第14話 警備
「それでね。隣の鈴木さんがー」
と母の一方的な喋りを延々と聞かされる夕食だった。
普段一人で住んでいるから寂しいのだろうかと思ったが考えてみるとうちの母は単純におしゃべりだった。
というか、相手の話を聞かずに延々と話す。
母方の家系は特に酷い。
昔は正月などで母方の親戚で集まると、全員が違う話を一斉していて室内が様々な会話でサラウンド状態で響き合い、正直私なんかはその場にいるだけで頭が痛くなったものだ。
しかも、その全員が一斉に違う話をしているはずなのに何故かお互いに会話が成立するという謎空間。
おばはん達の能力凄いと思った。
そんな事を考えつつ夕食を食べていると母が言い出した。
「そう言えば、最近うちの山に山菜泥棒だったり、勝手に入る人がいるのよねー」
「ふ~ん、まあ、良く聞くような話だなぁ」
「でも、それが夜とか明け方に来るのよ困っててねぇ・・・」
「ああ、じゃあ後で俺が様子見てくるよ」
「それ助かるわ~、じゃあ、よろしくね」
と母から、うちの山の警備を言い渡された。
昔はそれこそ、サバゲ装備で見回りとかしていたものだ。
害鳥、害獣駆除もやっていた。
勿論、捕まえると法令上やばいので追っ払う程度だったけども。
山と言っても、みかん山で整備はしているので道は綺麗だし外灯もある。
自分にとっては庭みたいな物だった。
そして、夕食後。
山へ向かう
しかも手ぶらで・・・そう今の私には「空間収納」の能力を応用した『変身』があるからだ。
まあ、実際の能力の検証も兼ねてではあるが・・・。
そして、山の方へ歩きながら考える。
そういえば、何で迷彩服で火魔法が使えたのか。
これは翌々考えてみれば、若いころサバゲをやっていた頃にタバコをくわえながら銃を良く構えていた。
休憩中もしかり。
それが何かカッコイイと思っていた。
勿論、ライターはジッポライターでカチャン!シュボッ!と使いまくっていた。
それがイけてる兵士だと思ってた。
多分、それが影響して火魔法で反映されたんじゃなかろうかと。
思えば制服の各能力も私の思い込み何かが反映されていると思う。
語学能力が高いイメージの学校だと言語理解の能力が付いていたり、看護科とかある学校だと回復魔法や医療系の能力が付いていた。
学力が高い進学校やレアな制服などが軒並み能力が高かった。
そういった学校は何故か魔法系が特化してるのは不思議だが・・・。
例えば、今回の迷彩服にしても、海兵隊系とかだと水魔法が付くんだろうか。
空挺部隊とかだと、飛行魔法とか?
今更ながら、家に帰ってからまたオークションやショップ巡りをしないとという気になってしまった。
う~ん、色々とお金が掛かりそうだ。
だが、心配なのは学生服でもあったけどレプリカは能力が激減する。
だから買うならば本物を買わないといけないのか・・・。
そうして、色々と考え事をしながら歩いていると。
うちの山の中腹まで到着した。
周りはやや薄暗くなってはいるが、まだまだ辺りは十分見える。
まあ、薄暗い状態だけあってか、山の中はちょっと不気味ではある。
でも、見た感じ異常は無いようだ。
そう思い歩いていると、1台の車が停まっていた。
不審に思い近づいてみると、中には誰も居ない。
「う~ん、人んちの山に勝手に入っているやつがいるな・・・」
とりあえず、辺りを捜索してみるかっていうか、こんな山で何をやっているんだ!?
辺りを見るものの、この辺には居ないようだ。
もうちょっと上に行って見るか。
山の上の方に行くと、また1台車が停まっていた。
「ふむ・・・、2組も何してるんだ?」
上の方は正直何も無い。
ハゲ山だったりする。
何も盗む物も盗る物も無いと思うのだけど。
山の頂上の方に向かうと・・・
何か人の上に人が乗っかっているような・・・
あー、屋外でプレイ中でしたか。
う~ん、これは邪魔しちゃ悪いと思いつつも、人んちの山でこういう事して貰いたく無いのだけどなぁ・・・
後日、大地に残る謎の物を包んだテッシュが散乱しているのか・・・嫌だなぁ。
ここは一丁おじさんが注意してみるか。
普通に「こらー!ここは私有地だぞー!」かな?
それとも「ちゃんと家かホテルでやれーー!」か。
もしくは「私もまぜろーー!」か・・・。
うん、まあ普通に1番だな。
と声を掛けようとしたところ、下に組み伏せられている多分女性かな?から声が
「いやーーー!やめて!!助けっ」
「はっ!誰も来るわけないやろ!!」
・・・これは非常事態だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます