やっほ^^わしじゃよ

目が覚めると知らない天井


…廃墟のアパートにいたの忘れてた


深い眠りだった

警戒をシャドに任せっきりにした結果だ





気を取り直して状況確認

廃墟の外で、街は霧に包まれていた。遠くが見えねぇ


荷物を確認しつつ、シャドに連絡をする


「“隠し屋“、クソみたいな最悪の朝だな。霧が濃くて遠くが見えん」


“年に2回こういった霧が発生するが…今の時期は珍しいな。おはよう“


「あぁ、おはよう。異常はあったか?」


“特にはない、貴様の寝顔が幸せそうに見えただけだ“


「どこで俺を見てるかは聞かねぇ…二日目の、今日の予定としては、昨日話に出た直属騎士とやらに顔合わせに行く」


“わかった、健闘を祈る。ちなみにその騎士が恋してるのは『ハルバード』国王の孫娘さんだそうだ“


「なら尚更、顔を見ておかねぇとな。特殊性癖なら性格ねじ曲げてでも男好きにしてやる…っと、警戒助かった、“隠し屋“の方は少し寝てろ」


“それはダメだ、俺は常に一人で動いているのだ。警戒を怠れない“


「んじゃあ俺とともに行動するか。直属騎士が軟禁してるところで合流するぞ」


“…はっ!?お、おい!勝手に決め────“


無理やり通話切った、これで来るだろ


荷物をまとめて廃墟から出る際に、クマのぬいぐるみを見つけた


廃墟の一階に降りて


クマに爆弾を詰め込み


柱にC4を縛り付け


クマのぬいぐるみにセンサーを取り付けて


その場を後にした





3分後に、俺がいた廃墟は崩落した


死者はいたそうだが、この街では人の死すらも当たり前のように、働いていたのだった






“タバコ屋“!お前の魔力波長、複雑すぎるわ!異人種だと思って探したのに!なんだよ!95575441593から始まる番号なんて聞いたことねぇわ!“


「この世界の人間じゃなかったりしてな!でもよく見つけたな」


“ふざけるなよ!携帯はラジオじゃねぇんだからな!履歴みねぇとわからんかったわ!“


「履歴あったのかよ…つか、そんなん俺に聞くなや、知らんし。んで騎士様はどこにいんだ?でかい建物目指してんだけど」


“あぁ、ケンブル城か。ビルが乱立するだけあって石造りの城は目立つからな、そこで合ってるよ。待ち合わせは変わらん、正面ゲートにこい“


「へいへい」


通話を切って、ケンブル城を目指すことにした


後からつけてくる人種が何人かいるが、手は出してこないので放置する




正面ゲートに着くと、猫耳の形をした茶色のフードを被って居座る、雄の異人種がいた


俺は素通りする際に目配せをすると、後ろから付いてきた


「後ろから人種が5」


そう俺は呟くと、頷き返してきた


融合してから世界協定みたいなもんがあって、人種と異人種は特別なことがない限り手を出しちゃいけねぇとか決まり事がある


なので、ネコミミが出たフードの男は『陽炎』と小さく呟き、俺たち2人の姿を消し去った







城に入って一声


「おい“タバコ屋“」


「なんだ、“隠し屋“」


「もっと波長を簡単なものにしろ」


「無理言うな、だが姿をくらましたのは助かった」


「話そらすなよ…まぁ、どーも、次は金とるぞ」


「借金まみれに言うことじゃねぇだろそれ…ケチくせぇな」



なんて会話をしつつも“隠し屋“は『陽炎』の魔法を駆使し、俺たちの間で話題になった直属騎士の軟禁場所兼牢屋へ行く



目的地につく


「地下に行ってるのは分かっていたが…土はむき出し、牢は錆びてぼろぼろか」


「俺も初めて入ったが、ここまて清掃が届いてないとは…匂いが糞尿と、拷問による血と鉄が混じっているな」


「どの牢の中だ?」


「先二つ目だ」


二つ先を目指すと中に異人種の男が1人、項垂れていた


頭には角が生えて、灰色の髪をオールバックにしていたようだが、今はもう整えられていない程だった


軟禁とは聞いていたが、両手に手錠がかけられ


上半身は裸で無駄な肉がなく仕上がっているが、鞭打ちされたであろう傷が何本か入っていた


下はズボン1枚だったがボロボロになっており、傷跡が見えた


両足首にも足枷がしており、もはや軟禁とは程遠い、罪人と化していた



「こいつで間違いないな?」


「おいこら、声出すなよ。声までは誤魔化せないんだから」



