第36話 手段


「だが、あの水か黒い水を出す能力者・・・どうやって対応する?」


後藤さんが言った。

確かに、単純にあれだけの能力のような感じだったけど、かなり連発出来るようだった。


特に黒い水の方はやっかいだ。


ヘドロのような物が混ざっており、大量に出したら後藤さんでも動けなくなってしまった。


「私のこの白衣の能力の浄化で何とかなるかもしれないけど・・・魔力量が果たして持つか・・・」


「そうかぁ・・・」


「わたしの電撃も濡れていると使えないのが分ったしねぇ・・・」


意外と手詰りか。

いや、空間収納に傘が入っているからそれで・・・いや、あの大量の水を何発も受けて傘の骨が持つか分らない。


「ねぇ、よういっちゃん。他に何か凄い制服とか無いの?」


さやかちゃんが言ってきた。

他の制服か・・・何かあったかかな?

そこで立ち止まり考えてみる。


「おっ?何かありそうか?」


「ええ、魔法はぶっつけ本番になるけどこれなら」


そして、空間収納から呼び出す。

この制服なら!


呼び出したのはジャンバースカートとワンピースが一緒になったような形で大きなリボンが付いた夏女子制服だった。

スペックは・・・。


******


C県農業高等学校 女子夏服


能力

筋力:+2000

体力:+2500

耐性:+6000

敏捷:+1500

魔力:+8000

魔耐:+6000

技能:土魔法、木魔法(特殊)、魔力使用量半減


******


物凄い高スペックだったりする。

それも何故かと言うと、私の推測だがこの制服は「C県学園付属高校 女子夏服(4話参照)」という、かなりレアな制服とデザインがまったく一緒だったりするところだ。

違いは服の材質と色合いが違うだけ。


かたや私立、かたや公立なのに同じデザインの物を使っているという不思議。

ちなみに日本中を探しても、この形はこの2校しか無いという事もあり私の中でもプレミア感があってこのスペックなのかもしれない。


後は農業高校と言うだけあって、土魔法が付いている。

木魔法は正直分らない・・・何か某忍者マンガの木遁忍術的な物が使えるような気がするのだが。


そして、C県学園付属と同じように魔力使用量半減が付いている。

これはかなり心強い。


これならオーバーキル出来るレベルだと思う。


そんなわけで、制服をさやかちゃんに渡す。

ふっふっふ・・・これも今のさやかちゃんには滅茶苦茶似合う事だろう・・・眼福眼福。


「さやかちゃん!これに着替えて!」


「了解っ!ってあれ?これ学園付属の制服?いや何か色が違うような・・・」


「そう!これはC県農業高校の夏制服で、デザインは一緒だけど違う制服なんだ。ほら服の素材から~」


「いやそこまで聞いてないし!」


「お、おう、失礼」


しまった。

ついつい語りだしてしまった。

また引かれてしまったかもしれない。


「じゃあ、ちょっと着替えてくるね!」


そして、さやかちゃんは制服を持って着替えに行った。


「おし!よういっちゃん。俺は先に行ってくるから追いかけてきてくれ!」


「了解」


しばし、このまま待つ事にした。

それにしても、今来ている白衣はマジでピチピチのキツキツだ。

ボタンが無理に動くと弾け飛びそうである。


ああ、そうだ。

これも装備状態を記憶して収納すればいいのか。


なので、着ている今の自分をイメージしつつ収納!

ボワッと光り白衣は消えた。


逆に装着だ。 変身!


空間収納より展開し、瞬時に着る。


その瞬間、ギューっと体が締め付けられる感覚。

やっぱ、これレディースサイズだけあって小さすぎるわっ!!


しかし、これで私は自分の中の禁忌を一つ破ってしまった。

女性物の服は着ないという禁忌を。


まあ、白衣だからセーフとも思っている。

これで、セーラ服やメイド服まで着始めたらアウトだ。

でも、今回ので女性物を自分で着ても能力が発動するのは分った。


これってやっぱ冷静に考えると十分チート能力だよなぁ・・・。


自分じゃ制限を設けている限りは使えないけども。


それでも、迷彩服と白衣だけでも十分脅威と言えば脅威だ。

だけど、ここ何回かあった能力者のように暴走する事は私は無い・・・と信じたい。


そう色々と考えていると。



「よういっちゃんお待たせ・・・どう、かな?」



うん、最高です。

しかも、その顔で「どうかな?」とテレ気味に言うなんて狙っているのか?のか?

ああっ、もう写真を撮りたい。

凄く撮りたいです!!


「とりあえず、1枚いいですか?」


「いいわけあるかぁ!!」


とナイスつっこみを受ける。


「とりあえず、よういっちゃん・・・着ていた制服どうしよう?」


濡れた脱ぎたての制服を手に持っていた。

ええ、下さい。

帰ってからしゃぶりますから。


「ああ、空間収納に入れるよ」


「おお、そうだね。じゃあ、帰るときに返してね!」


ふはは、誰が返すか。っていか、これは私のだぞ!

と思いつつも、素直に空間収納に入れる。


「よし!じゃあ、後藤さん先に行っているし追いかけようか」


「だねっ!」


そして、二人で走って・・・ってか、さやかちゃん速い!!マジで速すぎでしょ。

あー、制服能力のせいか。


みるみる内に引き離されていく。

ヤバイ、これは置いていかれるわ。


と思ったが、ちょっと先の方で既に後藤さんが能力者と対峙していた。

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