の、俺の中での驚愕の事実

━━(∪・ω・)━━


俺は飛び跳ね、観客席にいるビショップの首元を掴む


「っしゃ!これで依頼終わり!」


ビショップの首をねじ切り、頭と体を分離させる


すると、身体の方から音声が流れてくる


『ヤァヤァヤァ、久しブリだね、“破壊英雄“君』


「受け答え可能かこりゃ?」


『アァ大丈夫だよ、今も君のことを見てイルヨ』


となると、遠隔操作で俺の事を観察している弱虫サブがいるらしい


「そうか。誰か知らねぇが、俺には優秀な電子人材がいるから覚えとけよ?」


個々人の無線記録から、衛星を使った会話内容まで、全てを通してどんな種のどんなクソ野郎が使っていたか炙り出せるのが“シロ“だ


性格は捻れてしまったが、優秀だと思う、多分


『ソウカソウカ、これが録音テープで良かったよ』


嘘つかれた、こいつぜってー許さねぇ


『ワレワレの今回の目的を話ソウ』


「あ?やけに余裕じゃねぇか死ね」


『その語尾ハ流行らナイシ流行らせナイかラネ?』


「いいから目的をいえ、どうせ録音テープなんだから言うだろうけどよ」


『君の態度が気に入らナイカラ、言わないでオコウ』


まじこいつなんだよもう死ねよ


「んじゃ、何だよ、何を録音してんだよ、これは」


『この個体の頭と身体を、分離サセルと爆発スルことを、教えてオコウと思ッタノサ』


「……ハッ!?」


────瞬間



俺は咄嗟に頭と身体を上空に投げ飛ばした



━━Z━━


iの試合見てたけど、すっげー蹴り技からの、足から謎の波動が出て、相手選手が吹っ飛んでいったところしか覚えていない


ま、まぁ、試合時間も短かったし、相手選手もiみたいな少女に油断してたから…仕方ないことは…仕方ないのか?


最初から最後まではずっと、選手控え室に備えてある、魔結晶による映像出力画面から見ていたけど


「親父…何やってんだ?」


1人の観客の頭と身体をちぎって、武道大会の天井を、突き破る勢いで投げ飛ばしていたのだ


そのあとに起きた爆発は花火のように色とりどりで……まるで────


「親父…人殺しちゃったのか!?」


唖然と困惑が混雑し、大声でそう言ってしまうと、周りの控え選手がどよめき始める


「やっぱ“破壊英雄“だ…いやもう“破壊神“じゃないか?」

「しっ、奴隷に聞こえるだろ…でも、どう見ても…」

「捻り殺すに飽き足らず、爆殺までするとか…徹底しすぎだろ…」

「俺…この大会、適当に負けて実家で農業するんだ…」


どよめきが騒ぎになる頃には、俺は控え室から出ていっていた




親父への文句は別にして、心配なのは i だ


親父と i は何か会話をしていて、i は試合会場から走って出ていったのだ


褒めたりすれば親父に抱きついたりするくらい、i の性格を知っていたのだが


それすらしないということは…親父に酷いことを言われて逆上して、離れて行ったことか?



出ていった時のスピードは滅茶苦茶早かったけど、追いつけるかな…?




────鬼のような女の子が、何処に向かっていきましたか?


そのような質問を会場内にいる選手や観客にしまくり、散策すること3時間


見つけたのは、孤児院の、i の自室だった



……え?早くない家帰るの?


まぁ次の試合は明日以降だから、良いんだけどさ…普通の選手なら、他の選手みて観察とかするもんだけどな…


俺は i の自室扉をノックする


「おーい、あいー?いるかー?」


孤児院の他のガキたちから聞いて、居るのは知ってるんだけどさ…まぁ親しい家族間でも礼儀ありって言うし



言うかな…?


“……“


聞こえたのは、ため息に近い沈黙


呼吸音は聞こえたが、何かしているのかは分からなかった


「は、入るぞー?」


“来ないで!!“


拒絶された…


まぁでも入ってくるなとだけ言われたので、扉越しに質問する


「親父に…何か言われたのか…?」


“……っ!し、知らない!何も聞いてない!!“


親父から教わった、思考を持つ生物の考え方は第一声の初めの言葉


その言葉の声の揺らぎ、とか言ってた



iもまた、感情がぶれて声が震えていた


「お、親父に何言われたが知らないけどよ…悪気はないと思うん────」


“嘘、嘘だ!!おとーさんはわたしの事なんて何も考えてない!!あんなやつ死んじゃえ!“



俺の中で、キレた



「そんな事言うなよ!!親父がいなかったら俺はここにいなかった!!皆もいなかったんだぞ!!」


“知らないそんなこと!!おとーさんは私を見てない!!私を見て欲しかったの!!“


自身の感情に任せては、相手の本心を見抜けない


だが逆に、相手が感情に任せると本心を見抜ける


親父の言葉を思い出し、言葉を探し、発する


「……そうか、iは親父に見てもらいたかったんだな…俺は見てたぞ?」


“Zにぃに見てもらっても嬉しくない“



iの即答で、怒りの感情が吹っ飛び、酷く心が傷ついた


俺が見ても嬉しくないのか…つれぇ…


「で、でもさ…見てたのは見てたじゃねぇか?」


“……揚げ足取るところ、おとーさんの真似?“


「はっ、そりゃな!俺はオヤジをリスペクトしてるからな!」


“……ふふっ“


本心をぶちまけてスッキリしたのか、扉越しに i は笑う


「なぁ、i 。親父も悪気はないんだ…許してやってくれよ」


“……わかった、でも嘘ついたら針千本飲ます“


「それ指切りげんまんする時の約束だろ…マジでやりそうだから辞めてくんね?」


“ふふふっ、やだ“



そんなこんだで、i は機嫌取り戻した…はず


難しいことはわかんねぇし、親父の狙いもわかんねぇけど



「親父が帰ってきたら殴ってやる!」


“…!私も手伝うよ!“


こうして俺たちは意気投合したのだった





━━狼━━


大会2日目の朝日が昇る


1日目の爆発が終わってから、作り笑いしていた量産型サイボーグをシロの助力で、生産元を特定できたものの謎の録音テープを残した奴までは特定できなかった


量産型サイボーグの工場は、俺含む5人の『ハルバード』国チーム、ジャック、ケイン、カーラ、マインが潜入し、完成したサイボーグを排除しながら工場の施設内に爆薬を仕掛けることに成功はしたが、死んでいくチームの仲間を看取りながらの作戦は辛く、そして黒幕がアイツだったことに苛立ちを抱えたのだ



大会では謎の爆発を、俺の責任として借金を増やしたまま続行という形になった



クソッタレ!

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