第45話 帰り道


楓さんと一緒に帰る事になった。

残念美人の楓さんだが、こんな美人が隣だとやはり緊張はする。

何を話して良いか分らなくなる。


「山本さん」


すると突然、楓さんから話を振って来た。


「何でしょうか?」


「金子さんはね。一見冷静に見えるけど、中身は凄く正義感があって熱い人なのよ」


「へー、そうなんですか」


クールでナイスミドルな叔父様というイメージしかない。

いや、まあ、実際はスカトロ好きというのを最近になって知りはしたが。


「だからね、今回の事・・・凄く引きずると思うの。部下の人があんな事になって責任感感じて・・・」


「そうですね。あの時は必死でした・・・もうちょっと何か出来なかったかと私も思うところです・・・」


「山本さん」


「はい」


「金子さんをこれからも助けてあげてね」


そう言って、こちらを向いて優しく微笑まれた。

これは、嫌とは言えない。


「ええ、可能な限りは」


「可能な限りは・・・か」


「出来る事と出来ないことがあるので」


「そっか」


「なんか・・・すみません」


「ううん、いいの。あなたは言うなれば一般人だから」


ちょっと悲しげな目で見られた。

そういえば、この人は考えてみれば何をしている人なんだろう。


「あの・・・楓さんって何をしている人なんですか?」


「私?」


「う~ん、今は飲み屋のママかな?」


「飲み屋のママですか!ん?でも、「今は」?」


「う~ん、まあ、今はね」


「えっ・・・昔は何を?」


そして、考えるそぶりを見せる楓さん。

まあ、いいかと小さく呟き言った。


「私はね。簡単に言うと情報屋みたいな事をしていたの。昔はそれこそ金子さんにかなり協力していたわ」


「情報屋ですか・・・」


「ある時、ちょっと仕事でヘマしてね。ある組織から命まで狙われたところを金子さんに助けて貰ったの。まあ、それからはずっと金子さん一筋・・・まあ、専属の情報屋かな。ああ、後は金子さんの愛人!」


「愛人って・・・」


「まあ、金子さん独身だけどね。ほぼ内縁関係みたいな感じかしら」


「そうだったんですか・・・」


「あっ、ちょっとごめんなさいね。そこに公園にトイレあるから行ってくるわね」


そう言って、トイレに向かう楓さん。

何故女子トイレがあるのに障碍者用の広いトイレに入るのか・・・。

まあ、それはあえて突っ込まないが。


しばらくして、戻ってきた。


「ごめんね。おまたせ」


何だろう、こんな美人さんにこう言われるとデートみたいで嬉しく思う。

そして、気が付いた。


膨らんでいたスカートのお尻部分がスマートになっている事に。


「どこ見ているのかな?」


「え、いや・・・」


そして、近付いてくる楓さん。

小声で耳元で言われた。


「気づいているんでしょ。何度も視線を感じたし」


そう言って、パッと離れて笑顔の楓さん。

なんだろうやっている事はアレなのに凄く可愛く思える。


「いや、まあ、あははは」


「もうっ、私は金子さん専用だからねー」


「分ってますよ。何もする気ないですから!」


「えー、ちょっとくらいいいかもよ?」


一瞬妖艶な表情が見えドキっとする。

冗談・・・だよな?

いや、仮に何かするにしてもスカトロプレイ的なのは勘弁して欲しいです。


「ちょ、マジで勘弁して下さい」


「かんべんってそこまで否定されると悲しいわー」


「いやいや、そういう意味じゃなくて」


「じゃあ、どういう意味?」


「え・・・」


「ふふふ、あはは・・・ごめんごめん!ちょっとからかい過ぎたわね。冗談よ」


もうなんなんだ。

おっとり系の美人お姉さんかと思ったら魔性の女じゃないか。

恐い。


「勘弁して下さいよ。ゴールドさんの手前どう接していいのか迷いましたよ」


「あはは」


そうして、車を停めて置いた場所に到着した。


「じゃあ、山本さんまたね」


「はい」


そうして、二人はそれぞれの車に乗り帰って行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る