年末年始も営業しています
迫り来るゲンコツに反応出来なかった、不意打ち超痛ぇ
「いってぇ!何しやがる!」
「頭揺らして避けようとしてた分じゃ!いらんこと覚えよって!」
「痛ぇもんは痛ぇんだよ!避けたくもなるわ!」
ぎゃあぎゃあと、喚き散らし合っているとシャッター横の扉が開く音がする
「ただいま〜買い出し行ってきたよ“お母さん“」
「おぉ、レディよ帰ったか、おかえり。クソ親父もおるぞ」
「えぇ!?“お父さん“もいるの!?」
リビングにくるやいなや、俺を睨む黒のタンクトップにジーパンのレディ
「なんつー目で睨んでんだよ、おかえり」
「ただいま!掃除のことだけど!2階と3階の部屋汚かったんだからね!ちゃんと掃除してよ!なんで本とか雑誌とか新聞を天井近くに積むのよ!」
「ハハッ、わりぃわりぃ。手の届くところに置いとかねぇと、どこにあるか忘れちまってな」
「新居同然にするの大変だったのよ!あ、お母さんそれ冷蔵庫じゃなくて野菜室に入れて」
「おぉすまんかった。それで、クソ親父。謝罪じゃのぅて言うことあるじゃろ」
「………チッ!ありがとうな」
「長い間があったけど…よし!許す!次からは綺麗にしてよ!」
「善処しまーす」
「もうっ!あとそれから、調べ物もいいけど孤児院にも顔出してよ!みんな寂しがってるから!」
「孤児院筆頭のレディ様に強く言われても寂しがってんのかよく分かんねぇ」
「筆頭言うな!お母さんからも言ってよ!」
「行け、クソ親父」
「命令形出ましたよ!もうやんなっちゃうね…行きますよ行きゃいいんだろ!」
「ちゃんと来てよ!もう…お父さん台所借りるね」
そう言って俺が使うピンクのエプロンを装備し台所に入って行く
その姿は新婚ホヤホヤの新妻のようだ
まぁ新妻なんだけどよ
「あの子の旦那も幸せもんじゃろうな、あんな健気で素直な子はこんな都市にはおらんじゃろ」
「何『あの子はわしが育てた』みたいに言ってんだよ」
「自分も育てた、と言いたいのか?キモイのぅ」
「うるせぇ!ただな…もしレディに何かあったらって思ったらだな」
「深夜、仕事場に運んでもらったやつが何を言うか。子離れせんかクソ親父」
「心配して何が悪いクソババア、実際ババアも何かあったら都市を破壊してんだろ」
迫るゲンコツを避けながらババアを睨む
「そんな生ぬるいことはせん、最低でも人類半殺しじゃ」
「その中に俺が含まれてないことを祈る」
すると、台所から声が上がる
「聞こえてるよ!お母さんお父さん!ありがとう!!」
「わざとだよ!勘違いすんな!」
「素直じゃないのぅ、こちらこそありがとうじゃぞ!」
「レディ!豆は入れんなよ!」
「ダメ!入れるから!今度こそ克服しなさい!」
「どっちが子供なんじゃ…」
ーーqueenーー
「姉様?何を呆けているのですか?」
「…」
テラスに設置された椅子に腰を下ろし、僅かに雲の隙間から見える三日月を見る一番上のクイーン、1st。ショートボブの白髪に、頭には白い狐耳、腰の後ろに白い狐の尻尾の女性だ。
「だんまりとは感心せぬな、自分の今の立場を忘れたとは思ってはいけませぬ」
そう言うは2ndと呼ばれる2番目のクイーン。白いポニーテールに1st同様の狐耳と狐の尻尾がある
「…そうね、ごめんなさい妹たち。雲の隙間からお月様が見えたもので」
「成程、あの時も……綺麗で、醜い三日月だったな」
「月、綺麗、醜い……狼さん、思い出す」
片言なれど発言するは5th、一番下のクイーンで、足首まであるロングヘアーのボサボサ白髪が特徴的だ。こちらも狐耳に狐の尻尾が在る
「一番下まであの時のことを鮮明に思い出すか…罪な男だ“黒狼“よ」
「“破壊英雄“は出会った三日月の時に私たちを“壊して“行ったんだ。悔しい!!」
4thは悔しがる。サッパリしたスポーツヘアの白髪で、狐耳と狐の尻尾が目立つ
「今頃『ハルバード』の奴らは私達が不仲だと思われている。団体で動くことはないだろうと予想されるだろうよ」
「クイーン、皆、仲良し、永遠に」
「えぇ、そうですね。みんな仲良しですよ」
「だが“破壊英雄“は不仲を否定するだろうな、そうなると…」
「大丈夫、今度こそクイーンの皆で“破壊英雄“をぶっ殺すのよ!」
そう言い放つは3rd、最初に質問した少女だ。髪は白のツインテールで狐耳と白い狐の尻尾が存在する
「下品な言葉を言ってはいけません3rd、殺すのは否定しませんが」
「一番上が殺る気満々に満ちていて、私達は安心したよ」
「うん、安心」
「こちらに来て、拷問され、教育という名の監禁をされ、牢獄から見えたチラと覗く月が忌々しかったのに」
「“破壊英雄“との接触で私達は“壊れた“」
「今じゃあの月が、美しく綺麗で醜いわっ!」
「同感よ、クイーンみんなと再開出来たのは奇跡的よね。次に会ったら」
「私達が、壊して、殺す」
1st、2nd、3rd、4th、5thが三日月の如くニヤリと笑い、数秒間まで雲に隠れる三日月を睨みつけた
「そう言えば食事当番は3rdでしたか?」
「うん、わたしよ!あ、みんな均等に料理盛り付けるから!」
「…1st姉様、1人だけ、大盛り、ダメ」
「何でですか!腹が減っては戦ができぬ、ですよ!」
「育ち盛りの子供か、1st姉は…」
3rdはキッチンに移動し、元々、部下だったモノを調理し始める。4人はテラスで待つのであった
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