第6話 あやしいおっさん
私、山本洋一は今は山本洋一ではない。
上下黒のスーツに、黒のコート。
そして、ロングストレートのウイッグがあったので、それを被り後ろ髪を一つで結んでみた。
ついで、メガネも掛けてみた。
これで、普段は普通のサラリーマンの山本洋一とは誰も思わないだろう。
ちなみに、左手には黒アタッシュケースを持っており、中には体操服が入っている。
ちなみにスペックはこんな感じ
*****
K県立高等学校 女子 体操服
能力
筋力:+3000
体力:+3000
耐性:+1000
敏捷:+2500
魔力:
魔耐:
技能:縮地、跳躍
*****
うん、流石は体操服。
格闘仕様というか何と言うか。
ちなみに、上は普通のTシャツで、下はハーフパンツだ。
体操服と言えば、ブルマを思い浮かべる人も居るかもしれないが、私はちょうどブルマとハーフパンツが切替時期だった。
どっちもいける口だが、どうもブルマは古臭いイメージが付きまとってしまう。
ハーフパンツだったり、スパッツだったりの方が何かこう好きだ。
ちなみに、そういう思いもあったせいか、ブルマを鑑定すると軒並み能力値が低かった。
どうも、私の趣味趣向に影響されやすい能力値らしい。
それと、体操服を持ってきたのも、さっと着替えやすい・・・気がしたからだ。
制服一式だと着替えるのに時間が掛かりそうだし、こういった簡単なやつだったら「ちょっと着てみない?」的な感じで上手く行かないかという私の謎思考だったりする。
断じて若い子の体操服姿を見たかった、薄い布だけど、こう運動に適した素晴らしい服から見える健康的な手足を拝みたかったわけではない。
ちょっとスケブラしたり、胸の膨らみが分りやすいからなど邪な気持ちがあったわけでもない。
と、色々と自分の中で思考しながらも、目的の場所に到着した。
ここは、家出少女達が良く居たり、神待ちしているという繁華街の近くにある公園だ。
見てみると確かに不良少女っぽい感じの子が多いなぁ・・・。
そして、妙に周りから視線を感じる。
ちょっと変装が奇抜すぎただろうか。
歩きながら様子を見ていると、高校生くらいだろうか・・・けど、髪はかなり金に近い染まり具合だけど、ギャルっぽい若い子が声を掛けてきた。
「おじさーん、何そのかっこ!すごく怪しいんですけどー」
「え、え。 あ、あやしくないよ。 うん、それよりも何か用かな?」
「いや、べつに用があるってわけじゃないけど。今夜泊まるとこ探してんだよね」
「ほほう、じゃあ、条件が・・・」
とここで私の頭の中で警笛が鳴る。
いきなり声を掛けてくるこのギャルは・・・びじんきょ・・・いや、美人局ではなかろうかと。
こんなフレンドリーに声をいきなり掛けてくる段階で怪しい。
いや、ギャルの生態事態がこんな感じなのかもしれない。
ここは慎重にいかなくては。
そうでなければ、路地裏に連れて行かれ取り巻きの金髪の兄ちゃん達にボコられ、身ぐるみはがされて、正体までバレてしまい後々色々と強請られる可能性だってあるかもしれない。
色々と想像してしまうが、慎重に慎重に。深呼吸深呼吸。
「あー、なんだ。泊まるとこ探してるのかい?」
「そーそー、ちょっとベッド貸してとか言わないからさー、朝まででいいからソファとかでも貸してくれれば助かるかなーって」
「そうかぁー、じゃあ条件があるんだけど」
「あー、もしかしてアレかなぁー、ごめーん私そういうのやってないんだわー」
な、なんだと!?
このギャル見た目と違い意外と身持ちが固いのか・・・意外だ。
「でも、おじさん。そんな目的で動いてると捕まるよー。ここ意外とケーサツとか囮?っていうのかなやってるみたいだしー」
まじか、それは知らなかった。
危ういところだった。
「どうしても、そういう相手探してるんだったら、あっちのトイレやブランコの方に行けば?何かワケアリの子っぽいの居たよー」
「ほほう、じゃあ、そっちに行って見るか」
「はい、おじさん!」
何か手を出してくるギャル。
「じょーほーりょー これだけでいいよ」
3本指を立ててる。
余計な出費なような気もするが、まあ情報料だと思えるなら安いかもしれない。
ここは大人として、スッと3千円を渡す。
「まいどー。あたし、こういった情報は詳しいからーいつでも聞いてきてね~」
ヒラヒラとギャルは手を振って見送ってくれた。
トイレやブランコの方に行くと、一人だけ若い感じの女の子が居た。
というか、かなり若くないか?
その女の子はスカートに、パーカーを着て、頭にもパーカーのフードを被っているものの、長い黒髪が目立ちうつむき加減にブランコに座っていた。
う~ん、これは確かに雰囲気的にも何かワケアリ感がプンプンである。
とりあえず・・・声を掛けてみるか。
「こんな時間に、こんな場所で一人で何をしているのかい?」
すると、その女の子が顔を上げて見てくる。
無言でジッと見つめてくる。
綺麗な黒髪に、薄い唇、やや大きめな目だけども一重でクールさも持ち合わせているような清潔感のある少女だ。
どうみても中学生くらいか。
セーラ服が似合いそうだ。
持ってきている体操服も似合いそうだ。
是非、着て頂きたい。
だが、1点だけ納得のいかないところがある。
そして、私は気持ち的にも遠慮なくその点が気になり声を出してしまった。
「その右頬・・・、青くなっているのは殴られたのかい?」
「うん」
「誰に?」
「ママの彼氏」
「・・・」
少女はかなりワケアリだった。
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