第35話 駅前での攻防戦


「間違いない!能力者だっ!!」


叫ぶ後藤さん。

だが・・・どこにいるんだ?


すると水を被りまくる女性の間に悠々と歩く男性が居た。

あれは・・・怪しい。


「後藤さん!あいつ怪しくないですか?」


するとその男性と目があった。

有った瞬間。


チッと舌打ちが聞こえた。


「よくも水浸しにしやがってーーーー!!!」


その前にさやかちゃんがキレた。

立ち上がり、濡れまくりの制服のまま手を前に突き出した。


「くらえっ!!」


バチッ!!


「あばばばばばばばばばばばば!!!!」


男では無く、さやかちゃんが喰らっていた。

あれか!水でずぶ濡れになっていたから自分が感電したのか!?


「さやかちゃん!! 大丈夫かっ!!」


「さやかっ!!」


「し・・・しびれるぅ・・・」


倒れこみピクピクしている。

とりあえず、さやかちゃんを抱きかかえる。

やわらかっ・・・バチッ!

おおぅ、何か静電気みたいなのをまだ帯びてる。


「よくもさやかをーー!!」


いや、自爆でしょこれ。

と思うものの、男に突進する後藤さん。


しかし、突如後藤さんの頭上に黒い塊が現れる。


「後藤さんっ!!! 危ないっ!! 上っ!!」


「え?」


と立ち止まり上を見上げる後藤さん。

その瞬間。


バシャン。


黒い泥水のような物を顔面にまともに受けてしまった。

そのまま、立ち止まる後藤さん。


そして、ゆっくりと顔をぬぐい・・・。


「くそがーー!目に入ったぞ!!なんじゃこれ!!」


キレた後藤さん。

更に突進する。


だが、次々と頭上に黒い塊が現れて前に進めない。


「なんだこれはーーー!!」


そうこうしているうちに、地べたがぬかるみ、その上に土砂のような物を溜まって来て動けなくなってきた。


「くそーーーー!!! この野郎!!」



だが、後藤さんがそうしているうちに男はどこかに消えていた。


マズイ皆が戦闘不能になってしまった。


「ア・・・ニ・・・キ・・・」


何かまだ痺れているのか良く喋れていないさやかちゃん。

後藤さんも動けない。


これはどうしたものか・・・


ここは、まだ使った事が無いがあれを試してみるか・・・

正直、ちょっと自信は無いが。


空間収納かもーん!


そして、取り出す1着の服。


******


白衣 レディースシングルコート

D大学病院 勤務医使用


能力

筋力:+500

体力:+500

耐性:+2000

敏捷:+200

魔力:+3000

魔耐:+3000

技能:治療、浄化


******


女性用だが唯一、私が着れるかもしれないと思った服。

これを着て技能が使えれば・・・。


早速着てみる。


うん、正直かなりキツイ。

ピッチピチだ。


後は・・・さやかちゃんに治療を!


手を当てて念じてみる。

直れーー!痺れよ取れろーーー!!


その瞬間、さやかちゃんの体全体がボワッと薄く青く光った。


「あ・・・あれ? これ、よういっちゃんがしてくれたの?」


「うん、ぶっつけ本番だったから、上手く行くか分らなかったけど上手くって良かった」


「よういっちゃん・・・白衣ピチピチで似合ってない。

 あといつまで私を抱いてるの?まあ、助けてくれたごほうびで別にいいけど」


「あっ!!ごめん!!」


「ふふっ、いいよー」


とにこやかに笑う清楚系さやかちゃん。

マジで惚れてしまいそうになる。

けど、JK=犯罪 ヤバイ。


「おーい! 何かイチャイチャしてないで俺も助けてくれーーー!!」


後藤さんの事を忘れていた。

急いで二人で駆けつける。


「うわぁ・・・アニキ汚い」


「なんですかこれ。ヘドロ?」


「何か臭くはないんだがべとべとだ。そして、股下までヘドロで埋まって動けない・・・」


これはヒドイな。

白衣の浄化能力・・・これが使えないか?


「後藤さんこの白衣の能力で何とかなるかもです」


「おおっ! 凄いな! なんかさやかも回復したみたいだし、でもピッチピチだな!似合ってないぞ!!ははは!!」


「いや、それは自分でも分っているんで!」


そして、治療の時と同じく念じてみる。

このヘドロを浄化!綺麗に!!


ボワッと同じく光るが今度は薄い緑色っぽい感じに包まれる。


すると、後藤さんを含む周りが元の綺麗な状態に戻った。

おおっ!これは凄い!

使えるなー。


「おお!凄いぞ!よういっちゃん!」


「よういっちゃーん!かっこいい!!」


さて、とりあえず何とかなったな。

しかし、目立ってしまったようでもある。

さっさと場所を移動するか。


「あっちに行ったみたいなんで追いかけましょうか」


「ああ、そうだな」


「うん」


そして、3人で急いで能力者を追いかけた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る