第42話 屋内戦
「ぶほぉ!!な、なんなんだお前らはっ!」
能力者のSが叫ぶ。
先頭に立つゴールドさんが銃を向けて言い放つ。
「この前の借りを返しにきたぞ。あとうちのもんを返してもらおうか」
それを聞いてSは手をポンと叩き。
そして、表情をニタリとなんともいやらしい表情で言った。
「あー、あの時の警察か、ぶほほっ、あの若い兄ちゃん達はたっぷりと楽しませて貰ったよ。楽しかったなぁー今は叔父貴が楽しんでいるところだぜぇ・・・」
「くそっ、クズ共が喰らえ」
そこで、ゴールドさんが手をかざした例の能力の発動だろう。
こんな密室で脱糞させられるとか嫌だなぁ・・・マスク持って来れば良かった。
能力が発動したかのSはお腹を押さえた。
「ぐっぐぐぅー・・・はぁ・・・」
「・・・おい、お前どういうことだ!?」
ゴールドさんが何故か不思議そうに問いかける。
何かあったのか?
「ぐっぐぐふぅ~、ははは、やはり正解だったなぁー」
「ちっ・・・」
「どういう事ですか!?ゴールドさん・・・」
「あいつ・・・腹ん中空っぽにしてやがるな」
「ぐははは! そう!前回お前が使った変な能力・・・叔父貴が腹を下させる能力だろうと推測していたんだ。だから、マメに浣腸をしていたんだよ!正解だったな!やっぱ叔父貴は天才だ!」
「えーっと・・・ゴールドさん・・・」
「ああ、これで私の能力は無力化されたな。くそっ、浣腸で対策されていたとはな。」
うわぁ・・・使えねぇ。
初見だと脅威だが対応されるとこうなるのか。
いや、けどこれ予測して、浣腸してるってどういう事なの!?
まあ、それはともかく。
後は通常戦力で行くしかないか。
それでも、制服能力で十分に強化されている。
だから、いける筈だ。
そう思った瞬間。
ドバァン!!
「何っ!?」
能力者のSが銃を構えて発砲していた。
「さあ、今度はこっちの反撃だよ。ぐふふ」
持っている銃はトカレフか・・・。
でも、明らかにマグナムクラスかそれ以上の威力が出ているぞ。
あれが攻撃能力強化か・・・。
あれは流石に私の能力でも防げない。
「ゴールドさん!」
「ああ、あれがヤツのSの攻撃力強化だ」
「ぐふふ、しねぇ!!」
その瞬間、強烈な風が吹き荒れる。
室内の物も飛びまくる。
「ぐはぁ!?な、なんなんだ!?」
「楓さんかっ!」
楓さんが風魔法を発動したのだろう。
後ろを見ると手をかざしている。
いきなりの魔法で私もビックリしたけどナイスだ。
「ちくしょー」
ドバァン! ドバァン!
銃を連射しながら下がって行く。
しかし、風魔法が防御になっているのか銃弾は当たらない。
だがこれは、合流されてマズイ自体になるので追いかけた方がいいか!?
