第44話 Mの部屋
家の奥に行くと、地下への階段があった。
奥からは明らかに男のようだが、なまめかしい声が聞こえてくる。
「ゴールドさん・・・」
「ああ、こいつがMだ」
「はぁ・・・何ですかこの声は何か凄く行きたくない」
「だな」
そう言いながらも、二人で階段を下りていく。
降りて行くと・・・。
目隠しをされ、ロープで縛られ、服はところどころ破けている痩せた男と全裸でムチを持って叩いている男が居た。
「お、太田っ!!!」
ゴールドさんが声を掛ける。
えっ?どっち?
いや、Mって聞いたから、縛られている方が能力者??
しかし、何か今はどっちがどっちだか・・・非常にややこしい光景だ。
「あ~あ、折角のお楽しみを邪魔しないで欲しいなぁ・・・」
そう言って、ロープはスルリと解け、目隠しを外す男。
細身のイケメンだ。
とても、マゾには見えない。
それにしても、さっきのSと言い。
SとMが逆の方がビジュアル的に有りそうなんだが・・・何でこう能力者って変なのが多いんだ。
「・・・お前らよくもうちの部下を弄んでくれたな」
睨み付けて言うゴールドさん。
手はワナワナと震えている。
直ぐにでも銃を撃ちそうだ。
「あれ?あのデブはどうしたんだ?もしかして倒しちゃったの?」
「ああ、そうだ」
銃口を向けながら私は言う。
「はぁ・・・やっぱ使えないデブだったねぇ」
「で、お前さんはどうするんだ?もう、逃げられないぞ?」
すると、ゆっくりと立ち上がり言った。
「いや、まだまだ楽しみたいんでね・・・」
何だ?ゆっくり動き出した。
何をするつもりだ?
「動くな!!」
二人で揃って銃口を向ける。
「撃てば? どうせ効かないけど」
ゴールドさんが引き金を引く。
バンッ!!
Mに当たるがスーッと吸い込まれるように銃弾が消えていった。
まるで何事も無かったようである。
「おっ!おぉぉ・・・中々心地よい痛みだ!! いいね!もっと!もっと撃ってくれよ!!」
何だ?攻撃が・・・これは快感に変換されているのか?
くそっ、やっぱマゾらしい能力だ。
「ちっ・・・」
そして、歩きながら何かの箱を取り出した。
「さあ、僕からのプレゼントをあげよう」
そう言って、箱から出したものは・・・
「まずい!!! ゴールドさん!! RPGだ!!」
「なっ!? に、逃げるぞ!!」
Mが取り出したのは対戦車ロケットランチャーRPG-7。
こんな室内で撃たれるとタダでは済まない。
これは、逃げるしかない。
急いで階段を駆け上がる。
「そうだ!! 太田っ!!太田っ!!来いっ!!逃げるぞっ!!」
「ゴールドさん!!無理だっ!!間に合わない!!」
ゴールドさんが部下の人を気にしているが助ける余裕は無い。
ゴールドさんの手を無理やり引っ張り駆け上がる。
駆け上がり、元来た部屋を走り急いで離れる全身はSとの戦闘で正直痛い。
悲鳴を押し殺して火事場の馬鹿力で走りこむ。
その途中・・・。
とてつもない轟音と共に建物が揺れた。
グラグラと揺れ、天井の一部が崩落したりしていた。
ホコリも舞う部屋の中、何とか外に出る事が出来た。
私は立ち止まりげほげほと咳き込み、ぜえぜえ下を向いていた。
ゴールドさんは能力者の家の方を向き呆然としている。
「太田・・・」
「ゴールドさん・・・」
すると、楓さんが駆け寄ってきた。
「金子さん!山本さん!大丈夫でしたか!?」
「ああ、だが・・・太田が・・・」
「金子さん・・・あれは・・・無理でした。あの攻撃を受けていたら例え制服の能力でも耐えられない」
「・・・ああ分っているよ。山本くん気を使わせてしまってすまない・・・」
「二人とも、それに怪我は大丈夫なんですか?どちらも・・・特に山本さんの肩なんか・・・」
そう、言われて思い出した。
いちお治療で止血はしているものの未だに痛い。
っていうか、えぐれている。
ここは、楓さんに頼むしかないか。
空間収納で呼び出す。
呼び出すは・・・
ナース服!!いや、最近では看護師さんと言わないといけないか。
これの回復魔法なら直せるはず。
「楓さん・・・これに着替えて下さい」
「えっ?これは?」
うん、毎回ながら女性に制服だして、これに着替えてくれって我ながらこの状況下で何とも滑稽だ。
「この制服に付いている回復魔法なら私の傷もゴールドさんの傷も直せるはずです」
「なるほど。分りました。」
そして、しばらくして楓さんが看護師服に身を包んで来た。
うん、超癒し系看護師さんだわ。
白い肌と優しい垂れ目の顔つきの楓さんが真っ白な看護師服と絶妙なコラボレーション。
これは24時間体制で看護されたい。
しかし、やはりタイトスカートと同じくスーッと体のラインが出やすい看護師服。
やはり、楓さんは不自然にお尻の付近が膨らんでいる。
「ええっと・・・これもイメージして回復をすればいいんですか?」
「ええ、直るイメージをして直れー!という感じでいいんじゃないかと思います。
とりあえず、私で実験してみて下さい」
楓さんが近付いて来て、しゃがみ込み私の肩に手をかざした。
うん、やはり超美人さんだ。
近くで見ると余計に分る。
そして、どうみても40代には見えない・・・どんな魔法を使っているんだ。
「じゃあ、行きますね」
「はい」
楓さんが念じたのだろう、治療の時とは違い濃い緑色がボワァと光り肩を包み込む。
何だろう物凄く暖かく心地よい感じがする。
「・・・上手く行きましたね」
「ええ、完璧です」
「良かった・・・」
そして、立ち上がる瞬間。
スカートの中身が見えた。
うん、やっぱりオムツだった。
しかも、結構パンパンになっている。
あれは、新しいのに変えた方がいいよ。
凄く美人さんが台無しである。
何か切ない気持ちになった。
「金子さんも・・・」
「ああ、頼む」
そして、ゴールドさんも回復魔法によって全快した。
それからは、ゴールドさんは応援を呼んだ。
再度二人で突入しようか?という話もしたものの、ゴールドさん曰く間違いなく逃亡しているだろうという事だった。
ゴールドさんに言われて楓さんと先に帰るように言われたので、お言葉に甘えてそうする事にした。
ゴールドさんからはまた連絡すると言われた。
大人しくその日は家に帰った。
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