店主が二日酔いの場合、良くなるまで休みです
「そこ、孤児院のガキが通ってる低学年専用学校な」
黒のローライダーを乗り回しながら、助手席に座る少女こと”破壊姫”に説明する
「カコバナするに至って、黒狼の6年前の知識がどれほどあるかで話を始めなきゃならんのだが?」
吸い終わったタバコを灰皿に捨て、一本取り出して犬歯に挟み、吸う
「全くない!似たようなヤツが戦争に参加してるのはババアに聞いたが、意識取り戻した28の時以降しか記憶が無い!」
「大声でいうことか?つまりお主にはこの2年間しか記憶が無いのだな?」
「そゆこと、1年で箸やフォーク、ナイフの使い方や殺し方、車の盗み方に洗車の仕方、言葉使いに煽り方、効率のいい筋トレの仕方に化け物の殺し方辺りだな」
「殺し方が二つ出てきたぞ」
「一つは道具の使い方で、もう一つは効率だな。あ、そこ高学年専門学校な、中高大学まで一緒だ」
「教えてもらったのは…まぁ”金龍師”辺りか」
「ティアのババアには感謝したいが、スパルタすぎてな。急いで教えてる感じもあったが逆にストレスたまりまくってよ。右にある建物は、若い連中の溜まり場たがら遊び半分で殺すなよ」
「それでその話し方か。それで?今日までタバコ屋と依頼仕事をこなしてたって訳か?」
「あと今走ってる番街の住人に、顔を覚えて貰うことも今日至るまでやってた。そこの大型スーパーは食料品からベッドまで大概揃ってるぞ」
「あぁ、だから若いのから年寄りまでお前さんの顔を見ると目を伏せるのか」
「ちょっと仲良しの印によろしく言っただけなんだがな…何故か理由言ってくんねえし。あっ、この花屋は薬草から危険物指定植物まで揃ってるぞ」
「6年前の件に関わってくるなソイツは」
「あ、あの曲がり角にあるバーガー屋が美味しいぞ」
「案内しながらは無理じゃな、バーガー屋に行って昼にしようか」
バーガー屋に入ると、鳥の羽が頭についてる鳥人種が声高らかに叫ぶ
「ラッシャッセーィ!」
「トリプルベヒーモスバーガーのセットと、姫さんは?」
「適当で構わんよ」
「同じやつもう1個な、飲みもんは両方、炭酸水で。ポテトはLLLな」
「アザッース!3000円なりまー!1階か2階の席ついて待っててくださー」
2階の、外の景色が見える窓際に座る
「あの店員はいつもああなのか?」
「ん?最近、越してきたばっかりで俺のこと知らないらしい。有難いよな、ああいうの」
「あのテンションであの接客についてなんじゃが…まぁよい」
「飯来るまで、どこまで話せる?」
「ふむ、結論から先にいうか。妾が眠る六年前の大戦に、見て、聞いて、殺しあった黒狼は、お前さんとはまるで違う存在だな」
「…そうか、ソイツは結構」
「力になれなくてすまなんだ、見た目は細部にわたり完全コピーとも言えるレベルだが…銃の技術、魔力の色、魔力の波、魂の大きさが完全に別人でな」
「ティアのババアに弄られた可能性はあるか?」
「それか、お主が完全なる別人であり、過度な妄想による”破壊英雄の黒狼”への憧れか。ちなみに破壊英雄と殺しあった時に見た魂の色は、どす黒かったぞ」
「日頃から妄想癖あるみたいな言い方やめろ。っと、来たみたいだな」
「トリプルベヒーモスバーガーセット 、二つになりまー!出来たてっすから、やけど気をつけてくださー」
「助かるわ、有難うな。えーとっ名前なんて言うんだ?」
「ゼロっす!いやー!”破壊英雄”様と”破壊姫”さんに名前を覚えてもらうって嬉しいっすね!」
軽い衝撃波がゼロを襲う
「ぁがっ!」
「妾にも様をつけんか」
「いや、そこかよ。”破壊姫”についてかと思ったじゃねぇか」
「6年前のことは、調べれば片鱗が出てくるじゃろ?興味本位に調べて妾を知る者は少なくはない」
「多かったらみんな外、出ねぇわな」
ゼロを立たせ、持ち場に戻るように退散させる
