第33話 再会


そのまましばらくの間、路地裏で待っていた。

眼鏡フェチの能力者は観念したのか、ずっと一人でブツブツ何か言っていた。

なんか怖い。


しばらくすると路地裏から見える道路にパトカーが止まった。

そして、一人降りてくる男性。


あれは・・・


「よお!またせたな」


「おおっ! ゴールドさん!」


軽い挨拶を交わす、後藤さんとミスターゴールド。

それにしても、このミスターゴールドことゴールドさん。

私は前に会っている。


そう、山の中で。


「おっ、あの時の兄ちゃんじゃないか。やっぱ、近いうちに会うと思ってたが、やっぱ会ったか!」


「あれ?よういっちゃん知ってたの?」


「いやぁ、以前にうちの山でトラブルがあった際に・・・」


「この兄ちゃんのおかげで、大事になる前に解決したからなぁー。あの時は助かったよ!」


そうナイスミドルなゴールドさんは笑顔で語った。

しかし、やはりこの人は能力者なのか?


「あー、よういっちゃん。色々と気になるかと思うが簡単に言うと、この人も能力者だ。そして、警視庁の刑事だ。更に言うと能力関連の犯罪を主に担当しているらしい」


「そういう事だ。とりあえず、今回は大した話じゃないんだが、いちお盗まれた物もある見たいだし、事情だけ聞いて所轄にあとは任せる程度だけどな」


「そうなんですねー、じゃあ、能力回収カードどうしましょう?」


「ああ、それはすまないが俺に渡してくれ。ある程度確認したらカード使うから。」


「あー、ゴールドさん。回収期限今日までなんですよ」


「えっ?そうなの? う~ん、じゃあ、何とか今日中に終わらせるよ」


そう言うので、回収カードを取り出してゴールドさんに渡した。


「そういえば、今日はあの五月蝿い妹さんは居ないのか?」


「はぁ!?五月蝿くないし!」


「え?キミに言ったんじゃないんだけど? って、後藤誰?もう一人妹いたのか?」


「いや、こいつさやかなんですよ」


「ええええええ!??」


ナイスミドルなおじさんが絶叫してビックリしていた。

まあ、知らなければ普通にビックリするだろうなぁ・・・。


とりあえず、ゴールドさんに眼鏡フェチ能力者を渡して無事に一旦任務完了となった。

そういえば、気になった事が。


「なんでゴールドさんなんですか?」


「ああ、あの人は「金子さん」って言うんだよ。何か部署に赤木だの青田だの色付きの苗字が多くて、コードネーム見たいに呼び合っているんだってさ。

ああ、けど、能力的にもゴールドなんだよなぁ・・・。」


「能力的にも?」


「まあ、そのうち分るさ・・・」


何故か遠い目をする。

何なのだろう。


「さて、とりあえず任務完了したし、打ち上げでもするかっ!」


「もちろん兄貴のおごりでねっ!」


「ゴチになります!!」


「おいおい!! って、ま、いいか。」


そして、3人でいつもの喫茶店へと向かった。

いつもの喫茶店に到着する。


並びはいつものように私の正面に後藤さん、右にさやかちゃんだ。


それにしても、今日は正面のさやかちゃんに目がどうしても行ってしまう。

何とも理想的な制服女子だ。

ああ、家に飾りたい。

ずっと眺めていたい。

触りたい。

でも、触れたら犯罪。


「なんかー、よういっちゃんがエロい目で見てくるーー」


「なにぃ!? ・・・って、まあ、よういっちゃんの制服趣味から考えて仕方ないかもしれないが、ほどほどにしておいてくれよ」


「ちょちょちょちょ!! 待ってくださいっ!そんな目で見てないですからっ!」


いや、めちゃくちゃ見ていましたが、やっぱバレバレだったか・・・。

これは失態。

けど、趣味趣向が既にバレているせいか何だろ・・・今までと違って何かこう心地よい。


「まあ、もう制服好きーなのは分っているし、別に私も見られるだけなら気にしないしー。けど、今日の格好はもう勘弁だけど」


「ははは、俺はさやかはこっちの方が、良い妹らしくて好きだけどなぁー」


「ぜったいヤダーー!!」


そんな何気ない掛け合いが心地よく感じる。

出合ってまだそんなに立っていないのに、こう自分の中身をさらけ出した相手が居ることが、こんなにも気が楽になるとは思わなかった。


「どうしたの?よういっちゃん?」


「なんか大人しいな?」


「えっ? いや、まあ、何ていうかこういうのいいなと思って」


「こういうのって?」


「あはは、ごめん何でもないや」


「変なよういっちゃん」


何か急に生真面目に話し出すのも変かと思って遠慮してしまった。

まあ、いいさ。

何か、これからもこの人達とは長い付き合いになりそうな気がするし。



そして、喫茶店で軽い食事を取り終わり、外に出た。


「それじゃあ、よういっちゃんまたな!」


「またねー」


「はい、また何かあれば連絡下さい」


「おう!」


「あっ、制服は洗濯してから返すねー」


「そのままでもいいですよ」


「変態!!」


「いや、普通の意味だよ・・・」


そして、その場で解散し私は駅へと歩いて行った。

この時間なら思ったより早く帰れそうだ。

明日も仕事だし、帰って洗濯して、掃除してっと・・・と考えながら歩いていると。


キャアァァァァァ!!


さやかちゃんの声!?


「さやかっ!!」


後藤さんの声も聞こえた。


振り向き、即座に駆けつけた。

すると、そこにはずぶ濡れのさやかちゃんが居た。


えっ?何どういう事?


天気は晴れ。

快晴だ。


上から何か落ちて来ようにも、ここは駅前の広場。

2階とかは無い。


すると・・・


バシャン!!


キャアアアア!!


バシャン!!


「ちょ!! 何!? これ!?」



周りで何名かずぶ濡れになっている女性がいた。


周りを見ると。


突然、上空からバケツの水をひっくり返したような水が現れて女性を直撃していた。

何だこれ!?


とりあえず、先にさやかちゃんに駆けつけた。


「大丈夫!?」


「うん、大丈夫・・・くそー何これびっしょびしょ!!」


立ち上がり、制服のシャツを前に引っ張ったり、スカートを絞ったりしている。


うん、エロい。

そして、後ろから見えるスケブラ。


肌にまとわり付く制服・・・。


何と言うエロス!!!


だが一体これは何なんだろう?


というかこれも・・・また能力者の仕業か。。。

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