「……誰かいるのか?また鞭打ち…なら手加減してくれると助かる」


俺らの声に反応し、直属騎士は痛みを抑えながらも、疑問を口にした


その問に俺は質問で返す


「目は…無事みたいだな、俺が見えるか?」


俺の質問に直属騎士は顔を上げ、確認した


「狼の顔…“破壊英雄“か…?となれば死神が…とうとう私の命を…奪いに来たか」


「人を死神扱いすんなよ、聞きてえ事がある」


「いいだろう、冥土の土産に答えてやる」


「殺さねえけどエラソーなやつだな、殴んぞ」


「“タバコ屋“には言われたくないと思う、あと傷を増やすな」


「うるせえ。えーっとだな、色々聞きてぇが一番に、だ」


「…なんだ?」



“生きたいか?“



その質問に直属騎士は目を見開く


「ふざけたことを…国から出られることも叶わず、告白もしていない未練はあるが、私の終着点はここだ」


「てめぇの終わりなんざに興味はねぇが、俺の質問に答えるのが先だ。“生きたいのか?“」


「お前は本当に…あの…“破壊英雄“なのか?」


「少なくとも“破壊“するのは同じだな、で?答えは?」


「ま、まて…脱出する算段はあるのか?そんな答えは簡単には出せな────」



「なら死ね、そこで飢えて死ね、手錠に首かけて死ね、次の拷問に耐えきれず死ね、飢えて死ね。飢え死は吸血鬼の間でも辛い死に方って言ってたぜ」


「言い過ぎだろ“タバコ屋“」



“だが俺はあんたを生かすことが出来る“



この言葉で決心がついたかは知らんが、目に光が戻ったように見えた


「俺に、生きろと…言いたいのだな?」


「別に死んでもいいんだよこちとらァ!だだな、あんたが恋した奴はな、こんな所で死ぬような腑抜けじゃ、釣り合わねぇんだよ」


「は…はは…そうだな、死ぬなら告白が終わってからだ…」


「それでいい、じゃあはっきりした答えを聞こう」


異人種の男は立ち上がり、叫ぶ


「俺は生きるぞ“破壊英雄“!俺の名は“堅土創“のガモン!簡単に壊されないものを作るのが得意だ。告白までの間だが、宜しく頼む」


「恋する奴って強いんだな」


「人種も異人種も魔物も、恋を前には関係ないってこった」


ガモンは立ち上がる。2mはあるだろうか、立っただけで牢屋が狭く感じる


肌は黒だった、日焼けした色ではなく夜のような黒色をしている


「気になったんだが、なんで異人種が騎士なんだ?『ウィルマ』は人種を優遇し異人種は軽くだが差別して不遇していると聞いたが」


「それはだな、私がハーフだからだ。自由に角や皮膚を隠すことが出来る」


それを聞いたシャドが驚く


「ま、まて!ハーフが許されるのは『ハルバード』と『カトリーナ』くらいだぞ?!『ウィルマ』での認可は不可能だ!」


「いや、んな事よりも融合してから10年だろ?“堅土創“は最低でも、俺より年下じゃねえか」


「そうだが?というよりも私は7歳だ。まぁ、年齢など関係ないがな」


「年なんか今関係ねぇだろ“タバコ屋“…だが、そうだな…あれだろ?犬や猫みたいな動物みたいなもんじゃね?角生えてるけど」


「肌が真っ黒な動物、聞いたことねぇぞ」


「ブラックパンサーとかいるじゃねぇか、黒猫とかもいるんだし」


「聞こえとるぞ、まぁそうやって偽っていくうちに、本当の自分がわからなくなってな…だが、今回はいい死ぬ機会だったんだ。それをお前達のお陰で、機会がなくなったがな」


「褒めんなよ」


「今の、褒め言葉じゃなかっただろ“タバコ屋“」


俺たちのやり取りを聞いたガモンは、クククと笑い出す


「はっは!“破壊英雄“がこんなにも愉快だとは思わなかったぞ!」


「皮肉か今のコラ」


「なんで今のが皮肉ってわかんだよ」


立ち上がったガモンは牢屋の柵の前で伸びをし始める


「少し牢から離れろ、私の魔法を見せてやる」


「言うねぇ、見せてもらおうじゃん」


「だが、手枷と足枷にゃ対罪人用の魔術が仕込まれてんだろ?どうするんだ?」


「手伝ってやんぜ?7歳児」


「いや結構!“土竜“ぁ!」


そう言って魔法を発動すると、ガモンのいる床から、龍の顔が出てきて牢の柵を食い破る


「こりゃいい戦力になるね“タバコ屋“」


「るせぇ、黙ってろ“隠し屋“」