「ちなみに妾の6年前は今の呼ばれ方だと『サブ』か?その連中と共に世界破壊活動しよったぞ」
「そんな奴が今じゃ、俺に負けて隷属してっからな」
「誰が、誰に、負けたじゃと?」
「頭にウジ湧いて記憶全部失ったかコラ?俺が勝ったよな?」
「クソデブ神父の横槍や、魔力枯渇しておったから引いたんじゃ。断じて負けてはおらぬ」
互いに睨み合う
「不毛だ、喰うぞ」
「分かった」
「「いただきます」」
1000キロカロリーほどの昼飯を俺と姫さんは無言で平らげる
「俺はいつもこれだが、普通平らげれんぞ」
「適当でいいと言ったのだ、これ位は他愛もない」
「魔力満たすには…食欲と、相手からもらう性欲、睡眠欲だったな」
「そうだ。あとは外部に流れる魔力や、人から直接吸い取ったりな」
「技術はいるだろ?それムズイって聞いたぞ」
「妾には造作もない」
「灰の巨躯について知っておったが、”金龍師”からか?」
「そうだ、必要になるだろうってことでな。魔力が跳ね上がって混合魔法撃てるのは教えてもらった記憶にはないから、意外だったが」
「ん?まて、妾が起きてた頃はそんなこと無かったぞ……”進化”か」
「人為的にな、敵側も技術が上がってるということだ」
「ポーンでそれなら、ナイトやビショップあたりは格段に強くなってるだろうな」
「有り得る、ゲェェェップ!」
「やめぃ、汚い。ゲプッ」
「赤ちゃんみたいに可愛く出しやがって、背中さすってやろうか?」
「結構じゃ、話を戻すとして」
「いや、もういい。街案内するわ」
「6年前の大戦のことはいいのか?敵のことは大体覚えとるぞ」
「”破壊英雄”のことだけ知りたかったからな、”破壊姫”の持論お墨付きなら尚更だ」
「百聞は一見に如かず、か」
「古い言葉いうねぇ、論ずるより証拠ってな。まぁ昔話するなら”城”でやってくれ」
「悪いが戻る気は無いぞ、牢屋よりお主の部屋の方が居心地がいい」
「そう問屋が下ろすと思ったか!」
そう叫ぶ人を見るとそこには以前依頼してきた黒スーツ、頭はスキンヘッド、サングラスを装備した男を筆頭に何人もの警戒偵察部隊がいた
「確保ォ!!」
「「「おおおおおお!!」」」
「ちょ、待たぬか!黒狼の!助けれ!!」
「やだよ。あ、店壊すの禁止な。俺のお気に入りだから」
「裏切り者ぉぉ!」
「残りの案内は後日なー!」
魔封印と脱力魔法を施した手錠をかけられ力無くだれる”破壊姫”を見送り、前の依頼してきたおっさんに面を合わせる
今度は水色の水玉ネクタイだ
「久しいな、”タバコ屋”」
「仕事に関しては済まなかった”黒の捕縛師”、トラブルが重なったのと派手にやりたかった為の教会崩壊だ。改めて悪かった」
「何度も謝るな、謝罪の重みが軽くなるぞ」
「そう言ってもらえると助かる、弾薬や爆薬の請求書はこっちに回してくれ」
「そうやって借金を増やすのか?タバコ屋じゃ完済まで命がないぞ」
「ひ、一山当てりゃなんとかなる!心配すんな」
「全く…別件だが『サブ』の連中がまた動き出した。クイーンクラスか出てくると情報が流れた」
「…罠だ、前のポーンの件もある」
「そう言いたいところだが、奴らの次に襲撃する場所が”城”となってる。”タバコ屋”、頼めるか?」
「やだね、報酬と見合わない仕事はやんない」
「というより、クイーンの五姉妹とやりたくないだけだろ?だが対処できるのはお前くらいだ」
「……チッ!報酬見てねぇが、上乗せ要求するぞ!タバコ屋に来い。ティアのババアと情報すり合わせだ」
「助かる、そういう所が”破壊英雄”との差だな」
「そいつのことは知らん!過去にすがってねぇで、今見えるもんぶっ壊す!それだけだ」
「ツンデレめ、ではまた後でな」
「ツンデレ言うなこら!後で覚えてろ!」
雨雲漂う空の下、帰路に向かった
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