第22話 作戦会議


「とまあ、そんなわけで、俺達で何とかするしかない」


と身長190でデカイガチムチなおっさんである後藤明が言う。

ちなみに、年齢は2歳上で34歳らしい。


「とりあえず、作戦会議ってところですかね」


「ああ、そうだ」


「あの、最初にこれから一緒に戦うに当たって能力の確認とかしておきたいんですが・・・」


「おおっ、そうだなー」


「じゃあ、ここは私から・・・」


って、制服能力ですっ!て言うのは何気に恥ずかしいな・・・。

だが、ここは同じ能力者という事で仕方ないか。


「制服です・・・(ボソッ)」


「はっ!?」


「制服です」


「おいおい、すげぇな!征服か・・・これまた見かけによらず恐ろしそうな能力だな!やるじぇねぇかーよういっちゃ~ん」


「多分勘違いしています・・・せいふくはせいふくでも着る服の「制服」です」


「はっ?何その能力??」


ポカンとした表情で見られる。

まあ、逆のパターンで言われると意味不明という態度は間違いなく取るだろう。

なので、懇切丁寧に教える。



「・・・そうか、何ていうかやっぱ能力というのは本当に願望から来る物なんだなぁ・・・」


と物凄く納得を頂いた。


「まあ、でも、考えようによっては凄い能力じゃないか!」


「いや、まあ、そうかもですけど。 自分じゃ使える能力が限定されているんですよ」


「それもそうだけども」


「それで、後藤さんの能力って何なんですか?」


「ふっふっふ・・・ようやく俺の出番か・・・俺の能力は・・・」





『おっぱいを揉める能力だ!』



と立ち上がり拳を突き上げるような大げさなポーズで言う。

ただし、手は何かニギニギとしている。



「・・・は?」



ポカンとした表情でガチムチのおっさんを見上げる。

何ていった?おっぱいを揉める能力?何それ?


「ははは、ビックリしただろう俺の能力はおっぱいが揉める!」


「はぁ・・・」


「なんと、揉みたい相手を見て手をグニグニすれば相手のおっぱいの感触が伝わってくるんだ!」


「はぁ・・・」


「しかも、数々の依頼で能力強化され、今では本やビデオを見てみても相手の女の子の胸を揉む事が出来る素晴らしい能力だったりする」


「えっと・・・それって揉むと相手にも感触は伝わるんですか?」


「無いっ! そんな事になれば痴漢だろうが」


「えーーー、ちなみに男相手でも?」


「はぁ!?誰が好き好んで男の胸なんか揉むんだ!それに素晴らしい事に、この能力は男の胸だと反応しないという超優秀な機能を持っているんだぞ!」


ここで、私はハッとした。

そういえば、待ち合わせ場所で待っている時に遠くを見ながら左手ニギニギしていたのを・・・


こいつ、おっぱい揉んでいやがったのか・・・。


「えっと・・・つまり、後藤さんあなたの能力はおっぱいを揉む能力だと」


「そうだ」


「能力者狩りで何か役に立ちますか?」


「立たないっ!」


「えー」


どうすればいいの私・・・。


「大丈夫だっ!」


「何がっ!」


「これまでも何とかなった」


大丈夫なのかこのおっさん。

おっぱいを揉むだけの能力か・・・。

まあ、自分の強い思いが能力になるというが・・・このおっさんはただのおっぱい星人だったわけか。


そして、今回の能力狩りの相手・・・人形使い。

恐らくはフィギュアとかドールとかその辺が好きだったやつなんだろう。

趣味趣向は色々だ。否定はしない。


だが、確かに何にも知らない無関係な人を自分の欲望のまま人形に変えて拉致っているのなら・・・それは悪だ。

人形にされた人だって家族も居る。

友人も居る。

恋人だって居るかもしれない。


また、私の中ので何とかしないという感情が沸き起こる。

正義なのか偽善なのか分らないが。


だが、何にしてもこのガチムチのおっさんは大丈夫なのだろうか・・・。


「心配だ・・・」


「ああ、そうそう。言い忘れていたけど。人形使いの能力は一つだけ弱点があるんだわ」


「弱点?」


「2~3m以内だったかな?で、相手の目を5秒以上見ないと人形は作れないそうだ。前に一緒に行動した時にそう言っていたな」


「あー、だったら早々人形にはされないですね」


「まあ、問題は動く人形なんだがな」


「ああ、そういえば人形使いって言ってましたもんね。どんな感じなんですか?」


「う~ん、さながらゾンビだな。素早くは無いが、のそーっと寄ってくる」


「違う意味で怖いですね」


「ああ、まあ、問題は数なんだがなぁ・・・前の時にはその能力で50体で包囲して、動けなくなったところを俺が羽交い絞めにしてカード使って能力を回収した」


「50体・・・それって動かせる能力に制限とかって無いんですか?」


「どうやら無いらしい・・・あいつが生成した人形であれば何体でも動かせるっぽかったな」


「それは脅威ですね・・・」


「ああ、だから今回の能力者狩りはやっかいなんだわ」


「う~ん、どうしたものか」


これは初回から難易度が高いのでは?と思いつつも何とか方法を考える。

私の能力強化された迷彩服で銃を撃ちまくるか?

いや、人が人間になっている可能性もあるから破壊はまずい。


迷彩服を後藤さんの分も用意して・・・と思ったけど、190cmもありそうな体格の迷彩服は今から入手出来ないし・・・。


う~ん・・・ここは、こうするしかないか。

一か八かの作戦にしてみる事にした。

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