俺の煽り無視して牢を破壊しやがった、しかも土を龍に模した奴は、牢を喰ってやがった


「なるほどな、魔法は魔法でも精霊魔法は対象外か」


「よく分かったな“破壊英雄“…いや、今は“タバコ屋“の方がいいか?」


「好きに呼べ。そんで精霊だと、使う魔力は本人ではなく、精霊自身だからだ」


「ふーん、手錠のルールにも穴はあるんだね」


「では、これからどうする?」


場内が騒ぎ始める音が聞こえだす


「異常を嗅ぎつけたアホどもをぶっ壊す」



いくつもの牢屋の先から、この国の兵士と思われる連中が、多数来たのを見据える


「準備しろ、殺すなよ」




━━━━━━━━━━━━━━━━━━


スラム街に来ていた、お婆さん姿を装った“金龍師“ティア


目標の国王は定期的にボディガードを連れて国中を駆け巡っており、今日はスラム街区画訪問しているという訳だ


匂いを辿り目標を見つけて声をかける


国王の容姿は一見、スラム街に溶け込むようなボロのマントを着込んでいたが、汚れや埃などはなく異様に映っていた


「忙しいくせに働きもんじゃの、国王よ」


「むむ、ティアか。ボディガードが何も言わんわけよ…用事か?」


「時間は取らせん、クソ親父…“タバコ屋“の男は何しにそちらへ出向いたのだ」


ティアにとっても、今は時間は惜しい。それを察した国王はお喋りを断念し、返答する


「何、眠姫に会っていただけじゃ」


「たわけ、お主の国のNo1に会うだけならいつでも出来る。クソ親父は国王自身にも会ったであろう」


「バレたか、まぁ良い。ワシにも会ったぞ、『俺の真名を思い出した』とだけな」


「それだけじゃなかろう、他に何か言うておったはずじゃが?」


「そう急くでない…あとはそうじゃのう、『目的はわからねぇが俺は使命があってこの世界に来た』とも言っておった。目的は知らぬと付け加えておったが」


「いや、そこまで分かれば良い。時間取らせてすまんの、せいぜいスラムの人間と戯れておれ」


「皮肉にしては優しいのぅ。なに、力になれたらそれで良い」


そう言い残し、国王はスラム街へと歩いていくのであった


取り残されたティア、は次の目的地に向け歩を進めながら思考にふける


(名前しかわからないのはまだ良いとして、目的探しと出ると…しかし今回はウィルマでの依頼につき10日は帰ってこん。ワシがウィルマに出向いても構わないが、依頼に巻き込まれてはそれどころではなくなる…となれば)


ティアは昔、大戦が起きていた頃を思い出す


(“黒獅子“を覚えている輩がいれば口封じが必要か…記憶操作だけで済めば良いが、あのころの“黒獅子“は破壊を通して人々に恐怖を与えておったのは事実。根強く遺恨を残された者に忘れろというのは不可能じゃ…抑えきれぬなれば、殺すしかあるまい)


決意を固くし、ティアは人気のない場所で大きな翼を広げる


それは金の龍翼でもあり、“空を飛ぶ“という概念には必要的なものであった


飛び上がりながらも考え込む


(“破壊英雄“と呼ばれた頃の“黒獅子“なれば翼など要らぬかった。概念さえも覆す存在に危機したワシは、“黒獅子“に封印を提案したんじゃったな…)


ティアの言う通り、“黒獅子“は世界を破壊すべく動いていた


だが、それを危惧し封印を懇願したティア


それを見た“黒獅子“が了承を得て今の“タバコ屋“と、能力や技術の劣化、オーラ変更などを施し、封印をしたのだ



『世界の行く末をこの目で確かめたい!だから!壊すのをやめてくれ!!』


『この世界の行く末は破滅のみだ、だからこそ俺は最小限まで破壊し、この世界の進化を遅く進める』


『目的が…それなのであればワシが管理する!必ずや、世界の平和をあなたに提供することを誓おう!!必ずや!!』


『不可能を可能にするのか貴様は?……良いだろう、だが監視はさせてもらう。顔を上げろ』


『…?』


ズドン



と、銃声が響く


下を見ると、空高くいるにも関わらず、地上ではテログループなる者達が強盗を始めようとしていたのを、視認した


(思い出にふけておったか…まぁ次の者はこの近くじゃ、道案内してもらうことにするかの)


そう言って、急降下するティアだった

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