営業時間は日が登ってから落ちるまでです
”レディ”の乗るv-maxの後ろでレディとは反対に背中を向け、腕と足を組み、俯いたまま話しかける
「なぜ『あそこ』でふらついていた?ガキ共の子守はどうした?なんのためにお前に任せてると思っている?どうして俺はお前の後ろに乗ってる?」
「質問が多いのは変わらないね。”お父さん”が地下鉄で行くとか言い出したからよ。二つ目はみんな寝かせたわ。三つ目は“お母さん“が来たからよ。四つ目は最初と同じよ」
頭を抱える、
「お父さん呼ぶな、あと過保護かお前は」
「子供たちによく言われるわ、帰ってきたお母さんにも言われた」
「は?ババア帰ってきてたのかよ…店勝手に開けるから嫌いなんだよな」
「お父さんの為よ、店の中汚いんでしょ」
「…」
「ダンマリは肯定よ?言い訳しないと相手に伝わらないわ。汚いのは確定だけど…曲がるわよ」
『ハルバード』は深夜にも関わらず昼間の明るさをそのまま持ってきたか如く、光源を保っている
だが1本道を踏み外すと闇の道が心の弱い人間を侵食し病ませてしまう
「意外と飛ばすな、集合時間はまだあったはずだろ」
「前に孤児院に来た時、Kが時計分解して、Jが分析、Qが1時間遅らせてたの見たわよ。でも流石に気づいてると思ったから、指摘しなかったけど」
「え?」
「え?」
v-maxに搭載された『ハルバード』都市時間と一緒に確認する…
「あああああああ!!なんじゃこりゃ!?何でだよ!」
「ちょっと!煩い!もう1時まわってんのよ!」
「それが問題なんだ!あのガキ共ぉぉ!!」
「お父さん、時間管理が適当だからでしょ!あと暴れないで!」
「帰ったら覚えとけよぉ…!」
「後ろで殺気飛ばさないでよ…」
飛ばすこと10分、教会を確認して降りる準備をする
サンプレッサーは外す、標的を穏便に隠れて殺す必要がなくなった
「ちょっと!止まってから降りてよ!?」
「依頼主に時間と同時に突っ込む約束したんだよ!文句あるか!」
「計画とか無かったの!?」
「プランBだ!」
「計画ないってことよねそれ!?最近観た映画にあったわよ!」
「突っ込むのが計画だ!教会前で急ブレーキかけろ!」
「分かったわよ!もう!行ってらっしゃい”お父さん”!」
ーー♟ーー
「では儀式を始める、魔術師たちよ…始めよ」
そう発言する神父の服を着込む男性の特徴といえば、大きく出た腹だろう。何年もの溜め込んだ脂肪が歩くだけで揺れる
「本当にこれで世界が元に戻る…」
「やっと、私の体が戻るのね…」
「遂に…遂に憎き国を滅ぼす一歩となる…」
召喚士たちの他にも、屈強な教徒や、体の一部が欠損した者、心を病んだ者達が祈りを捧げ、儀式を見守る
「神父様、わたしは頑張ります!耐えて世界を変えます!」
青黒く光る陣の上に、跪く儀式の中心にいた物心がついたばかりの幼い少女が、デブ神父にキラキラとした目を向ける
「あぁ!頑張りたまえ、我々の未来は君の手にある!」
儀式が始まる。淡い蒼の光に包まれた少女は悶絶し、異常な量の汗を流しながらも耐えていた。
と、その時だった
両扉が豪快に開く、デブ神父は焦りながらも振り向き原因を見た。
フードを被ったロングコートに身を包み、歪な形をしたガンケースを背負う男が扉を飛び蹴り、蹴破ったことを確認する
顔を見る、フードに隠しきれない狼特有の鼻、覗く犬歯、色は黒
デブ神父は確信した
「”破壊英雄の黒狼”!」
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