「ゴールドさん!」
「待て、拉致してきている女の子の保護を優先する」
すると、今の風魔法と銃声のせいで床に縮こまり怯えている少女が居た。
風魔法で飛び散っている部屋の家具やらは少女には当たっていない。
楓さんが何気にコントロールしているのか・・・。
おっとり美人に見えたけど意外と器用なようだ。
「山本さん、とりあえず防御のイメージで魔法使ってみたんですが・・・何とかなったみたいですね」
「ええ、完璧です。こんな感じでお願いします」
「ふふふ、分りました」
にこやかな笑顔で返す楓さん。
こうしているとマジで美人で優しいお姉さんなんだよなぁ・・・。
でも、人前で普通にプレイ中である。
残念美人か・・・。
「キミ大丈夫か?」
「えっ・・・私?何ここは?確か変な大きなおじさんに声を掛けられて・・・」
少女に声を掛けるゴールドさん。
少女は能力のせいか記憶が混濁しているようだ。
「とりえあず、家の外に出て待っててくれるかな?ちゃんと家には帰れるようにするから」
「は、はい」
「楓、すまないが外まで付き添ってくれ」
「でも、金子さん。あなたのサポートは・・・」
「大丈夫そうだったら戻って来てくれればいい。後は山本くんと一緒に頑張るさ」
「はい・・・ブルッ」
うん、何か警官の格好でイケメンナイスミドルとCAの格好の美女で絵になるんだけど。
でも、明らかにさり気なくスカトロプレイ中なんだよなぁ・・・。
残念カップルすぎる。
「じゃあ、山本くん行こうか」
「ええ」
「あと、俺のニューナンブも威力強化されているけど心持たない。君の背中に背負っているショットガンを貸してくれないか?」
「ああ、いいですよ」
「しかし、屋内戦か・・・後藤をやっぱ連れてくれば良かったな」
「後藤さんをですか?」
「ああ、あいつはこの手をプロフェッショナルなんだが・・・知らなかったのか?」
意外そうな顔で言われる。
そう言えば、未だに後藤さんの仕事を知らない。
「いや、何も知らないです・・・」
「あー、まあ、立場上言えないのかな。まあ、今度聞いてみるといい」
「はぁ」
「さあ、じゃあ、俺が前衛。山本くんは後衛を頼む」
「Sは直接狙っていい。最悪殺しても構わない」
そう言われ、思わず唾を飲み込みゴクリとなってしまう。
「まあ、そうは言ってもそうそう人なんて殺せないわな。だが、ああ言う狂っている連中は手を抜くとこっちがあっさり死んでしまう。
だから、遠慮はしないで欲しい。
ちょっとの隙で巻き込まれて俺も死にたくないしな」
「わ、分りました」
そう言われ、確かに自分の迷いでゴールドさんに何かあったら。
自分もそれで死んでしまったらと考えてしまう。
でも、自分が本当に人を殺せるのだろうか。
いや、これまでも危機はあった。
人形使いの時も。
でも、あの時も自分の中で現実感が薄れていたのかもしれない。
それは今だったそう。
自分がまるでゲームや物語の主人公のような気分だったりする。
今までは、ただの普通のサラリーマン。
まあ、趣味趣向に偏りはあったが、ただの一般人であった。
気が付けばいつの間にやら、こんな事になっている。
非日常だ。
今、こうやって考えているものの気持ちの整理は付かないだろう。
だが、まずは目の前の問題を片付けていくしかない。
そう思い込み部屋の中を進んだ。
前を進むゴールドさんが扉の横に立つ。
その後ろに私も付く。
扉をゆっくりと開けながら、銃口を突っ込み扉の開閉に合わせて中を警戒する。
「ここには居ないようだな」
「ええ」
「次に行くぞ」
「はい」
部屋の中に入り、次の扉を開ける。
同じく慎重にショットガンの銃口を入れ、警戒しながら開ける・・・
バンッ!!
いきなり発砲するゴールドさん。
「くそっ! 避けられた!」
ドバンッ!! ドバンッ!!
反撃が来る。
そして、能力で強化された銃はかなりの高威力。
壁をやすやすと貫通する。
「くそっ、壁の意味がねぇ。山本くん!扉を破壊するから、その後援護を頼む。
バンッ!バンッ!
とショットガンの銃声がし、蝶番を打ち抜く。
そして、扉に蹴りを入れ扉が部屋側にバタンッ!と倒れる。
それに合わせて私は部屋に銃を打ち込む。
ダダダダッ!ダダダダダッ!
「うひぃ!!」
Sの妙な声が聞こえた。
効果はあるようだ。
「よしこのまま入り込む。援護を頼む!」
「了解!」
ダダダダッ!ダダダダダダッ!
射撃で援護をし、それに合わせて腰を屈めてゴールドさんは部屋の中に入り込む。
それに合わせる様に私も射撃をしながら前進する。
「くそっ、くそぉ!! これでも、喰らえぇ!!」
Sが叫んだと思ったら、隠れていた机を抱え上げた。
投げつけるつもりかっ!?
しゃがんでいたゴールドさんに向けられている。
ゴールドさんも気が付きショットガンを向ける。
瞬間、投げつけた机が投げられ、その机にショットガンの弾が当たるが、これも能力強化か・・・
机は物凄いスピードと威力で飛んできた。
「ゴールドさんっ!!!!」
「ぐはっがぁ!!!」
そのまま、物凄い勢いで飛んできた机はゴールドさんに直撃した。
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