第5話 日常


「おはようございまーす!」


「ああ、おはよう・・・」


「あれ?どうしたんですか?山本係長」


 そう声を掛けてくるのは、入社2年目の坂田君。

 イケメンで仕事も出来る。

 あっという間に私をいずれは追い抜いて出世するだろう・・・


「いやね。昨日は年甲斐も無く徹夜で色々と作業をしていたからねぇ・・・」


「年甲斐って、係長まだ30代前半ですよね?まだまだ余裕ですよー」


 とイケメンスマイルで話す坂田君。

 もう私が女子だったら、このスマイルだけで落ちているな。

 イケメンうらやましい・・・。


 それはそうと、昨日の夜は貰った能力で鑑定をしまくっていたのだ。


 まあ、制服自体の能力がどういうものかは全然分らなかったけど、何ていうのか自分の制服コレクションを鑑定していく過程と結果が数値化して出てきたり、技能部分の項目何かが面白かったのでついつい楽しんでしまっていた。


 何か子供の頃に集めていた収集したカードを強さ順に並べてニヤニヤしていたそんな事を思い出す。


 そういえば、技能関係もその制服の性質と言うべきか、職業というべきかで変わるのが分った。


 例えば、ファミレスの制服だと調理や接客などの技能があったり。


 看護師だと回復系が付いていた。


 銀行員の制服だと、金銭に関係する技能があったりした。


 そして、レア度が高いというかリアル金額の高かった制服はもれなく能力値が高かった。


 そういった大まかな事が分った。


 だが、本当に使い道が難しい能力だ。


 そこら辺の女の子に声かけて「ちょっと僕の制服着てみない?」というのは流石にアウトだ。


 変態だ。


 風俗嬢辺りに頼むか・・・いや、いきなり魔法ぶっぱされたり、能力値上昇がどの程度なのかと色々とマズイ。


 信頼できる相手がいれば・・・と。


 ふと、坂田君を見ると・・・彼は細身だし入りそうな制服が・・・


「どうしたんですか?凄く真剣な目で僕を見て・・・」


「い、いや、何でもない」


 うん、これはダメだ。

 私の制服道に反する。


 ある意味、新しい道を見つけてしまうかもしれないが・・・これは禁忌だ。間違いなく。


 色々と考えごとをしつつ、その日の業務を終えた。


 帰りに坂田君とその同僚達に飲みに誘われたものの、流石に寝不足だったので断った。


 もうちょっと帰ってから試したい事もあるし。


 そして、帰り着き色々と思案する。


 まず、私の能力は他人にしか使えない。

 まあ、自分で着てないというのもあるが、それはどうしてもやりたくない。

 それをやってしまうと、自分の趣味の何ていうかプライドが許せないというのもある。

 勿論、着る専の人たちを否定するわけじゃない。


 あくまでも、私はその制服の造形や素材、そして、それを着ている女子が好きなんだ。


 それに、もしも制服を着て能力を発揮したとしよう。

 それで何か悪を倒したりとか、やっても30代のおっさんが女装して活躍・・・それは色々とダメダメな感じだ。


 違う意味で有名になりすぎてしまう。


 でも、こうなってくると・・・誰かに着せるという実験台が必要だが・・・そんな人居ないしなぁ。


 いきなり初対面で「この制服着てみて感想をお願いします!!」


 どうみても変態です。

 事案発生です。


 変態番付にも入れるかもしれない。


 う~ん、どうすべきか・・・


 と、考えている中、部屋でつけっぱなしにしていたTVが丁度ニュースで特集をしていた。


「近年、神待ちと呼ばれる家出少女達が、主に出会い系等を活用し・・・」


 こ れ だ !!


 家出少女に声を掛けて、小遣い渡して着て貰えばいいんだ!!

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